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【凱旋門賞】コースの特徴や傾向をわかりやすく解説【パリロンシャン競馬場】

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ロンシャン芝2400m コースの特徴・傾向

パリロンシャン競馬場世界最高峰のレースの一つである「凱旋門賞」が行われる舞台として有名です。

凱旋門賞制覇は日本競馬界の悲願とまで考えている人も少なくありません。

レースレベルの高さは元より、雨が降った時のタフな馬場は日本とは全く異質のもので、日本馬が参戦する事そのものにも賛否両論が巻き起こるほどです。

2024年も日本馬のシンエンペラーを始め、武豊騎手騎乗のアルリファーや、ディープインパクト産駒のオーギュストロダンも良馬場条件ではありますが参戦の可能性も浮上してきており(後に重馬場濃厚で回避が決定)、日本にとって見逃せない1戦となりそうです。

Keibit

ここではパリロンシャン競馬場のコースの特徴や凱旋門賞の傾向について詳しく紹介していきます。
日本での馬券の発売も決定しているので予想の参考にもどうぞ!

目次

欧州最大の競走の1つで日本で最も知名度の高い海外レース

凱旋門
レース名凱旋門賞
(Prix de l’Arc de Triomphe)
競馬場パリロンシャン競馬場
格付けG1
距離芝2400m(12ハロン)
出走条件3歳以上牡馬・牝馬
負担重量定量
・3歳(56.5kg)
・4歳(59.5kg)
・牝馬は1.5kg減
開催日10月上旬(2024年は10/6(日)
賞金総額500万ユーロ

「凱旋門賞」はフランスのパリのブローニュの森の中にあるパリロンシャン競馬場で行われるG1競走です。

英ダービーやケンタッキーダービーなどと並んで世界中のホースマンに目標とされる憧れのレースになります。

欧州での競馬シーズンの後半に行われ、芝2400mというチャンピオンディスタンスも相まって欧州最強決定戦という位置付けになっています。

特に日本人にとっては関係が強いレースで、1969年のスピードシンボリを皮切りに、今まで数多くの日本のチャンピオンホースも挑戦してきましたが未だ勝利には届いていません。

なお凱旋門賞に挑戦した歴代の日本馬とその成績一覧はこちらで紹介しています。

Keibit

今では日本で強い馬が登場する度に「凱旋門賞」に挑戦するか否かという話題が競馬ファンの中で繰り広げられるほどです。

パリロンシャン芝2400mのコースの特徴

ロンシャン芝2400m 右
コース形態

スタート地点は1~2コーナ―の中間にあるポケットから。

バックストレッチの最初の400mはほぼ平坦でここでまず熾烈なポジション争いが行われます。

その後の300mは高低差7mの上り坂(最大傾斜2.4%)が続き、更に3コーナの坂の頂点(1000m通過地点)までに3m上るため、その高低差は10mにも及びます。

この上り坂で動いてしまうと、最後の直線で力尽きてしまうと言われています。

Keibit

日本で似ているコースとして「京都競馬場」が挙げられますが、その京都競馬場の坂の高低差は4.3mであることからもそのタフさがうかがえますよね。

3コーナー~フォルスストレート

3コーナーの坂の頂点(残り1400m地点)からは300m程下り坂(最大傾斜3%)が続きます。

3、4コーナー中間からパリロンシャン競馬場の名物であるフォルスストレート(偽りの直線)と呼ばれる250m程の直線が最後の直線前に待っています。

この下り坂からフォルスストレートを抜けるまでも動かしていってはいけないと言われています。更に直線に向けて外を回したくない各馬が密集するため、我慢強さと立ち回りの上手さが求められます。

Keibit

実際に凱旋門賞のレースを動画で見てみると、確かにフォルスストレートはもう最後の直線なのかなと見間違えてしまいます。

最後は東京並みの533mの長い直線

いよいよ最後の直線。

パリロンシャン競馬場の直線は坂こそありませんが、東京競馬場のほぼ同じくらいの533mの直線が待っています。

タフな坂越え、スピードが出過ぎると最後に響く下り坂、そしてこの長い直線とパリロンシャン競馬場はまさに馬の総合力が求められる舞台です。

Keibit

過去にエルコンドルパサーオルフェーヴルが一度抜けだしてから、勝利目前で交わされています。

地盤は緩く、まとわりつくような芝が非常にタフ

パリロンシャン競馬場の芝は日本の芝より、芝丈が長いイメージがありますが実はそこまで差はありません。

「ペレニアル・ライグラス」という品種が主に使用されており、これは札幌や函館でも使用されている洋芝です。

ただ地盤は緩く掘れやすく、芝はまとわりつきます。そのため脚が深く入り込むような状態になっています。

更に雨が降ろうものなら地面に水がたまり、進んでいくの大変な馬場になります。

凱旋門賞の時期は天候も安定せず、道悪になることもしばしばあります。このような予想しにくい馬場状態も日本馬を苦戦させている要因の一つであると言えます。

エスキース

一時期、札幌記念などの洋芝コースをステップとしたローテーションも試されましたが、未だ攻略には至っていません。

2024年凱旋門賞の主な出走予定馬

ここでは2024年に凱旋門賞に出走予定の有力馬を紹介します。

出走予定馬は随時更新予定です。

シンエンペラー

日本国旗

牡3 7戦2勝【2-2-2-1】
矢作芳人厩舎 坂井瑠星騎手 
主な戦績:
23年京都2歳S(G3)1着
23年ホープフルS(G1)2着
24年日本ダービー(G1)3着
24年愛チャンピオンS(G1)3着

