京都競馬場は内回りコースと外回りコースが用意されている右回りの競馬場です。
特に向こう正面半ばから3コーナーにかけての上り坂、そして4コーナにかけての下り坂が大きな特徴でこの「坂」をどう攻略するかが重要になってきます。
ここでは、京都競馬場の芝2000mの特徴や傾向について詳しく紹介していきます。
京都芝2000mで開催される代表的なレース
- 秋華賞(G1)
- 京都2歳ステークス(G3)
- 24年マーメイドS(G3)
京都芝2000mの代表的なレースはG1の秋華賞です。牝馬3冠レースの最終戦で、3冠馬がかかっている馬が出走する時は特に脚光を浴びます。
歴代の牝馬3冠はメジロラモーヌ(86年)、スティルインラブ(03年)、アパパネ(10年)、ジェンティルドンナ(12年)、アーモンドアイ(18年)、デアリングタクト(20年)の6頭です。
なおメジロラモーヌの時代は秋華賞がなかったのでエリザベス女王杯が3冠最後の1戦でした。
京都芝2000mのコースの特徴




京都芝2000mは内回りのタイトなコース
京都芝2000mは内回りのタイトなコースです。
直線半ばからのスタートとなるため1コーナーまでの距離が300m程しかないため、ポジション争いは熾烈で外枠は難しいレースを強いられます。
その後は向こう正面半ばまで比較的平坦なため、ここで一旦ペースが落ち着きます。ただし上のクラスではペースが緩まず高速決着となる場合もあるので注意が必要です。
内回りの「淀の坂」はコーナリング性能が求められる
向こう正面半ばから3コーナーにかけて上り坂が待ち受けています。内回りの場合この上り坂の高低差は3.1mで外回りの4.3m程ではありません。
そして3コーナで坂の頂上を迎え、今度は4コーナーにかけて一気に下ります。この勝負所の「淀の坂」をどう乗り切るかが大きなポイントになります。
特に内回りは小回りでスピードに乗りすぎると外に振られるため、コーナリング性能が求められます。
更に直線の長さも328.4mと短く、外回りとは違ってより器用さが求められます。
4つのコースが使用され馬場は傷みにくい
京都の芝コースは幅員(横の長さ)が広く、内ラチを外側に移動させる事でABCDの4つのコースを使い分けます。
- Aコース(内から0m地点にラチを設置したコース)
- Bコース(内から3m地点にラチを設置したコース)
- Cコース(内から6m地点にラチを設置したコース)
- Dコース(内から9m地点にラチを設置したコース)
このように開催日によってコースを使い分けることで馬場が集中的に痛むのを抑えています。他の競馬場では2つ、または3つのコースを使い分けており、4つのコースを使い分けるのは東京と京都のみです。
更に内回りと外回りもあるので綺麗な馬場を維持しやすく、直線も平坦ということもあって、京都競馬場は時計の早いスピード馬場になっているのが特徴です。
コース替わりの週は内の芝の状態がいいため内枠が有利になる傾向があります。今がどのコースを使用しているかも確認しておきたいですね。


京都芝2000mデータ詳細
| コース | 右回り |
| 一周距離(内回り) | Aコース:1782.8m Bコース:1802.2m Cコース:1821.1m Dコース:1839.9m |
| 直線距離(内回り) | Aコース:328.4m Bコース:323.4m Cコース:323.4m Dコース:323.4m |
| 高低差(内回り) | 3.1m |
| コースレコード | 1:56.8(アドマイヤコスモス 2011 大原ステークス) |
京都芝2000mで注目の枠順・脚質
| 枠 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
| 1枠 | 17-23-23-186 | 6.83% | 16.06% | 25.30% |
| 2枠 | 16-22-22-205 | 6.04% | 14.34% | 22.64% |
| 3枠 | 27-25-31-198 | 9.61% | 18.51% | 29.54% |
| 4枠 | 36-29-26-207 | 12.08% | 21.81% | 30.54% |
