中山競馬場は内回りコースと外回りコースが用意されている右回りの競馬場です。
特に外回りコースはおむすび型の特徴的なコースになっており、主要4場の中でも得意不得意の差が出やすい競馬場です。
本記事では、中山競馬場の芝2200mの特徴や傾向について詳しく紹介していきます。
中山芝2200mで開催される代表的なレース
中山2200mで行われる重賞レースは3つあり、全てがG2です。
特に秋に開催される「セントライト記念」や「オールカマー」はその後のG1に繋がる重要レースになります。
中山芝2200mのコースの特徴
起伏の激しいコース
中山芝2200mはおむすび型の形状の「外回り」コースを使用します。
以下はスタートからゴールまでの大まかな流れになります。
- スタート後に中山名物の急坂(直線約430m)
- 更に2コーナー入り口まで上り坂
- 3コーナ途中まで続く下り坂
- 直線半ばまでの平坦箇所
- 最後にもう一度急坂を上ってゴール(直線310m)
このように急坂2回を含むかなり起伏の激しいコースになります。
直線の坂は、高低差2.2m、最大勾配2.24%の急坂で、その勾配は全10場で最大になります。
2コーナー入り口までの上り坂を合わせると高低差は5.3mになり、こちらも全10場で最大の高低差になります。
ロングスパート戦になりやすい
「3コーナー途中まで続く下り坂」と「310mという短い直線」もあってか、早めに仕掛けていく馬も多くロングスパート戦になることが多いのが特徴。
早め先頭で押し切ることもあったり、最後の坂で力尽きて一気に形勢が変わったりとスパートのタイミングも問われるコースです。
その年の気候によっても野芝の状態は大きく変わってくるので注意。
開催時期や馬場状態で傾向がガラリと変わる
距離問わず中山の芝コースで気をつけたいのが、開催時期による馬場状態の変化です。
中山競馬場は開催時期も多く、「9月の野芝主体とした時期」や、「12月~4月の野芝の上に洋芝をオーバーシードしている時期」などによって馬場の傾向が大きく変わります。
9月の中山開催 | 12月~4月の中山開催 | |
芝 | 野芝主体 | 野芝+洋芝 |
傾向 | 高速決着でスピード馬有利 | 時計がかかりパワー型有利 |
有利な脚質 | 逃げ・先行 | 差しも浮上 |
ただこの傾向は、前述したように各馬のスパートするタイミングに大きく左右されます。高速決着で前が有利と思っていても、途中から一斉に動き出して持久戦になるということもよくあるコースです。
出走馬の脚質などや陣営のコメントなどもよく確認しておきましょう。
野芝は、日本で主に使われる芝で「ほふく茎」が地表付近を覆うように広がるため、馬が地面を蹴りやすくスピードが出やすいのが特徴。そのためクッション性は低く(クッション値は高くなる)、保水量は少なくなる。
また、洋芝と比べて耐久性が高く馬場が痛みにくいのも特徴。
中山芝2200mで注目の枠順・脚質
中山芝2200mでは「1枠」が抜けて成績がよく、注目の枠になります。
外回りのおむすび型のコースはカーブの占める割合が多く、外々を回らされる形になるときつくなります。
脚質は直線の短い中山だけあって、「逃げ」の勝率が良い傾向にあります。穴も出やすい傾向にあるので逃げる馬には注目です。
連対率・3着内率などは各脚質で大きな差異はないので、特に脚質で割り引く必要はありません。
枠順 | 1枠 |
脚質 | 逃げ |
年間のレース数はそこまで多いコースではないので、参考程度で考えておくと良さそうです。
中山芝2200mデータ詳細
コース | 右回り |
一周距離(外回り) | Aコース:1839.7m Bコース:1858.5m Cコース:1877.3m |
直線距離(外回り) | 310m |
高低差(外回り) | 5.3m |
コースレコード | 2:10.1(コスモバルク 2004 セントライト記念) |
AJCCの過去10年のデータと傾向
年 | 着順 | 馬名 | 前走 | 前着順 | 中山実績 |
---|---|---|---|---|---|
2023 | 1着 | ノースブリッジ | 天皇賞秋 | 11着 | 1-0-0-1 |
2着 | エヒト | チャレンジC | 3着 | 0-0-0-1 | |
