2025年の菊花賞は、降りしきる雨の中での激闘となりました。
勝ったのは1番人気のエネルジコ。早めの進出から直線で力強く抜け出し、2馬身差の快勝でダービーに出れなかった無念を最後の一冠で見事晴らしました。
鞍上のルメール騎手は、2023年ドゥレッツァ、2024年アーバンシックに続く3連覇を達成。
長距離G1では他の追随を許さない、その卓越した手腕を改めて印象づける結果となりました。
ここでは25年菊花賞のレース回顧をしていきます。次走の参考になれば幸いです。
レース予想結果

| 着順 | 枠番 | 印 | 馬名 | 重量 | 騎手 | タイム | 通過順位 | 上がり | 人気 |
| 1 | 9 | 〇 | エネルジコ | 57.0 | C.ルメール | 3:04.0 | 15-14-8-4 | 35.0 | 1 |
| 2 | 15 | ◎ | エリキング | 57.0 | 川田将雅 | 2 | 17-17-12-8 | 35.2 | 2 |
| 3 | 14 | – | エキサイトバイオ | 57.0 | 荻野極 | 3/4 | 4-5-2-1 | 35.7 | 13 |
対抗→本命での決着。
1、2番人気ながらも雨で難しいレースになっただけにこの的中は嬉しいですね。


レース展開


逃げ馬候補の1頭と見られていたマイユニバースはスタートで後手を踏み後方から。
ハナを切ったのはジーティーアダマンで、前半1000mは60.8とややスロー寄りの流れ。中間一気にペースダウンするのはこの距離ではよくあるが、今年も例に漏れず中間1000mは63.8とかなりペースが落ち着いた。
この楽なラップ区画で徐々にポジションを上げたのが武豊騎手のマイユニバース。そのタイミングみてエネルジコやエリキングなども進出を開始。
上位馬の4コーナー通過順位がエネルジコ4番手、エリキング8番手、エキサイトバイオ先頭とこの時点である程度の位置まで進出していないと厳しいレースに。
ラップを見ても後半6ハロンくらいからのペースが上がってのロングスパート戦。3000m戦らしく長距離適性が問われた1戦となった。
また雨の影響だが、3:04.0という勝ちタイムや「稍重」という発表を見ても、雨が降りしきっていた見た目に反して、それほどタフ馬場にはならなかった。
ただ、馬場の内外の差は大きく、直線内側はほとんどの馬に避けられていた状態。
参考まで過去の菊花賞とのタイム比較も↓
| 勝ち馬 | 勝ちタイム | 馬場状態 | |
| 2025年 | エネルジコ | 3:04.0 | 稍重 |
| 2024年 | アーバンシック | 3:04.1 | 良 |
| 2017年 | キセキ | 3:18.9 | 不良 |
24年アーバンシックの勝ちタイムとほぼ同じ。雨の影響は多少ありながも良馬場寄りの馬場状態。
2017年の不良馬場のタイムと比較しても一目瞭然ですね。
上位入線馬の見解


