今週は春の古馬牝馬女王決定戦のG1「ヴィクトリアマイル」。
今年はマイルCS制覇から勢いに乗るナミュールと、1800mのJRAレコードを持つ4歳馬マスクトディーヴァの2強対決が大きな話題となっています。
ここでは2024年のヴィクトリアマイルのレース予想をしていきます。
2023年はソングラインがソダシやスターズオンアースなどの名馬を下しての優勝。続く安田記念も連勝するなどマイル路線で大活躍しました。
ヴィクトリアマイルのコース形態
東京芝1600mのポイント
- ワンターンコースで3コーナーまでは約550mとかなり長め
- 速い時計が出やすいが意外とアップダウンの多いコース
- 525.9mの直線と高低差2mの上り坂で1800mくらい走れる適正が欲しい
- 不利が発生しにくい広いコースで実力が反映されやすい舞台
より詳しい東京芝1600mの特徴は以下の記事で解説しているのでよければ参考にしてみて下さい。
ヴィクトリアマイル過去10年のデータと傾向
以下はヴィクトリアマイルの過去10年の1~3着馬の年齢・前走・上がり3Fになります。
年 | 着順 | 性齢 | 馬名 | 前走 | 上がり |
---|---|---|---|---|---|
1着 | 牝5 | ソングライン | 1351T | 33.2 | |
2着 | 牝5 | ソダシ | マイルCS | 33.6 | |
3着 | 牝4 | スターズオンアース | 大阪杯 | 33.6 | |
1着 | 牝4 | ソダシ | フェブラリー | 33.4 | |
2着 | 牝5 | ファインルージュ | 東京新聞杯 | 33.4 | |
3着 | 牝5 | レシステンシア | 高松宮記念 | 34.1 | |
1着 | 牝5 | グランアレグリア | 大阪杯 | 32.6 | |
2着 | 牝5 | ランブリングアレー | 中山牝馬S | 33.2 | |
3着 | 牝4 | マジックキャッスル | 阪神牝馬S | 33.5 | |
20年 | 1着 | 牝5 | アーモンドアイ | 有馬記念 | 32.9 |
2着 | 牝5 | サウンドキアラ | 阪神牝馬S | 33.8 | |
3着 | 牝5 | ノームコア | 高松宮記念 | 33.2 | |
19年 | 1着 | 牝4 | ノームコア | 中山牝馬S | 33.2 |
2着 | 牝4 | プリモシーン | ダービー卿 | 33.0 | |
3着 | 牝6 | クロコスミア | 阪神牝馬S | 33.5 | |
18年 | 1着 | 牝4 | ジュールポレール | 阪神牝馬S | 33.3 |
2着 | 牝4 | リスグラシュー | 阪神牝馬S | 32.9 | |
3着 | 牝4 | レッドアヴァンセ | 阪神牝馬S | 33.6 | |
17年 | 1着 | 牝4 | アドマイヤリード | 阪神牝馬S | 33.4 |
2着 | 牝4 | デンコウアンジュ | 福島牝馬S | 33.2 | |
3着 | 牝4 | ジュールポレール | 阪神牝馬S | 33.6 | |
16年 | 1着 | 牝7 | ストレイトガール | 阪神牝馬S | 33.4 |
2着 | 牝4 | ミッキークイーン | 阪神牝馬S | 33.6 | |
3着 | 牝5 | ショウナンパンドラ | 大阪杯 | 33.5 | |
15年 | 1着 | 牝6 | ストレイトガール | 高松宮記念 | 33.0 |
2着 | 牝6 | ケイアイエレガント | 京都牝馬S | 34.0 | |
3着 | 牝5 | ミナレット | 福島牝馬S | 35.3 | |
14年 | 1着 | 牝5 | ヴィルシーナ | 阪神牝馬S | 34.3 |
2着 | 牝4 | メイショウマンボ | 大阪杯 | 33.5 | |
3着 | 牝5 | ストレイトガール | 高松宮記念 | 33.2 |
4歳馬・5歳馬を中心視したいレース
成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
4歳 | 3-6-3-61 | 4.11% | 12.33% | 16.44% |
5歳 | 5-3-6-56 | 7.14% | 11.43% | 20.00% |
6歳 | 1-1-1-24 | 3.70% | 7.41% | 11.11% |
7歳以上 | 1-0-0-4 | 20.00% | 20.00% | 20.00% |
ヴィクトリアマイルは過去10年で4歳が3勝、5歳馬が8勝で中心となるレースです。
6歳や7歳以上でも馬券圏内となった馬は以下の3頭。
- ストレイトガール 【6歳1着】【7歳1着】
- ケイアイエレガント【6歳2着】
- クロコスミア【6歳3着】