| 5枠 | 23-30-27-240 | 7.19% | 16.56% | 25.00% |
| 6枠 | 25-24-31-254 | 7.49% | 14.67% | 23.95% |
| 7枠 | 40-30-31-268 | 10.84% | 18.97% | 27.37% |
| 8枠 | 33-35-25-293 | 8.55% | 17.62% | 24.09% |
注目すべき枠は「4枠」になります。勝率、連対率、3着内率全てでトップです。また「7枠」、「3枠」といった枠も好成績です。
京都芝2000mは小回りのためどうしても内枠有利の見方が強いですが、「1枠」、「2枠」は意外に不振傾向です。
当日の馬場状態も含め、先入観なしで見たいコースです。
脚質は、小回りかつ直線が短いコースだけに基本的に「逃げ」「先行」が有利です。ただ注意しなければいけないのは、速い決着になりやすい秋華賞では反対に「差し」の成績が良くなるという事です。
| 枠順 | 4枠・7枠・3枠 |
| 脚質 | 逃げ・先行 |
速い決着になりそうな時は有利な脚質がガラッと変わるので注意です。
秋華賞の過去10年のデータと傾向
ここでは秋華賞過去10年のデータから傾向を探っていきます。阪神開催だった21年、22年を除いた13年~20年、23年・24年の10年間を参考にしています。
| 年 | 着順 | 枠 | 馬名 | 通過順 | タイム |
|---|---|---|---|---|---|
| 24年 良 | 1着 | 5 | チェルヴィニア | 8-8-8-7 | 1:57.1 前半:57.1 後半:60.0 H |
| 2着 | 10 | ボンドガール | 12-12-13-13 | ||
| 3着 | 14 | ステレンボッシュ | 10-10-11-10 | ||
| 23年 稍重 | 1着 | 6 | リバティアイランド | 6-7-7-3 | 2:01.1 前半:61.9 後半:59.2 S |
| 2着 | 7 | マスクトディーヴァ | 12-13-10-12 | ||
| 3着 | 2 | ハーパー | 3-5-4-5 | ||
| 22年 良 阪神 | 1着 | 7 | スタニングローズ | 3-5-5-4 | 1:58.6 前半:59.7 後半:58.9 S |
| 2着 | 8 | ナミュール | 9-9-10-9 | ||
| 3着 | 9 | スターズオンアース | 14-13-14-14 | ||
| 21年 良 阪神 | 1着 | 12 | アカイトリノムスメ | 6-5-5-4 | 2:01.2 前半:61.2 後半:61.0 M |
| 2着 | 14 | ファインルージュ | 11-11-10-10 | ||
| 3着 | 9 | アンドヴァラナウト | 4-5-5-6 | ||
| 20年 稍重 | 1着 | 13 | デアリングタクト | 13-13-8-5 | 2:00.6 前半:59.4 後半:61.2 H |
| 2着 | 12 | マジックキャッスル | 11-11-11-13 | ||
| 3着 | 8 | ソフトフルート | 18-18-18-12 | ||
| 19年 稍重 | 1着 | 5 | クロノジェネシス | 6-7-5-5 | 1:59.9 前半:58.3 後半:61.6 H |
| 2着 | 8 | カレンブーケドール | 6-8-8-7 | ||
| 3着 | 14 | シゲルピンクダイヤ | 14-14-14-11 | ||
| 18年 良 | 1着 | 11 | アーモンドアイ | 11-11-11-12 | 1:58.5 前半:59.6 後半:58.9 M |
| 2着 | 13 | ミッキーチャーム | 1-1-1-1 | ||
| 3着 | 2 | カンタービレ | 11-12-13-12 | ||
| 17年 重 | 1着 | 14 | ディアドラ | 14-15-13-9 | 2:00.2 前半:59.1 後半:61.1 H |
| 2着 | 7 | リスグラシュー | 12-11-9-7 | ||
| 3着 | 4 | モズカッチャン | 5-5-4-2 | ||
