中山競馬場は内回りコースと外回りコースが用意されている右回りの競馬場です。
特に外回りコースはおむすび型の特徴的なコースになっており、主要4場の中でも得意不得意の差が出やすい競馬場です。
ここでは、中山競馬場の芝2500mの特徴や傾向について詳しく紹介していきます。
中山芝2500mで開催される代表的なレース
- 有馬記念(G1)
- 日経賞(G2)
中山芝2500mの代表的なレースは「有馬記念」です。12月末に行われる暮れのグランプリで、日本で最も馬券が売れるレースでもあります。
また有馬記念は公開枠順抽選会が生中継されることでも有名。枠順が大きく左右する中山芝2500mだけにその結果には非常に注目が集まります。
中山芝2500mのコースの特徴
内回りでコーナーを6つ回るトリッキーなコース
中山芝2500mは内回りコースを使用します。ただスタートだけは外回りの3コーナー付近から。そこからすぐに内回りコースに合流し、4コーナーを回ってからコースを1周します。つまり…
- 3コーナー
- 4コーナー
- 1コーナー
- 2コーナー
- 3コーナー
- 4コーナー
とコーナーを6つも回ることになるトリッキーなコースになります。
中山内回りコース自体が小回りな上、多くコーナーを回る中山芝2500mは器用さや機動力が求められる舞台となります。
特にスタート後は即カーブとなるため、外枠の馬はここをどう切り抜けるかが大きなポイントになります。早めに前につけて内に入るか、他の馬を行かせて後方から競馬をする必要があります。中途半端な位置になってしまうと、ずっと外を回されるためロスが大きくなります。
一方内枠の馬はタイトなコースの中で馬群を捌いてこなければいけないので、ジョッキーは非常に難しい判断が求められます。
最後の直線は310mと短いため、ある程度のポジションまで押し上げたい
中山の直線は310mとかなり短め。残り180m地点からの急坂は高低差2.2m、最大勾配2.24%と全競馬場最大。
中山芝2500mは序盤と終盤に2度急坂を上ることになり距離も相まってかなりタフなレースになりやすい。
短い直線だけで追い込むのは厳しく、直線に入るまでにある程度のポジションまで押し上げておきたい。有馬記念では1番人気の馬が4角先頭に立つことも多く大きな盛り上がりを見せる。
勝ちタイムもレースによってかなりばらつきがあるのも特徴。条件戦などでは特に道中緩い流れになりやすい。
開催時期や馬場状態で傾向がガラリと変わる
距離問わず中山の芝コースで気をつけたいのが、開催時期による馬場状態の変化です。
中山競馬場は開催時期も多く、「9月の野芝主体とした時期」や、「12月~4月の野芝の上に洋芝をオーバーシードしている時期」などによって馬場の傾向が大きく変わります。
9月の中山開催 | 12月~4月の中山開催 | |
芝 | 野芝主体 | 野芝+洋芝 |
傾向 | 高速決着でスピード馬有利 | 時計がかかりパワー型有利 |
有利な脚質 | 逃げ・先行 | 差しも浮上 |
ただこの傾向は、前述したように各馬のスパートするタイミングに大きく左右されます。高速決着で前が有利と思っていても、途中から一斉に動き出して持久戦になるということもよくあるコースです。
出走馬の脚質などや陣営のコメントなどもよく確認しておきましょう。
野芝は、日本で主に使われる芝で「ほふく茎」が地表付近を覆うように広がるため、馬が地面を蹴りやすくスピードが出やすいのが特徴。そのためクッション性は低く(クッション値は高くなる)、保水量は少なくなる。
また、洋芝と比べて耐久性が高く馬場が痛みにくいのも特徴。
中山芝2500mデータ詳細
コース | 右回り |
一周距離(内回り) | Aコース:1667.1m Bコース:1686m Cコース:1704.8m |
直線距離(内回り) | 310m |
高低差(内回り) | 5.3m |
コースレコード | 2:29.5(ゼンノロブロイ 2004 有馬記念) |
中山芝2500mで注目の枠順・脚質
枠順で注目なのはまず「5枠」。勝率、連対率、3着内率全てでトップです。
勝率では「3枠」や「8枠」も悪くありません。コース形態的には内枠が有利なので、大外枠の「8枠」は敬遠されがちですが、実際の勝率は悪くないため注意が必要です。
ただこれは下級条件などの小頭数でのデータも含めたものなので注意が必要です。
フルゲートになりやすい有馬記念などでは、普通に外枠は不利となっています。
脚質ではロスなく立ち回りやすい「先行」が有利です。また序盤中盤は中団、後方からレースを進めて、最後の4角で先頭グループまで位置を押し上げてくる「マクリ」は決まりやすく要注意です。
枠順 | 5枠・3枠・8枠 |
脚質 | 先行・マクリ |
有馬記念過去10年のデータと傾向
以下は有馬記念の過去10年の1着~3着馬の性齢・枠順・前走です。
年 | 着順 | 枠 | 馬名 | 性齢 | 前走 |
---|---|---|---|---|---|
2023年 | 1着 | 5 | ドウデュース | 牡4 | JC |
2着 | 16 | スターズオンアース | 牝4 | JC | |
3着 | 4 | タイトルホルダー | 牡5 | JC | |
2022年 | 1着 | 9 | イクイノックス | 牡3 | 天皇賞秋 |
2着 | 3 | ボルドグフーシュ | 牡3 | 菊花賞 | |
3着 | 5 | ジェラルディーナ | 牝4 | エリ女 | |
2021年 | 1着 | 10 | エフフォーリア | 牡3 | 天皇賞秋 |
2着 | 5 | ディープボンド | 牡4 | 凱旋門賞 | |
3着 | 7 | クロノジェネシス | 牝5 | 凱旋門賞 | |