2勝はいずれもこのレースで無類の強さを見せたストレイトガール【2-0-1-0】によるもので並みの馬にはやはり厳しい条件です。逆に言えばあのレベルの馬ならば高齢でも軽視は危険という事になります。
その他の好走馬ケイアイエレガントとクロコスミアの共通点としては「人気薄かつ前目で競馬をしていた」ということです。
基本的にG1組VS阪神牝馬S組の構図、特に「大阪杯組」の好走率に注目
成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
阪神牝馬S | 4-3-4-57 | 5.88% | 10.29% | 16.18% |
大阪杯 | 1-1-2-3 | 14.29% | 28.57% | 57.14% |
中山牝馬S | 1-1-0-11 | 7.69% | 15.38% | 15.38% |
高松宮記念 | 1-0-3-16 | 5.00% | 5.00% | 20.00% |
有馬記念 | 1-0-0-0 | 100% | 100% | 100% |
フェブラリーS | 1-0-0-0 | 100% | 100% | 100% |
1351ターフ | 1-0-0-1 | 50.00% | 50.00% | 50.00% |
福島牝馬S | 0-1-1-20 | 0.00% | 4.54% | 9.09% |
東京新聞杯 | 0-1-2-0 | 0.00% | 33.33% | 100% |
京都牝馬S | 0-1-0-5 | 0.00% | 16.67% | 0.00% |
ダービ卿CT | 0-1-0-4 | 0.00% | 20.00% | 20.00% |
マイルCS | 0-1-0-0 | 0.00% | 100% | 100% |
前走別成績では阪神牝馬S組と前走G1組がよく馬券に絡んでくる。過去10年の勝利数でみると阪神牝馬S組の4勝と前走G1組が5勝となっており、その他は中山牝馬S組と海外重賞組が1勝ずつ。
とはいえ、阪神牝馬S組はそもそも出走頭数が多いし、前走G1組のローテは多岐に渡っており中々傾向が掴みにくい。
そんな中注目は中距離G1の「大阪杯」からのローテ。【1-1-2-3】と出走した7頭の内4頭が馬券に絡んでいる。牡馬と混じってレベルの高い中距離路線を戦ってきた馬はそのまま牝馬のマイルでも通用する確率が高そう。
波乱を呼ぶのは前走G3組。中山牝馬S組は【1-1-0-11】と中々侮れない。また福島牝馬S組は【0-1-1-20】滅多に馬券に絡むことがない反面、きた時の配当は凄まじいものがあります。
2024年出走馬で前走大阪杯の馬
・牝5スタニングローズ 8着
・牝4ハーパー 13着
前目の位置でも上がり33秒台の決め手が要求される舞台
以下は過去10年で馬券に入った30頭の上がり3Fです。
- 32秒台【3頭】
- 33秒台【23頭】
- 34秒台【3頭】
- 35秒台【1頭】
ヴィクトリアマイルはBコース替わりのため馬場状態も非常に良好で内前が有利になりやすいのが特徴。
そのため前目の位置でも上がり33秒台の決め手が要求されることが多く、高速馬場適性と瞬発力を問われる舞台です。
過去10年ヴィクトリアマイルの傾向
- 4歳・5歳が中心。6歳以上でも人気薄かつ前目で競馬をするには注意
- G1組VS阪神牝馬S組の構図。中でも中距離G1の「大阪杯」からは【1-1-2-3】と好走率が高い
- 前目の位置でも上がり33秒台の決め手が要求される舞台
- Bコース替わりのため馬場状態も非常に良好で内前が有利になりやすい
有力馬ピックアップ
◎マスクトディーヴァ
この馬が脚光を浴びたのはローズS。
この時は開幕2週目で超高速馬場だったこともあるが勝ちタイムの1.43.0は衝撃のJRAレコード。1600mの通過タイムは1.31.2(この時点で先頭)という事を考えれば高速馬場やマイルでの追走能力などの心配は無用。
タイムは展開や条件に左右されることが多いので過度の信頼は禁物だが、この時負かしたブレイディヴェーグは次走でエリザベス女王杯を制しているようにこの馬の実力自体を疑う余地はない。
京都の内回りコースに不安点を残す中、秋華賞では出遅れながらもリバティアイランドに1馬身差の2着まで猛然と追い込んできた。
今年は春はこの舞台に照準を合わせた使い出し。東京新聞杯はスタートの瞬間に終わったとわかるほどの大出遅れで6着でこれは参考外のレース。
前走阪神牝馬Sでは課題のスタートを決めたり、マイルの流れを4番手で追走するなど前回の課題をしっかりと修正できたのがかなり大きい。東京の広いコースもコーナーワークがやや不器用なこの馬にとってプラス。
ただスタートの不安が完全に払拭されたわけではないので、ナミュールとの優劣より自分との勝負になってきそう。
スタートが決まれば前走のように中団やや前目につける事も可能。そうなれば終いのキレは十分なので、過去のヴィクトリアマイル優勝馬たちの勝ちパターンの再現が期待できる。