| 16年 良 | 1着 | 7 | ヴィブロス | 9-9-8-8 | 1:58.6 前半:59.9 後半:58.7 S |
| 2着 | 3 | パールコード | 7-5-7-6 | ||
| 3着 | 15 | カイザーバル | 7-5-5-5 | ||
| 15年 良 | 1着 | 18 | ミッキークイーン | 8-8-8-6 | 1:56.9 前半:57.4 後半:59.5 H |
| 2着 | 9 | クイーンズリング | 12-13-14-14 | ||
| 3着 | 6 | マキシマムドパリ | 5-6-5-3 | ||
| 14年 良 | 1着 | 6 | ショウナンパンドラ | 9-9-9-5 | 1:57.0 前半:58.0 後半:59.0 H |
| 2着 | 4 | ヌーヴォレコルト | 11-11-11-10 | ||
| 3着 | 12 | タガノエトワール | 10-10-10-8 | ||
| 13年 良 | 1着 | 16 | メイショウマンボ | 11-11-8-8 | 1:58.6 前半:58.9 後半:59.7 H |
| 2着 | 1 | スマートレイアー | 17-17-16-14 | ||
| 3着 | 13 | リラコサージュ | 10-10-11-11 | ||
コーナ4つの内回りだが内枠優勢とまでは言えない
| 枠順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
| 1枠 | 0-1-2-15 | 0.0% | 5.6% | 16.7% |
| 2枠 | 0-2-1-16 | 0.0% | 10.5% | 15.8% |
| 3枠 | 4-0-1-15 | 20.0% | 20.0% | 25.0% |
| 4枠 | 1-3-1-15 | 5.0% | 20.0% | 25.0% |
| 5枠 | 0-1-0-19 | 0.0% | 5.0% | 5.0% |
| 6枠 | 1-2-1-16 | 5.0% | 15.0% | 20.0% |
| 7枠 | 2-1-3-22 | 7.1% | 10.7% | 21.4% |
| 8枠 | 2-0-0-26 | 6.9% | 6.9% | 10.3% |
秋華賞の枠順傾向を見ると、まず目につくのは「3枠」の好調ぶり。過去に4勝を挙げており、安定した成績を残しています。
一方で、「1枠」「2枠」はこれまで勝利がなく、やや不安の残る枠です。これらの内枠が振るわない傾向は、京都芝2000mというコース形態にも通じるものがあります。
連対率や3着内率に注目すると、「5枠」の不振がやや目立ちますが、全体として極端な偏りがあるわけではありません。
興味深いのは、コーナー4つの内回りコースでありながら、外枠の成績が特別悪いというわけではない点です。
ただし「8枠」は2勝を挙げているものの、2着・3着が一度もなく、好枠と断言するにはやや物足りない印象。内外問わず、極端な枠は避けたいところです。
ロスなく立ち回るに越したことはないコースですが、内で揉まれたり包まれるリスクも考慮すべきレースですね。
脚質は差しが断然!前傾ラップになりやすく先行勢が苦戦
京都芝2000mはコーナーが4つの内回りコースという事で、逃げ・先行に目が行きがちだが秋華賞では差しが決まりやすい傾向にあります。
阪神開催を除く過去10年の1~3着馬の脚質を見てみると、
- 逃げ(0-1-0-9)
- 先行(1-0-2-29)
- 差し(9-5-8-62)
- 追込(0-4-0-44)
差しが過去10年で9勝と100%勝利しています。(19年クロノジェネシスは中団前目で先行に近い位置ですが)
これは前半の方がペースが早く、後半に失速しやすい前傾ラップが多いことが理由に挙げられます。過去10年で7回が前傾ラップとなっています。
向こう正面であまりペースが緩まず淀みのない流れになるのが秋華賞の特徴です。また遅いペースとみるや、早めに勝負を仕掛けていく馬なども見られこの傾向に拍車をかけています。
とはいえ内回りで直線は328.4m短いため、後方一気は2着までにとどまり、差しに良績が集中するというわけです。
ペースはメンバー次第のところもあるので出走馬の脚質は要チェックですね