3着 | ユーバーレベーン | JC | 10着 | 0-0-1-0 | |
1着 | キングオブコージ | 中日新聞杯 | 5着 | 2-0-0-1 | |
2着 | マイネルファンロン | 中日新聞杯 | 17着 | 2-1-2-2 | |
3着 | ボッケリーニ | 中日新聞杯 | 4着 | 0-0-0-0 | |
2021 | 1着 | アリストテレス | 菊花賞 | 2着 | 0-0-0-0 |
2着 | ヴェルトライゼンテ | 菊花賞 | 7着 | 0-2-0-1 | |
3着 | ラストドラフト | アルゼンチン | 2着 | 1-0-1-2 | |
2020 | 1着 | ブラストワンピース | 凱旋門賞 | 11着 | 1-0-0-0 |
2着 | ステイフーリッシュ | チャレンジC | 10着 | 0-1-1-0 | |
3着 | ラストドラフト | 中日新聞杯 | 2着 | 1-0-0-2 | |
2019 | 1着 | シャケトラ | 有馬記念 | 6着 | 1-0-0-1 |
2着 | フィエールマン | 菊花賞 | 1着 | 1-0-0-0 | |
3着 | メートルダール | 中日新聞杯 | 5着 | 1-0-1-1 | |
2018 | 1着 | ダンビュライト | サンタクロー | 1着 | 0-0-2-0 |
2着 | ミッキースワロー | 菊花賞 | 6着 | 2-0-0-1 | |
3着 | マイネルミラノ | 中山金杯 | 11着 | 4-1-0-9 | |
2017 | 1着 | タンタアレグリア | 天皇賞春 | 4着 | 0-0-0-2 |
2着 | ゼーヴィント | 福島記念 | 2着 | 2-1-0-0 | |
3着 | ミライヘノツバサ | 迎春S | 1着 | 4-1-1-0 | |
2016 | 1着 | ディサイファ | 金鯱賞 | 2着 | 0-2-2-3 |
2着 | スーパームーン | ディセンバー | 2着 | 0-2-1-2 | |
3着 | ショウナンバッハ | JC | 12着 | 0-0-0-2 | |
2015 | 1着 | クリールカイザー | ステイヤーズ | 3着 | 4-3-1-6 |
2着 | ミトラ | 福島記念 | 1着 | 4-0-0-0 | |
3着 | エアソミュール | 金鯱賞 | 3着 | 1-0-0-1 | |
2014 | 1着 | ヴェルデグリーン | 有馬記念 | 10着 | 4-1-0-3 |
2着 | サクラアルディート | 中山金杯 | 9着 | 0-0-0-2 | |
3着 | フェイムゲーム | ディセンバー | 6着 | 2-0-0-4 |
前走G1組が6勝と堅実な活躍!2桁着順からの巻き返しにも注意
別定戦の古馬G2だけあって前走別の成績を見るとG1組が過去10年で6勝と堅実な活躍を見せています。その他は横一線の印象ですがG3組の連対率も高めで注意したい臨戦過程となります。
- G1【6-3-2-27】
- G2【2-0-2-22】
- G3【1-6-4-28】
- OP【0-1-1-21】
- 3勝【1-0-1-13】
この影響もあってか前走2桁着順からの巻き返す馬も目立ちます。過去10年の1~3着馬で前走2桁着順だった馬は13/30と多く、条件好転での巻き返しはしやすいレースとなります。
人気薄でも中山得意の実績馬には注意が必要
また中山実績のある馬にも注目しておきたいレース。22年マイネルファンロンは【2-1-2-2】11番人気で2着、18年マイネルミラノは【4-0-0-9】8番人気で3着、15年ミトラは【4-0-0-0】7番人気で2着と人気薄でも好走ケースが目立ちます。
中山巧者は人気薄でも一定の注意は払いたいレースとなります。
セントライト記念の過去10年のデータと傾向
年 | 着順 | 馬名 | 前走 | 前着順 |
---|---|---|---|---|
23年 | 1着 | レーベンスティール | ラジオニッケイ | 3着 |
2着 | ソールオリエンス | 日本ダービー | 2着 | |
3着 | シャザーン | 日本ダービー | 9着 | |
1着 | ガイアフォース | 国東特別 | 1着 | |
2着 | アスクビクターモア | 日本ダービー | 3着 | |
