2025年皐月賞は3番人気ミュージアムマイルが直線で先に抜け出したクロワデュノールを並ぶ間もなく抜き去って1冠目を手にしました。
鞍上のモレイラ騎手は春のG1競走はこれで3勝目と神がかり的な成績を残しています。
記事として出すのは久しぶりではありますが、非常に激しいかつ動きのあるレースだったのでダービーのためにレース回顧として残しておこうと思います。
ここでは25年皐月賞のレース回顧をしていきます。次走の参考になれば幸いです。
レース予想結果

着順 | 枠番 | 印 | 馬名 | 重量 | 騎手 | タイム | 通過順位 | 上がり | 人気 |
1 | 11 | ▲ | ミュージアムマイル | 57.0 | J.モレイラ | 1:57.0 | 8-8-8-10 | 34.1 | 3 |
2 | 10 | ◎ | クロワデュノール | 57.0 | 北村友一 | 1 1/2 | 4-4-6-2 | 34.7 | 1 |
3 | 6 | △ | マスカレードボール | 57.0 | 横山武史 | クビ | 11-10-14-13 | 33.9 | 4 |

固い決着になりましたが概ね印上位での決着。
勝ちタイムは1:57.0のレースレコード。昨年の1:57.1に続き2年連続のレースレコードとなりました。


レース展開


ラップを見るだけでも何となく展開を察せてしまう今回の皐月賞。
一応参考までに同コースで行われた去年のホープフルSのラップも載せておくと以下のような感じになっています。
今回逃げ候補としてはジーティーアダマンがいましたが、ピコチャンブラックが内を見ながらゆっくりとハナに立ち前半1000mは59.3。この日の超高速馬場を考えればスローで流れた前半戦。
それを良しとしなかったファウストラーゼンが動き出したのが2コーナーから向こう正面にさしかかる前半47秒あたり。実際にハナに奪い切った6F以降は11秒台の淀みないラップが連続している。
なおホープフルSでファウストラーゼンが動き始めたのは向こう正面に入り切ってからの61秒あたりだったので、今回はかなり早めに動き出したことになる。
ほぼ同じタイミングでアロヒアリイも動き出したことも後半苛烈になった要因の一つ。特にこの向こう正面では内のニシノエージェントが外側に斜行したことと、アロヒアリイが内側に斜行したこともあり、被害を受ける馬も続出した。
これだけで終わらず4コーナー手前あたりから断然人気のクロワデュノールが早めに進出を開始したことにより、先行勢は最後のひと踏ん張りのために緩めたかった1600m~1800m地点で十分に息を入れる事ができなかった。
これにより先行勢はクロワデュノールを除いてほぼ全滅する事態に。
また皐月賞初のCコース替わりの影響か、土曜日から稀に見る高速馬場で、1:57.0というレースレコードの決着に。
「立ち回りの上手さ」、「高速馬場」、「ロングスパート戦」といった適性を求められる1戦となった。
上位入線馬の見解


