京都競馬場は、天皇賞(春)や菊花賞などのGⅠレースが開催される、日本を代表する競馬場のひとつです。
芝コースは直線が平坦でスピードが出やすい一方、向正面から3コーナーにかけて「淀の坂」と呼ばれる大きな上り坂があり、道中でのスタミナや持続力も求められる、特徴的なコース形態となっています。
本記事では、京都芝3000mについて、
コース形態の特徴を図を交えて解説したうえで、レース傾向を紹介します。
京都競馬場・芝コース全体の特徴
距離別の特徴を見る前に、京都競馬場・芝コースに共通する特徴を押さえておきましょう。
以下は、京都競馬場・芝コースの基本データです。

| 回り | 右回り |
| 一周距離 | Aコース(外回り):1894.3m Aコース(内回り):1782.8m Bコース(外回り):1913.6m Bコース(内回り):1802.2m Cコース(外回り):1932.4m Cコース(内回り):1821.1m Dコース(外回り):1951.3m Dコース(内回り):1839.9m |
| 幅員 (内ラチ位置による最小~最大) | Aコース(外回り):24~38m Aコース(内回り):27~38m Bコース(外回り):21~35m Bコース(内回り):24~35m Cコース(外回り):18~32m Cコース(内回り):21~32m Dコース(外回り):15~29m Dコース(内回り):18~29m |
| 直線距離 | Aコース(外回り):403.7m Aコース(内回り):328.4m Bコース(外回り):398.7m Bコース(内回り):323.4m Cコース(外回り):398.7m Cコース(内回り):323.4m Dコース(外回り):398.7m Dコース(内回り):323.4m |
| 高低差 | 4.3m(外回り) 3.1m(内回り) |
最大の特徴は「淀の坂」とよばれる大きな坂
京都競馬場最大の特徴は、「淀の坂」と呼ばれる大きな坂です。
向正面半ばから上りはじめ、3コーナーで坂の頂上を迎え、そこから4コーナーにかけて一気に下るレイアウトとなっています。
大きな滑り台のような構造が特徴で、外回りコースではこの坂だけで高低差4.3mに達します。
直線の長さは、外回り・内回り、さらに使用コースによって異なります。
例えばAコースの外回りでは403.7m、Cコースの内回りでは323.4mと、条件によって直線距離には大きな差が生じます。
「淀の坂」以外は全体的に平坦なコース形態で、坂の頂上から下り坂を利用してスピードをつけ、そのまま押し切る競馬も可能です。
一方で、この勝負所で慌てず、内をロスなく立ち回った馬が台頭するケースも多く、位置取りと進路選択の駆け引きが見どころとなります。
4つのコースが使用され馬場は傷みにくい
京都の芝コースは幅員(横の長さ)が広く、内ラチを外側に移動させる事でABCDの4つのコースを使い分けます。
- Aコース(内から0m地点にラチを設置したコース)
- Bコース(内から3m地点にラチを設置したコース)
- Cコース(内から6m地点にラチを設置したコース)
- Dコース(内から9m地点にラチを設置したコース)
このように開催日によってコースを使い分けることで馬場が集中的に痛むのを抑えています。
他の競馬場では2つ、または3つのコースを使い分けており、4つのコースを使い分けるのは東京と京都のみです。
更に内回りと外回りもあるので綺麗な馬場を維持しやすく、直線も平坦ということもあって、京都競馬場は時計の早いスピード馬場になっているのが特徴です。
コース替わりの週は内の芝の状態がいいため内枠が有利になる傾向があります。今がどのコースを使用しているかも確認しておきたいですね。


京都芝3000mのコースの特徴




2回「淀の坂」を上り下りする難コース
京都芝3000mは外回りを使用するコースです。コースを1周半する長丁場です。
なお、このコースが使用されるのは菊花賞(G1)と万葉S(OP)のみになります。