3着 | ローシャムパーク | 山藤賞 | 1着 | |
21年 | 1着 | アサマノイタズラ | ラジオニッケイ | 12着 |
2着 | ソーヴァリアント | 藻岩山特別 | 1着 | |
3着 | オーソクレース | ホープフルS | 2着 | |
20年 | 1着 | バビット | ラジオニッケイ | 1着 |
2着 | サトノフラッグ | 日本ダービー | 11着 | |
3着 | ガロアクリーク | 日本ダービー | 6着 | |
19年 | 1着 | リオンリオン | 日本ダービー | 15着 |
2着 | サトノルークス | 日本ダービー | 17着 | |
3着 | ザダル | プリンシパルS | 1着 | |
18年 | 1着 | ジェネラーレウーノ | 日本ダービー | 16着 |
2着 | レイエンダ | 松前特別 | 1着 | |
3着 | グレイル | 日本ダービー | 14着 | |
17年 | 1着 | ミッキースワロー | いわき特別 | 3着 |
2着 | アルアイン | 日本ダービー | 5着 | |
3着 | サトノクロニクル | ラジオニッケイ | 6着 | |
16年 | 1着 | ディーマジェススティ | 日本ダービー | 3着 |
2着 | ゼーヴィント | ラジオニッケイ | 1着 | |
3着 | プロティガルサン | 日本ダービー | 10着 | |
15年 | 1着 | キタサンブラック | 日本ダービー | 14着 |
2着 | ミュゼエイリアン | 日本ダービー | 10着 | |
3着 | ジュンツバサ | 500万 | 1着 | |
14年 | 1着 | イスラボニータ | 日本ダービー | 2着 |
2着 | トゥザワールド | 日本ダービー | 5着 | |
3着 | タガノグランパ | 日本ダービー | 4着 |
前走「日本ダービー」組は当然最有力も「ラジオニッケイ賞」組も大健闘
成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
日本ダービー | 5-6-4-22 | 13.51% | 29.73% | 40.54% |
ラジオニッケイ賞 | 2-1-1-11 | 13.33% | 20.00% | 26.67% |
1勝クラス | 2-0-2-42 | 4.35% | 4.35% | 8.70% |
2勝クラス | 1-3-0-23 | 3.70% | 14.81% | 14.81% |
過去10年の前走別成績では「日本ダービー」組が【5-6-4-22】の5勝で最有力。春のトップクラスで戦ってきた馬達なので当然と言えば当然ではあるかも。
なお2桁着順からの巻き返しも非常に多くダービーの着順にはこだわる必要はない。
その日本ダービーに勝るとも劣らないのが「ラジオニッケイ賞」組で【2-1-1-11】。連対率、3着内率で見ると差はあるが勝率はダービー組と同じ13%台で、もし出走してくれば積極的に狙いたい。
その他の重賞組からは過去10年では勝ち馬が出ておらず、1勝クラスや2勝クラスからの上がり馬を優先的にチェックしておきたい。
オールカマーの過去10年のデータと傾向
以下は過去10年のオールカマーの着順・枠順・前走です。(2014年は新潟での開催)
年 | 着順 | 枠 | 馬名 | 前走 | 前着順 |
---|---|---|---|---|---|
2023 | 1着 | 13 | ローシャムパーク | 函館記念 | 1着 |
2着 | 2 | タイトルホルダー | 天皇賞春 | 中止 | |
3着 | 8 | ゼッフィーロ | 目黒記念 | 4着 | |
2022 | 1着 | 2 | ジェラルディーナ | 小倉記念 | 3着 |
2着 | 1 | ロバートソンキー | 日本海S | 1着 | |
3着 | 3 | ウインキートス | 目黒記念 | 3着 | |
1着 | 1 | ウインマリリン | 天皇賞春 | 5着 | |
2着 | 2 | ウインキートス | 札幌記念 | 9着 | |
3着 | 11 | グローリーヴェイズ | QE2世C | 2着 | |
2020 | 1着 | 4 | センテュリオ | マーメイドS | 2着 |
2着 | 8 | カレンブーケドール | 京都記念 | 2着 | |