1着 ▲ミュージアムマイル
前走から一気にパフォーマンスを上げたのがミュージアムマイル。
馬場の違いや一叩きしてグンと上向いた体調面もそうだが、特に前走と違うのが3~4コーナーでの進路取りと仕掛けのタイミング。
勝負所でまずクロワデュノールが動き出し、それを見ていたサトノシャイニングも置いていかれないように仕掛け始める。ここでジッと我慢して内を回り一呼吸置いた仕掛けが最後の34.1という末脚に繋がった。
結果、先に抜け出した大本命クロワデュノールを並ぶ間もなく差し切っての1 1/2差の勝利。“マジックマン”モレイラの本領発揮といったところ。
いつでも抜け出せるポジションを取りながらも自ら前を潰しに行くという役目を背負った断然1番人気に対して、この馬自身はクロワデュノールだけに専念できたのも勝敗を分けた大きなポイント。
とはいえレースを通じて何もかも上手く行ったわけではなく、向こう正面のニシノエージェントがよれた一連の流れで厳しめの不利を受けている。
予想ではスタート不安があるので最低限スタートを決めるのが絶対条件と書いたが、今回はこれまでになく好スタートを切れていたところも評価したい。
【ミュージアムマイルのダービー評価】
今回モレイラ騎手のエスコートが完璧だっただけに、鞍上が誰になるかというのがまずは気になるところ。
ゴール後の映像でも1頭突き抜けていたようにまだ余力はありそうで2400mでも不安はない。
おそらく次もクロワデュノールが1番人気で前に見れる形にはなると思うので、今回と同じくやりやすい形に持っていけそう。
スタートだけはまだまだ注意しておきたい。
2着 ◎クロワデュノール
最終的な単勝オッズは1.5倍と圧倒的な支持を受けたクロワデュノール。
好スタートから4番手追走と序盤は理想的な運びだったが、ファウストラーゼンとアロヒアリイが捲ってきた向こう正面で外から押し込められる形になり一時的にポジションを悪くしてしまった。
このまま内に押し込められるのは得策でないと考えてか、早めに外の進路を確保しながら前を射程圏に捉える動き。
この場面については競馬ファンの間で色々と議論が交わされているが、圧倒的1番人気の立場としてはこのタイミングでの仕掛けは仕方がなかったと個人的には思っています。
結果、直線前を捉えて直線200m過ぎには堂々と先頭に立つも最後は力尽き2着。しっかり前を潰して後ろを受け切ろうとする王者の競馬ではあったと思います。
【クロワデュノールのダービー評価】
この馬に関しては自分の中では一貫して評価が高いです。
特に序盤前目のポジションをしっかりとれる安定感はかなり評価していて、これはダービーに関わらず今後も大きな武器になるはず。
今回状態面に関してもジョッキーは満足してなかった様子なので、最高の状態と皐月賞の反省を踏まえて臨んでくるであろう日本ダービーは引き続き最高評価を与えても良さそう。
3着 △マスカレードボール
今回4番手評価としていたマスカレードボールが3着。中山不安も懸念されていだがホープフルSとは見違える内容になったと思います。
中山コースは得意ではなかったのは事実としても、やはり状態面や気性的な難しさの部分がホープフルSでは大きかった様子。
この馬に関してはスタート直後に良い位置が取り切れなかったのが非常に悔いが残る。一応1コーナーでの加害馬という事になっているが、内のエリキングもかなり外に張ってきており、被害馬ともとれるのでこれは可哀想だった。
道中から3~4コーナーでのコース取りはロスがなく、かなり評価できる騎乗。前が苦しい流れで持ち前の鋭い末脚で直線は縫うように伸びてきて3着。上がり33.9もかなりのインパクト。
本当に最初のポジション争いでいい所につけれていたら…といったレースで惜しい内容。
【マスカレードボールのダービー評価】
皐月賞前でもダービー向きと言われていたように、東京で真価を発揮できる瞬発力を持っている。
今回軽視した人もダービーでこそ…と思っていたと思うので、人気的な旨味は期待できなさそうなのは残念だが、そこはグッと我慢して必ず評価したい1頭。
ただコースに限らず気性的な難しさは孕んでいるので、絶対的な信頼が置けるかというと怖いところも正直ある。
その他注目馬の見解