1着 〇エネルジコ
スタートがあまり上手くないと言っていた通り、序盤は後方でじっくり脚を溜める展開に。
二週目の向こう正面坂手前辺りでマイユニバースが徐々に位置を押し上げて行ったあたりで、それに追従する形で徐々に進出を開始。
直線入り口では既に4番手で前は射程圏内。特にゴーサインを出してからの反応が素晴らしく、長距離も向いているとコメントしていたように、3000mも全く苦にする様子はなかった。
レース前インタビューで「スタミナがありますね。じわじわ加速しますし、すごくゴールまで伸びる。」とこの馬を表していたが、その良さを引き出した走り。
上がりも最速の35.0で最後まで脚が鈍る事はなく、完勝と言っていい内容。
栗東入りした直後はカイ食いが落ちたとの事だったが、マイナス12キロの456キロは青葉賞とも同じ。陣営の努力もあって上手く状態をキープできたのも大きい。
今後の長距離界の新たなスターになっていきそうですね。
2着 〇エリキング
こちらも前半は急がせることなく後方から。前哨戦しかり、ここまで教え込んできた事を実践した競馬となった。
7枠15番とかなり外だったので、序盤で上手く内に入れたことや、前に1番人気のエネルジコを見る形になったのが良かった。(序盤首を振りながら走りでヒヤッとしたが…)
最後はしっかり脚を伸ばしているので、エネルジコとの2馬身差は勝負所での反応の差。過去のレースでもエンジンがかかるまでに多少もたついていたが、今回も例に漏れず。
とはいえダービーでラスト11秒台を連続した持続力のある末脚は今回の展開で活きた。
外差しの馬場で助かった面もあるが、これまでも素晴らしい瞬発力を見せているだけに良馬場でやりたかったというのはあるかも。
勝負所で若干もたつくのは、同じ勝負服のフォーエバーヤングを思い出します。
3着 エキサイトバイオ
ラジオニッケイ賞からのぶっつけも嫌われてか、13番人気に甘んじていたが低評価を覆しての好走となった。
先行した馬達が軒並み苦戦した1戦だったが、唯一前目から抵抗しての3着。
途中で11.6 のラップ区画があるように、前目追走の馬達にとっては簡単なレースではなかっただけに、この粘りは評価したい。
父レイデオロで長距離といえば、阪神大賞典を6馬身差で勝ったサンライズアースを彷彿とさせますが、そういった血統背景も今回の好走に繋がったのかも。
今回は印が届きませんでしたが、今後長距離のレイデオロ産駒には注目していきたいですね。
その他注目馬の見解


4着 △ゲルチュタール
長距離を中心に使われてきた経験が活きたのはゲルチュタール。
勝負のポイントとなったのは、エネルジコが外から上がって行った場面。この仕掛けに反応した鞍上の坂井瑠星騎手もそれに続こうとしたが、いち早くエネルジコに追従したエリキングが来た分わずかに仕掛けが遅れた。
こうなると末脚で優るエネルジコやエリキングより後で仕掛けたことになるので、4着もやむなし。
なるべくロスのない内側意識していたのが、とっさに動きづらいポジションとなったのだから競馬は難しい。
ただ、長距離適性は十分示せたし、今後も長距離戦線で活躍の場面が見れそう。
ターニングポイントとなった場面は、全周パトロールやエリキングのジョッキーカメラなどで確認できます。
8着 △ジョバンニ
今回特に残念なレースになったのはジョバンニ。
通過順位【9-9-12-16】が示す通り、レースが進むにつれてドンドンとポジションを下げていってしまった。
3枠5番で内でロスなく立ち回っていたのだが、結果として他馬が動き出した時に動くに動けないポジション取りに。内枠は基本好まれる傾向にあるが、こういったケースも少なくない。
最後の直線はもう伸びない内に行くしか選択肢が残っておらず、消化不良のレースになってしまった。3000mという距離や折り合い面を意識しすぎて消極的な競馬になったかも。
14着 ▲ショウヘイ
こちらは懸念されていた「折り合い面」、「距離不安」、「ダービーでも気にしていたという緩い馬場への対応」といった不安要素がほぼ全て出てしまった。
騎乗した岩田望来騎手のコメントも「折り合いに苦労しました。適性距離ではありません。」といたってシンプル。
個人的には前走程ペースが遅くなければある程度、折り合いもマシになるかと思っていたが甘くなかった。
有力騎手のその都度その都度乗ってもらって、中々継続騎乗できる騎手が決まらなった事も1つ原因かも。
当然条件が変われば見直したい1頭。
レース総括
- 勝ちタイムは3:04.0。前日の雨や発走直後の雨も懸念されたが「稍重」でそれほどタフ馬場にはならなかった。
- 中間1000mが63.8と緩んだスローペース。
- 後半6ハロンからペースが上がり始めるロングスパート勝負。3000m戦らしく長距離適性が問われた1戦。
- 馬場の内外の差は大きく、直線内側はほとんどの馬に避けられていた状態だった。
- 上位3頭は息の長い末脚を発揮。スタミナ豊富で長距離での活躍が今後も期待できそう。
- 上がって行くタイミングが遅れたゲルチュタールも同様に評価。
- 終始苦しいレース展開になったジョバンニも着順以上の評価が必要。
最後まで読んでくださりありがとうございました!