スタートは向正面半ばの上り坂の途中から。
3コーナーまで約200m程しかないため、外枠の馬は早めにロスのないポジションを確保する必要があります。
また上り坂スタートのため、序盤と後半で「淀の坂」を2回も上り下りする難コースです。
上手く流れに乗れるかが最重要!無駄な動きは厳禁
長距離に共通する事ですが、いかに馬との折り合いを重視して流れに乗れるかが重要になってきます。
スタミナに不安のある馬は道中無駄に動いてしまうと最後のひと踏ん張りが効かなくります。
特に京都芝3000mでは二度の大きなアップダウンがあるためリズムが乱れやすくなります。
また、ほとんどの馬は最後まで力を温存したいため中盤はペースが極端に緩む傾向にあります。
このタイミングで「最後の瞬発力勝負にしたくない馬」や「現在の位置取りが良くない馬」などが、よりよいポジションを取りに行ったり、「折り合いに問題のある馬」が抑えきれずに進出したりして出入りが激しくなるケースがしばしばみられます。
序盤に好ポジションを取ってジッとできれば勝利は大きく近づきます。
最後の直線は平坦な403.7m!「スタミナ+瞬発力」が必要
京都では下り坂からそのまま直線に突入するため、スピードに乗せすぎると外に振られるので注意が必要。
直線の長さは403.7mと平均的です。ここまでの長丁場もあってスタミナも当然必要ですが、最後の直線は平坦でスピードも出やすいため瞬発力も問われます。
京都芝3000mで注目の枠順・脚質
| 枠 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
| 1枠 | 0-0-2-24 | 0.0% | 0.0% | 7.7% |
| 2枠 | 4-2-3-18 | 14.8% | 22.2% | 33.3% |
| 3枠 | 1-1-1-24 | 3.7% | 7.4% | 11.1% |
| 4枠 | 2-1-2-24 | 6.9% | 10.3% | 17.2% |
| 5枠 | 1-2-1-26 | 3.3% | 10.0% | 13.3% |
| 6枠 | 3-3-1-24 | 9.7% | 19.4% | 22.6% |
| 7枠 | 4-3-6-25 | 10.5% | 18.4% | 34.2% |
| 8枠 | 2-5-1-34 | 4.8% | 16.7% | 19.0% |
| 枠順 | 2枠 |
| 脚質 | 逃げ・マクリ |
京都芝3000mで開催される代表的なレースと傾向
- 菊花賞(G1)
- 万葉S(OP)
京都芝3000mで開催される代表的なレースはG1の菊花賞です。牡馬クラシック最終戦にあたるレースで、夏に頭角を表した新興勢力も参戦するため非常に難解な1戦になります。
2020年にはコントレイルが優勝して史上初となる父子2世代での無敗の3冠馬が誕生しました。
菊花賞の過去10年のデータと傾向
以下は菊花賞の過去10年の1~3着馬の騎手と前走の着順です。なお21年、22年は阪神での開催となっています。
| 年 | 着順 | 馬名 | 騎手 | 前走 | 前着順 |
|---|---|---|---|---|---|
| 24年 | 1着 | アーバンシック | Cルメール | セントライト記念 | 1着 |
| 2着 | ヘデントール | 戸崎圭太 | 日本海S | 1着 | |
| 3着 | アドマイヤテラ | 武豊 | 茶臼山高原特別 | 1着 | |
| 23年 | 1着 | ドゥレッツァ | Cルメール | 日本海S | 1着 |
| 2着 | タスティエーラ | Jモレイラ | 日本ダービー | 1着 | |
| 3着 | ソールオリエンス | 横山武史 | セントライト記念 | 2着 | |
| 22年 阪神 | 1着 | アスクビクターモア | 田辺裕信 | セントライト記念 | 2着 |
| 2着 | ボルドグフーシュ | 吉田隼人 | 神戸新聞杯 | 3着 | |