4着 ×ジョバンニ
特に切る要素もなく、買い目を絞るために消去法的に泣く泣く切った1頭だが十分強さを見せた1頭。
特に序盤は多くの馬が一番取りたかったクロワデュノールの真後ろを取ることに成功。
明暗を分けたのが向こう正面でのニシノエージェントから始まった一連の不利で、ここでポジションを下げざるを得ない状況に。
結果的に本来は収まれていたはずミュージアムマイルのポジションより更に後方になって、外を回す羽目になった分4着。
上位の馬も不利を受けたレースだっただけに何ともいえないが、もう少し際どい勝負には持ち込めていたように見えた。
【ジョバンニのダービー評価】
今回不利でポジションを悪くしたが、クロワデュノール同様安定したポジション取りと確実な末脚が魅力。
今回も7番人気で次もおそらく上位組の中では落ち着いた人気になりそうだが、好走はすれど上位組の誰かにはやられてしまうかも…と思ってしまう。
またしてもオッズと相談しながらという形になるが買っておきたい1頭。
5着 〇サトノシャイニング
8枠を不安要素として挙げたが、予想以上に今回のメンバーの中ではかなり外々を回る羽目になった。
また、1コーナーのマスカレードボール関連でのぶつけられる不利と向こう正面でのニシノエージェント関連でも外に張られるなど、終始ストレスをかけ続けられるレースに。
前走何とかなだめて馬の後ろに入れる教育をしていただけに、こういったレースは騎手としても避けたかったはず。
クロワデュノールを目標に進出を開始した時にすぐに追従する形での仕掛けになり、全体的に余裕がなかった。
【サトノシャイニングのダービー評価】
今回の中でもかなり距離ロスのあった馬なので、巻き返しが期待できる1頭。
ただスローからの瞬発力勝負になる場合も多く、ダービー向きかと言われると展開次第になってくるかと思います。
7着 △キングスコール
前走ほどではないがスタートで出遅れ。もし内枠から好スタートとなっていれば俄然期待は高まるところだったが後方14番手から。
今回のごちゃごちゃした不利には巻き込まれず、ある程度リラックスして走れたのは不幸中の幸い。途中からレースの流れが一変して前が苦しい展開になったのもプラス要素。
実際上がり33.9で次に繋がるレースはできたのだが、流石にあの位置からだと突き抜けるまでには至らない。
6着のマジックサンズなども内外の差はあるが似たような競馬で、今回はスタート時点でレースに参加させてもらえなかった印象。
8着 △アロヒアリイ
不器用でタフな特性もあって、後方から4コーナーでぶん回すくらいならロスの少ない向こう正面で位置を押し上げようという考え。
ただ、ホープフルS、弥生賞とファウストラーゼンが既にマクリを見せていて、さらにここも同様にファウストラーゼンのマクりが予想されていたこともあって、相手のスキを突く奇襲戦法としての効果はなかったように見えた。
クロワデュノールとしてもファウストラーゼンへの認識は以下のやはり違ったように思う。
- ホープフルS → 未勝利を勝ったばかりの17番人気の馬が強引に捲ってきた
- 今回 → ホープフル3着、弥生賞1着馬が得意の形に持ち込んできた
結果的にクロワデュノールがあまり前を可愛がらなかったこともあり、先行集団には厳しいレースに。
苦しいレースをした割には踏ん張っていたので、やはりポテンシャルは感じさせる馬。正攻法での立ち回りに磨きがかかればもっと成績は安定しそう。
現時点でのダービーでの評価まとめ
個人的なダービーでの評価をまとめると以下。あくまで現時点でのもので、また入れ替わる可能性は十分あります。
- 1位 クロワデュノール
- 2位 マスカレードボール
- 3位 ミュージアムマイル
- 4位 サトノシャイニング
- 5位 ジョバンニ



やはり序盤の安定感でクロワデュノールの評価を今回に引き続き据え置きの1位評価。レース内容自体も強かったと思います。
切れ味活かせるマスカレードボールも東京で素直に評価UPさせたい。
今年の上位馬はいずれも順当に強いという認識で良さそうです。
レース総括
- 中山は前日から速いタイムが連発する超高速馬場。勝ちタイムもレースレコードの1:57.0。
- 前半59.3のスローの流れからファウストラーゼン・アロヒアリイが捲って後半は淀みないペースに。
- 道中あちこちで斜行が発生し不利を受けた馬が相当数いる荒れたレース。
- 大本命馬クロワデュノールの3コーナーからの進出もあり先行勢には厳しい流れ。
- 「立ち回りの上手さ」、「高速馬場」、「ロングスパート戦」といった適性を求められたレース。



最後まで読んでくださりありがとうございました!
各馬の動きに意図があって非常に面白いレースだった思います。
この結果を受けて日本ダービーはどうなるのか非常に楽しみですね。