2020年 | 1着 | 9 | クロノジェネシス | 牝4 | 天皇賞秋 |
2着 | 14 | サラキア | 牝5 | エリ女 | |
3着 | 13 | フィエールマン | 牡5 | 天皇賞秋 | |
2019年 | 1着 | 6 | リスグラシュー | 牝5 | コックス |
2着 | 10 | サートゥルナーリア | 牡3 | 天皇賞秋 | |
3着 | 7 | ワールドプレミア | 牡5 | 菊花賞 | |
2018年 | 1着 | 8 | ブラストワンピース | 牡3 | 菊花賞 |
2着 | 12 | レイデオロ | 牡4 | 天皇賞秋 | |
3着 | 15 | シュヴァルグラン | 牡6 | JC | |
2017年 | 1着 | 2 | キタサンブラック | 牡5 | JC |
2着 | 3 | クイーンズリング | 牝5 | エリ女 | |
3着 | 10 | シュヴァルグラン | 牡5 | JC | |
2016年 | 1着 | 11 | サトノダイヤモンド | 牡3 | 菊花賞 |
2着 | 1 | キタサンブラック | 牡4 | JC | |
3着 | 2 | ゴールドアクター | 牡5 | JC | |
2015年 | 1着 | 7 | ゴールドアクター | 牡4 | アル共 |
2着 | 9 | サウンズオブアース | 牡4 | JC | |
3着 | 11 | キタサンブラック | 牡3 | 菊花賞 | |
2014年 | 1着 | 4 | ジェントルドンナ | 牝5 | JC |
2着 | 6 | トゥザワールド | 牡3 | 菊花賞 | |
3着 | 11 | ゴールドシップ | 牡5 | 凱旋門 | |
2013年 | 1着 | 6 | オルフェーヴル | 牡5 | 菊花賞 |
2着 | 4 | ウインバリアシオン | 牡5 | 金鯱賞 | |
3着 | 11 | ゴールドシップ | 牡4 | JC |
ベストは「5枠」やや内~中間当たりの枠順が有利
成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内 | |
1枠 | 1-1-1-16 | 5.26% | 10.53% | 15.79% |
2枠 | 1-2-1-16 | 5.00% | 15.00% | 20.00% |
3枠 | 2-2-1-15 | 10.00% | 20.00% | 25.00% |
4枠 | 2-0-2-16 | 10.00% | 10.00% | 20.00% |
5枠 | 3-2-1-14 | 15.00% | 25.00% | 30.00% |
6枠 | 1-1-1-17 | 5.00% | 10.00% | 15.00% |
7枠 | 0-1-2-17 | 0.00% | 5.00% | 15.00% |
8枠 | 0-1-1-18 | 0.00% | 5.00% | 10.00% |
枠順では「3枠」「4枠」「5枠」のやや内~中間当たりが良績です。特に過去10年で3勝している「5枠」は注目。
中山芝2500mの中でも特に出走頭数が多くなる有馬記念では外々を回らされる外枠はかなり不利になります。
有馬記念では枠順発表が公開で行われますが、やはり外枠を引いてしまった時は残念そうな表情をする関係者がよく見受けられます。
中心となるのは3歳馬、6歳以上の馬券内は1頭のみ
成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内 | |
3歳 | 4-3-2-16 | 16.00% | 28.00% | 36.00% |
4歳 | 3-5-1-39 | 6.25% | 16.67% | 18.75% |
5歳 | 3-2-6-39 | 6.00% | 10.00% | 22.00% |
6歳以上 | 0-0-1-35 | 0.00% | 0.00% | 2.78% |
天皇賞秋やJCでは古馬が優勢ですが、有馬記念では一転して3歳馬が優勢です。なお過去の3歳の勝ち馬はイクイノックス、エフフォーリア、ブラストワンピース、サトノダイヤモンドでいずれも3歳トップクラスの実力の持ち主でした。
また明確に不利なのは6歳以上で、6歳シュヴァルグランの3着が1回あるのみです。基本的に6歳以上は難しいと考えていいでしょう。
天皇賞秋組が最有力、菊花賞組も好走率が高い
成績 | 勝率 | 連対率 | 3着以内 | |
天皇賞秋 | 3-2-1-11 | 17.65% | 29.41% | 35.29% |
菊花賞 | 2-2-2-9 | 13.33% | 26.67% | 40.00% |
ジャパンカップ | 3-3-4-41 | 5.88% | 11.76% | 19.61% |
凱旋門賞 | 0-1-2-5 | 0.00% | 12.50% | 37.50% |
コックスプレート | 1-0-0-0 | 100% | 100% | 100% |
アルゼンチン共和国杯 | 1-0-0-7 | 12.50% | 12.50% | 12.50% |
エリザベス女王杯 | 0-2-1-23 | 0.00% | 7.69% | 11.54% |
前走で見てみると天皇賞秋組の成績が【3-2-1-11】と一歩抜けた成績です。
反対にジャパンカップ組は出走頭数を考えれば「勝率」は少し物足りない成績。原因としてはハイレベルなレースからの中3週となるため状態を維持するのが大変だという事が考えられます。秋3戦、4戦として既におつりがない場合もあるので臨戦過程はチェックしておきたい。
他には菊花賞組の成績も非常に優秀です。菊花賞から有馬記念に出走してくる馬はそもそも実力馬が多く少数精鋭。レース間隔も理想的なことが理由に挙げられます。