| 3着 | ジャスティンパレス | 鮫島克駿 | 神戸新聞杯 | 1着 | |
| 21年 阪神 | 1着 | タイトルホルダー | 横山武史 | セントライト記念 | 13着 |
| 2着 | オーソクレース | Cルメール | セントライト記念 | 3着 | |
| 3着 | ディヴァインラヴ | 福永祐一 | 木曽川特別 | 1着 | |
| 20年 | 1着 | コントレイル | 福永祐一 | 神戸新聞杯 | 1着 |
| 2着 | アリストテレス | Cルメール | 小牧特別 | 1着 | |
| 3着 | サトノフラッグ | 戸崎圭太 | セントライト記念 | 2着 | |
| 19年 | 1着 | ワールドプレミアム | 武豊 | 神戸新聞杯 | 3着 |
| 2着 | サトノルークス | 福永祐一 | セントライト記念 | 2着 | |
| 3着 | ヴェロックス | 川田将雅 | 神戸新聞杯 | 2着 | |
| 18年 | 1着 | フィエールマン | Cルメール | ラジオNIKKEI賞 | 2着 |
| 2着 | エタリオウ | Mデムーロ | 神戸新聞杯 | 2着 | |
| 3着 | ユーキャンスマイル | 武豊 | 阿賀野川特別 | 1着 | |
| 17年 | 1着 | キセキ | Mデムーロ | 神戸新聞杯 | 2着 |
| 2着 | クリンチャー | 藤岡佑介 | セントライト記念 | 9着 | |
| 3着 | ポポカテペトル | 和田竜二 | 阿賀野川特別 | 1着 | |
| 16年 | 1着 | サトノダイヤモンド | Cルメール | 神戸新聞杯 | 1着 |
| 2着 | レインボーライン | 福永祐一 | 札幌記念 | 3着 | |
| 3着 | エアスピネル | 武豊 | 神戸新聞杯 | 5着 | |
| 15年 | 1着 | キタンサンブラック | 北村宏司 | セントライト記念 | 1着 |
| 2着 | リアルスティール | 福永祐一 | 神戸新聞杯 | 2着 | |
| 3着 | リアファル | Cルメール | 神戸新聞杯 | 1着 | |
| 14年 | 1着 | トーホウジャッカル | 酒井学 | 神戸新聞杯 | 3着 |
| 2着 | サウンズオブアース | 蛯名正義 | 神戸新聞杯 | 2着 | |
| 3着 | ゴールドアクター | 吉田隼人 | 支笏湖特別 | 1着 | |
| 13年 | 1着 | エピファネイア | 福永祐一 | 神戸新聞杯 | 1着 |
| 2着 | サトノノブレス | 岩田康誠 | 神戸新聞杯 | 3着 | |
| 3着 | バンデ | 松田大作 | 兵庫特別 | 1着 | |
今回は阪神開催となった21年と22年を除いた過去10年間のデータで比較してみます。
近年ではルメール騎手の成績が頭1つ抜けている
よく長距離は騎手と言われますが、菊花賞はルメール騎手の成績が頭1つ抜けています。
- C.ルメール【4-1-1-2/8】
- 福永祐一(引退)【2-3-0-3/8】
- M.デムーロ【1-1-0-6/8】
- 武豊【1-0-3-5/9】
- 北村宏司【1-0-0-4/5】
- 酒井学【1-0-0-4/5】
- 戸崎圭太【0-1-1-4/6】
- 蛯名正義【0-1-0-4/5】
- 岩田康誠【0-1-0-8/9】
- 藤岡祐介【0-1-0-4/5】
- J.モレイラ【0-1-0-1/2】
- 和田竜二【0-0-1-6/7】
- 川田将雅【0-0-1-6/7】
- 吉田隼人【0-0-1-0/1】
- 松田大作【0-0-1-0/1】
- 池添謙一【0-0-0-9/9】
- 横山典弘【0-0-0-7/7】
- A.シュタルケ【0-0-0-1/1】
- 松山弘平【0-0-0-7/7】
- 浜中俊【0-0-0-6/6】
- 北村友一【0-0-0-2/2】
ルメール騎手は、2015年にJRAの騎手免許を取得してから【4-1-1-2】という成績。馬券圏内には75.0%という圧倒的高確率で来ています。
