2024年NHKマイルカップは2番人気のジャンタルマンタルが絶好のスタートから手応え十分で直線抜け出して3歳のマイル王者となりました。
これでジャンタルマンタルは6戦4勝となり既にG1は2勝目。混沌とする日本のマイル戦線に3歳から強豪が現れました。
ここでは24年NHKマイルのレース回顧をしていきます。次走の参考になれば幸いです。
レース予想結果
着順 | 枠番 | 印 | 馬名 | 重量 | 騎手 | タイム | 通過順位 | 上がり | 人気 |
1 | 12 | 〇 | ジャンタルマンタル | 57.0 | 川田将雅 | 1:32.4 | 3-3 | 33.9 | 2 |
2 | 9 | ◎ | アスコリピチェーノ | 55.0 | C.ルメール | 2 1/2 | 5-3 | 34.2 | 1 |
3 | 11 | ロジリオン | 57.0 | 戸崎圭太 | クビ | 8-6 | 34.0 | 10 |
〇◎決着で馬連が的中も3連複でロジリオンが拾えず…
3連複は軸2頭がきて紐が抜けるパターンは早々ないと思っていましたが、慢心だったかも。
◎アスコリピチェーノ
〇ジャンタルマンタル
▲ノーブルロジャー
△ボンドガール
△ディスペランツァ
△ゴンバデカーブース
△アルセナール
☆シュトラウス
3連複2頭軸:◎〇ー▲△△△△☆
馬連BOX:◎〇▲
単勝:▲
想定ペース:ミドル
馬連:360円
レース展開
キャプテンシー、マスクオールウィン、ボンドガールがお互い出方を伺う中でキャプテンシーがハナに。
前半46.3後半46.1でフラットなペース。コースは違いますが、今年の桜花賞とほぼ同じようなラップ推移。
ジャンタルマンタル、アスコリピチェーノと強い2頭が前にいたこともあり、実力勝負の流れに。
阪神JFと桜花賞かなり似た流れ
桜花賞:12.5 – 10.8 – 11.2 – 11.8 – 11.8 – 11.4 – 11.2 – 11.5(1:32.2)
NHK:12.3 – 10.7 – 11.3 – 12.0 – 12.0 – 11.4 – 11.2 – 11.5(1:32.4)
トラックバイアスはレースではそこまで感じさせませんでしたが、それまでのレースを見ると内の馬場状態が良くやや内前有利の馬場。
非常にハイレベルなメンバーでしたが、勝ちタイム1:32.4は過去10年でアドマイヤマーズの年と同じで4位タイ。参考程度だが同日に行われていた1600m(4歳3勝クラス)と比較してみると以下のような感じ。
NHKマイル | 4歳3勝クラス | タイム差 | |
24年 ジャンタルマンタル | 1.32.4 (良) | 1:32.5 (良) | -0.1 |
22年 ダノンスコーピオン | 1.32.3 (良) | 1.32.3 (良) | 0.0 |
21年 シュネルマイスター | 1.31.6 (良) | 1.32.0 (良) | -0.4 |
20年 ラウダシオン | 1.32.5 (良) | なし | なし |
19年 アドマイヤマーズ | 1.32.4 (良) | 1:32.6 (良) | -0.2 |
17年 アエロリット | 1.32.3 (良) | 1.33.8 (良) | -1.5 |
アエロリットの年の3勝クラスはかなりのスローではあった事も付け加えておきます。
直線では上位人気馬を含む大きなごたごたがあったこともあり、レースレベルは想定の範囲内にとどまってしまった形。(それでも勝ち馬は評価できる)ただ上位2頭が競り合う形になっていればもう少しタイムが縮まっていた可能性は高そうです。
上位入線馬の見解
1着 〇ジャンタルマンタル
弱点らしい弱点がない馬で今日も完璧と言えるレースだった。
圧勝の要因の一つとなったのは文字通り頭一つ抜けたスタート。予想段階で理想としていた同じく外枠だった22年ダノンスコーピオンを彷彿とさせるスムーズなレース運び。
直線は抜け出すタイミングを十分待てるほどの手応えだったし、その過程で相手筆頭だったアスコリピチェーノに外の進路を渡さない動きもできた。これは川田騎手が得意とする動き。
抜け出してからも脚色は全く衰えなかったし、本当に強い内容でした。
現時点では本当に非の打ちどころのない馬です。
あえて粗を探すなら完成されすぎていて、古馬になってからの成長力がどうなるかというところ。まあ現時点で考える事でもないし杞憂に終わりそうではあります。
2着 ◎アスコリピチェーノ
今回問題となったのはこの馬。
ジャンタルマンタルのスタートに目が行きますがこちらもかなりの好スタート。このおかげもあっていつもより1列前目でレースを運ぶことがてきました。
前にはジャンタルマンタルも見れて理想的なポジション!…となるはずだった。様子が変わってきたのが3、4コーナーで前に見ていたジャンタルマンタルが外で並走する形になって、周りを囲まれる隊列になったあたり。
タイミングを合わされることによって、外に持ち出すことができず向こうは手ごたえも十分。思い切って前のマスクオールウィンの内を突く選択をしましたが、同じタイミングでマスクオールウィンも内にヨレ始めてこれが大きな誤算。
結果更にスペースがなくなりキャプテンシーとボンドガールの進路を大きくカットする形に。同時に自分自身も躓いて万事休す。