〇ナミュール
スピード感のある直線一気の差し脚は爽快感がありファンも非常に多い馬。
3歳~4歳春まで成績は中々期待されていた通りの走りができずもどかしい思いをしたファンも多いはず。
この時期の敗因を大まかに探っていくと、僅差負けはトラックバイアスが原因のものが多く(内伸び馬場で外など)、大敗しているものは道中での不利が原因となっています。
歯車が噛み合いだしたのが去年の秋からで、ソウルラッシュを下したマイルCSの勝利や、世界の強豪が集まるドバイターフでの僅差の2着はここでは頭一つ抜けた実績。ここ最近のG1成績は1着→3着→2着で今回のメンバーレベルを考えればチャンスは十分。
一方で後方からの直線一気は運が悪いとどうしても3歳~4歳春のような成績なりがち。内前有利な馬場だった場合は、後方からの馬は必然的に不利な所を回ってくる羽目になるし、隊列次第では詰まるリスクも増えてくる。
ヴィクトリアマイルはBコース替わり初週という事もあり基本的には内前有利。そのためある程度ポジションを取りながら上手く立ち回るか、この馬の得意とする直線一気に賭けるかの難しい判断を迫られる。
メンバーレベルを考えても大きく崩れるところは想像しずらいが、トラックバイアスの関係で負けて強しで惜敗するパターンも想定しておきたいところ。
△ウンブライル
ウンブライルは全兄であるステルヴィオがマイルCSを勝ったこともありデビュー前からかなり期待されていた馬。ルメール騎手を始め手綱をとった騎手達の評価も軒並み高い。
気難しい面がある馬で中々思うような結果は挙げれていないが、NHKマイルで2着などがあるようにしっかり実力を出し切れば目を見張る脚がある。差し決着ではあったがあと少しだけ前で脚を溜めれていれば…というような内容。
東京新聞杯は骨折9カ月ぶりの実戦でプラス22キロ。9着という結果もやむなしだった。
叩き2走目となった前走はルメール騎手が怪我のため川田騎手を起用。馬体も絞れて状態も上向きで、差し脚を伸ばしての2着。勝ったマスクトディーヴァとの力差は正直感じたが、このレースは過去イチと言えるほどスムーズでようやく進展が見えた。
3枠5番はBコース替わりを考えればいいが、この馬の特徴を考えれば若干内過ぎる気もある。そこは川田騎手のエスコートに期待。G1では納得させる騎乗が多いのである程度のポジションにつけている可能性が高い。
△フィアスプライド
フィアスプライドはなんといっても1枠2番という枠順とルメール騎手を確保できたことが大きい。
気になる展開だがルメール騎手は過去フィアスプライド初重賞制覇した時コメントでこう述べている。
ルメール騎手「彼女のレースをよく見ました。いつもスタートが遅くて、最後は伸びてきますが間に合わない…今日はいい枠(3枠6番)でしたから、いいポジションを取りたかった。いいスタートを決めてベストポジションを取れました」
ターコイズステークスレース後コメント
このコメントを見ても今回も「スタートが決まれば」できるだけポジションを取りに行くのではないかと予想する。上手く行けばヴィクトリアマイルの好走パターンである内前からの瞬発力勝負を仕掛ける事ができる。
前走中山牝馬S9着とはまた条件が一変するので、トラックバイアスの恩恵を受けやすい1頭と言える。
とはいえ前日オッズで4番人気とあまり旨味がない。実力的には上位2頭が上手くレースを運べないなどの後押しは欲しい。
△モリアーナ
モリアーナはあまり展開利が見込める脚質ではないし、末脚勝負となった場合は上位2頭が強いしくで強くは推せないが、どんな条件下でも力を出す点を評価した。
距離延長や極悪馬場などでもめげずに走っているし、前走阪神牝馬Sではウンブライルより1キロ重く、前有利の展開での3着。2着とは着順が入れ替わってもおかしくはない。
鞍上の横山典騎手も、京都の内回りの秋華賞では最短距離のインを突いてくるなど思い切った乗り方をする騎手。バッサリ切るには怖いコンビ。
ヴィクトリアマイルレース予想(最終レース予想日曜15時33分更新)
今回は上位2頭が強いと思い、▲候補はなし
あとはオッズと相談しながら展開利のありそうな人気薄を追加するか否かぐらいでしょうか
ただ◎はオッズ的な面やスタートの出遅れの可能性もあることを考えれば、勝負しにくいレースであるかなと感じます。
〇ナミュールもマイルCSの単勝が17倍だったことを考えるとどうしても後追い感があります…
最終的な印、買い目はもう少し考えたくて日曜のお昼ぐらいまでには更新したいと思います。
◎マスクトディーヴァ
〇ナミュール
△ウンブライル
△フィアスプライド
△モリアーナ
‥‥3連複の紐‥‥
×スタニングローズ
×ライラック
馬連:◎ー〇△△△
3連複:◎〇ー△△△△××
想定ペース:ややスロー
最後まで読んでくださりありがとうございました!