勝つためのポジション取りや、ロスのない立ち回りなどに長けた騎手ですので、長距離でその傾向がより顕著になっていると言えるでしょう。
また、注目の武豊騎手ですが、2013~2020年では【1-0-3-5】という成績。ルメール騎手程のインパクトはありませんが3番人気以上の馬には2回しか乗っておらず、人気薄でも見過ごせない騎手です。
反対に川田将雅騎手は2010年にビッグウィークで優勝しているものの、過去10年に限れば【0-0-1-6】とやや不振傾向です。現在の大活躍から見れば意外なデータと言えます。
ちなみに福永祐一元騎手も【2-3-0-3】とかなりの好成績で、菊花賞で信頼できる騎手の一人でした。
現在活躍中の若手に注目してみると…
現在活躍中の若手の菊花賞の成績も気になるところ。
- 横山武史【0-0-1-0/1】
- 西村淳也【0-0-0-2/2】
- 岩田望来【0-0-0-2/2】
- 鮫島克駿【0-0-0-1/1】
- 坂井瑠星【0-0-0-4/4】
- 佐々木大輔【0-0-0-0/0】
20年、21年が阪神開催だったこともあり、多くの若手の活躍騎手は、京都コースでの菊花賞の経験はほとんどありません。
京都芝3000mは年に2回しかないので、データはまだまだ未知数なところがあります。
ただ、阪神芝3000mでの菊花賞でなら、横山武史騎手のタイトルホルダー(1着)や鮫島克駿騎手のジャスティンパレス(3着)があるので、これから徐々に破られていくデータではありそうです。
前走神戸新聞杯組が6勝と最有力
阪神開催となった21年と22年を除いた過去10年間のデータの前走別成績(3着以内馬輩出レースのみ)を比較すると…
| 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
| 神戸新聞杯 | 6-4-3-56 | 8.7% | 14.5% | 18.8% |
| セントライト記念 | 2-2-2-40 | 4.3% | 8.7% | 13.0% |
| 日本海S(3勝) | 1-1-0-1 | 33.3% | 66.7% | 66.7% |
| ラジオNIKKEI賞 | 1-0-0-1 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
| 札幌記念 | 0-1-0-3 | 0.0% | 25.0% | 25.0% |
| 日本ダービー | 0-1-0-1 | 0.0% | 50.0% | 50.0% |
| 小牧特別(2勝) | 0-1-0-0 | 0.0% | 100.0% | 100.0% |
| 阿賀野川特別(1000万) | 0-0-2-0 | 0.0% | 0.0% | 100.0% |
| 兵庫特別(1000万) | 0-0-1-3 | 0.0% | 0.0% | 25.0% |
| 茶臼山高原特別(2勝) | 0-0-1-0 | 0.0% | 0.0% | 100.0% |
| 支笏湖特別(1000万) | 0-0-1-0 | 0.0% | 0.0% | 100.0% |
菊花賞が関西馬が7勝、関東馬が3勝という関西優勢の背景もあり、「神戸新聞杯組」からのローテが【6-4-7-56】で最有力となります。10年で6勝ですから神戸新聞杯組は真っ先に検討に入るべきレースになります。
セントライト記念組は出走頭数を考えれば1勝は物足りない。ただし阪神開催だった21年、22年を含めた場合は好走確率がぐっと上がるため、これをどう見るかといったところ。
その他では「日本海S(3勝)」、「ラジオNIKKEI賞組」も好走確率は高く注目ですが、出走頭数自体がかなり少な目でデータ的には過度に信用はできません。
また「ダービー直行組」も2012年コスモオオゾラ17着と23年タスティエーラ2着の2頭のみで、こちらもまだまだ前例が少なくデータで判断しづらくなっています。(阪神開催の21年ならディープモンスター5着もある)