ルメール騎手としては珍しく焦りも見せて、一瞬の隙を狙ったが結果危険な騎乗になってしまった。(※マスクオールウィンの岩田騎手、アスコリピチェーノのルメール騎手は過怠金3万円)
それでも最後は2着まで盛り返していたのだからこの馬の能力も相当なもの。それだけにスムーズにレースができていれば歴史に残る名勝負だったかも…と思うと残念でならない。
状態もかなり良かったようで今回の不完全燃焼は痛いですね。
ただレース後距離はもう少しあってもいいというコメントもあり、活躍できる場は多そうです。広くて長い直線コースがベスト。
3着 ロジリオン
10番人気という評価を覆しての激走となったロジリオン。
内目の中団というポジショニングでロスなく回ってこれた。後は上手く抜けてこれるかという所だったが前が実力馬のジャンタルマンタルだったのも大きく進路もスムーズに確保できてよく伸びた。
自分の実力は出し切れるタイプだが、前走はスペースが全くなく不完全燃焼の5着だったことでこの人気に。
メンバーが揃っていて印が届かなかったが、最大限の走りでの3着となった。人気的にも3連系なら押さえておくべきだったと後悔。
現状はまだG1では紐候補の1頭だが、パフォーマンスを上げてきており成長力を感じさせます。
その他注目馬の見解
4着 △ゴンバデカーブース
位置取りは中団やや外目。実力的にはもっと伸びても良さそうだったが、勝負所からやや押っつけ気味。
手応え面で上位とはかなり差があり、この辺りは休み明けが大いに関係していそう。久々でこのハイレベルメンバーのG1という事を考慮すれば4着は上出来。
かなり長くいい脚を使っているし、上手く戦線に復帰できたと思います。
今日の脚をみていると距離を伸ばしてもパフォーマンスを上げてきそうです。
17着 △ボンドガール
好スタートからの内の3番手。今日の内前有利のトラックバイアスを考えても好走できそうなレース運びだったが、マスクオールウィンとアスコリピチェーノの一連の動きで大きく不利を受ける形であとは流す感じに。
スムーズに運べていたらどれくらいの着順だったかは想像するのは難しいが、3着~5着圏内は見えていたかなと思う。
かなり危ない形になったので怪我がないことを祈るばかり。
12着 ▲ノーブルロジャー
スタートで躓き理想としていた内前目を取ることができなかった。懸念していた内枠が裏目に出てしまうパターン。
ただそれにしても目立った脚が使えず内容的にはかなり微妙で、今後G1で重い印をつけるのは控えたいと思わせる内容…
今日のレースを見るにスピード勝負で後れを取っていました。シンザン記念のようなタフな流れで再考もあるが、まだまだ力をつけないといけない結果。
9着 △アルセナール
こちらは出遅れが全てといった内容でキャリアの浅さが露呈した。
上位2頭があの手応えの中前目で回ってきたことを考えれば17番手はお手上げ。この位置取りだと当然かなり外を回すことになり、大味な競馬になってしまった。
とはいえ勝ったジャンタルマンタルは3番手から上がり33.9、この馬が17番手から33.8だったことを考えると、ある程度スタートを出ていても上位争いまでは難しかったとみる。
ゲートは課題として残す形に。これでまだ3戦目で経験を積んでいく過程で成長できればまだまだ見限れない。
7着 △ディスペランツァ
後方から末脚に賭ける馬としては内枠過ぎたので、高い騎乗スキルが要求されると思い今回はやや評価を落としたが、道中は10番手あたりで上手く進めていたように見えた。
直線でこれから持ち味の瞬発力を発揮するというタイミングでゴンバデカーブースに寄られたのがきつかった。(※ゴンバデカーブースのモレイラ騎手は過怠金3万円)
この馬にとっては一瞬のキレは切り札みたいなもので、それを出し損ねた形で7着。スムーズなら3着争いには参加できた可能性はある。
外差しが決まるようなレースで伸び伸び走らせたいですね。
16着 ☆シュトラウス
狂ってしまった歯車の修正が中々上手くいかない。
今回も大きく出遅れで最後方から。前走のように折り合いに専念するが、折り合いは全くつかずジェットスキー状態に。残念ながら前走より内容的には悪く進展が見られなかった。
スタートが出ればまたとれる作戦も変わってくると思うので、そこはなんとか改善したい。
陣営も頭を悩ませているとは思うが、あまりに前進気勢を削ぎすぎている戦法にも見える。
新馬戦を9馬身差の勝利や、出世レースと言われる東スポ2歳Sを完勝できるだけのポテンシャルは持っているので、なんとかまた実力が発揮できる状態に持って行って欲しい。
戦法含め色々と工夫を重ねていく必要がありそうで、長い目で見てあげる必要がありそうですね。
レース総括
- トラックバイアスは内前がやや有利
- 前半46.3後半46.1でフラットなペースで流れは今年の桜花賞に酷似
- 勝ったジャンタルマンタルはスタートからゴールまで完璧な競馬
- 躓く形になったアスコリピチェーノも勝ち馬同様に高い評価
- 勝ち時計の1:32.4は過去10年で4番目タイの時計、不完全燃焼の馬も多かった
最後まで読んでくださりありがとうございました。
来週は古馬牝馬のヴィクトリアマイルです。
ドバイ帰りのナミュールとマスクトディーヴァが激突します。