3着 | 7 | ステイフーリッシュ | 目黒記念 | 3着 | |
2019 | 1着 | 9 | スティッフィリオ | 宝塚記念 | 7着 |
2着 | 1 | ミッキスワロー | 七夕賞 | 1着 | |
3着 | 4 | グレイル | 福島TVOP | 6着 | |
2018 | 1着 | 7 | レイデオロ | ドバイSC | 4着 |
2着 | 1 | アルアイン | QE2世C | 5着 | |
3着 | 2 | ダンビュライト | 宝塚記念 | 5着 | |
2017 | 1着 | 6 | ルージュバック | ヴィクトリアM | 10着 |
2着 | 8 | ステファノス | 宝塚記念 | 7着 | |
3着 | 9 | タンタアレグリア | AJC | 1着 | |
2016 | 1着 | 6 | ゴールドアクター | 天皇賞春 | 12着 |
2着 | 1 | サトノノブレス | 宝塚記念 | 8着 | |
3着 | 5 | ツクバアズマオー | 札幌日経OP | 4着 | |
2015 | 1着 | 3 | ショウナンパンドラ | 宝塚記念 | 3着 |
2着 | 4 | ヌーヴォレコルト | 宝塚記念 | 5着 | |
3着 | 9 | ミトラ | 中日新聞杯 | 5着 | |
新潟 | 20141着 | 11 | マイネルラクリマ | 七夕賞 | 3着 |
2着 | 6 | ラキシス | ヴィクトリアM | 15着 | |
3着 | 5 | クリールカイザー | 札幌日経OP | 4着 |
「1枠」「2枠」を中心に内優勢の傾向!外々を回るのは避けたいレース
以下はオールカマー過去9年の枠順別成績です。(2014年が新潟開催のため過去9年のデータになっています)
成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1枠 | 1-5-0-5 | 9.09% | 54.55% | 54.55% |
2枠 | 2-1-1-9 | 15.38% | 23.08% | 30.77% |
3枠 | 1-1-1-10 | 7.69% | 15.38% | 23.08% |
4枠 | 1-1-1-11 | 7.14% | 14.29% | 21.43% |
5枠 | 1-0-4-11 | 6.25% | 6.25% | 31.25% |
6枠 | 1-0-1-14 | 6.25% | 6.25% | 12.5% |
7枠 | 1-0-1-15 | 5.88% | 5.88% | 11.76% |
8枠 | 1-1-0-17 | 5.26% | 10.53% | 10.53% |
- 1枠~4枠【5-8-3-35】 勝率9.08% 連対率25.49% 3着内率31.37%
- 5枠~8枠【4-1-6-57】 勝率5.88% 連対率7.35% 3着内率16.18%
勝率で見ると「2枠」が、連対率、3着内率で見ると「1枠」が抜けているように内枠有利の傾向が見てとれます。
大雑把に内と外で分けてみると1枠~4枠【5-8-3-35】、5枠~8枠【4-1-6-57】となりやはり内枠優勢のレースとなっています。
道中のロスはできるだけ抑えたいですね。
前走G1馬が中心だが夏のG3を使った馬にも注目!
中長距離のG1を目指すステップレースとしての役割が大きいため、やはり前走G1出走馬の活躍が目立つレースになっています。中でも「天皇賞春」や「宝塚記念」を使った馬は好走率が高くなっています。
また前走G2よりG3の方が成績がいい点にも注目です。これは夏のG3を使った勢いで良績をあげる馬が多いからと推測されます。
成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
G1 | 6-5-2-23 | 16.67% | 30.56% | 36.11% |
G2 | 0-2-4-16 | 0.00% | 9.09% | 27.27% |
G3 | 3-1-1-38 | 6.98% | 9.30% | 11.63% |
OP | 0-0-2-10 | 0.00% | 0.00% | 16.67% |
3勝 | 0-1-0-4 | 0.00% | 20.00% | 20.00% |