日本からの参戦は日本ダービー3着など今年のクラシック戦線を沸かせたシンエンペラー。全兄は凱旋門賞馬ソットサスという世界的良血馬で早くから海外遠征を視野に入れてきた馬。

「9月愛チャンピオンS→10月凱旋門賞」というローテは欧州でも多くの凱旋門賞馬を輩出してきた王道ローテ。フランスに滞在しての調整で日本馬にとってこのローテは新しい試み。

その海外初戦となった愛チャンピオンSでは直線進路が中々開かない厳しい競馬ながらも、最後まで伸び続けての3着と大健闘。勝った1番人気エコノミクスや2着のオーギュストロダンといった欧州トップクラス相手に遜色ない走りだった。

陣営曰く、まだまだ調子が上がりきらず7~8割の状態だったとのことで、大目標の凱旋門賞制覇の期待値は俄然高まった。

一方で愛チャンピオンSの行われたレパーズタウンは、上り坂の多いの非常にタフなコースだが、比較的馬場が良かった。血統的な後押しはあるとはいえロンシャンの重馬場はまだ未知数な面もある。

ただ調教に乗ったC.デムーロ騎手からは馬場が重くなっても対応できると前向きなコメントも。

ソジー

フランス国旗

牡3 6戦4勝【4-1-1-0】
A.ファーブル厩舎 M.ギュイヨン騎手 

主な戦績:
24年パリ大賞(G1)1着
24年ニエル賞(G2)1着
24年仏ダービー(G1)3着

現時点で1番人気と目されているのは地元フランスの三歳馬ソジー。

管理するA.ファーヴル調教師は凱旋門賞8勝、フランスのチャンピオントレーナーに30回も輝く最高の調教師。

成績は【4-1-1-0】。今年の仏ダービーでは無敗のルックドゥヴェガに敗れて3着だったが、その後パリロンシャン競馬場で行われたパリ大賞(G1)を好位から抜け出し2馬身差で勝利。

前哨戦となるニエル賞(G2)では好位から早めに抜け出し1馬身半ほどの差をつけ完勝。3着はルックドゥヴェガで無敗の仏ダービー馬に土をつけた。

一番の強調材料はパリロンシャン競馬場で3戦3勝と抜群のコース相性を見せている点。いずれも重馬場での勝利で馬場が悪化しやすい凱旋門賞でのアドバンテージは大きそう。

A.ファーヴル調教師は「今までの勝った何頭かの凱旋門賞馬と似ているところがある」とし、同じく管理する「マルキーズドセヴィニエ(牝5)と2頭とも4着以内に入る可能性が高い」と太鼓判。

父はイギリスクラシック二冠を達成し、凱旋門賞に優勝したシーザスターズと超エリートだ。

アルリファー

フランス国旗

牡4 9戦3勝【3-4-0-2】
J.オブライエン厩舎 武豊騎手 
主な戦績:
22年ヴィンセントオブライエンナショナルS(G1)1着
24年ベルリン大賞(G1)1着
24年エクリプスS(G1)2着

アルリファーはフランス産アイルランドの調教馬。

今年の7月エクリプスS(G1)でシティオブトロイの2着になった後、キーファーズ代表の松島正昭オーナーが共同所有することが決まり大きな話題となった。

根っからの武豊ファンでもある同オーナー。これまでも武豊騎手の最大目標である凱旋門賞制覇に向けて様々なバックアップを行ってきたが、今回のアルリファー所有も共に夢をかなえるためのものだと思われる。

8月ドイツで行われた前走ベルリン大賞(G1)では後続を5馬身突き放す圧勝。ベルリン大賞の勝ち馬は11年にデインドリーム、21年にトルカータータッソ、22年にアルピニスタが凱旋門賞を勝利しており、今や無視できないレースの1つ。

この馬初のG1制覇となったヴィンセントオブライエンナショナル(G1)Sは重馬場でのレース。他の馬が苦戦する重たい馬場で浮上する可能性があるのは魅力。

凱旋門賞当日は武豊騎手が乗る事が既に決定しており、11回目の挑戦となる今回悲願達成なるか大いに注目が集まる。

ルックドゥヴェガ

フランス国旗

牡3 4戦3勝【3-0-1-0】
C&Yレルネール厩舎 R.トーマス騎手 
主な戦績:
24年仏ダービー(G1)1着
24年ニエル賞(G2)3着

1番人気ソジーが優勝候補ならこちらも注目しなければならない。

3戦3勝の無敗での仏ダービー(G1)勝利を果たしたルックドゥベガ。その内容も好位3番手から直線1頭早めに抜け出し後続に2馬身差をつける完勝劇だった。

ニエル賞では仏ダービーで負かしたソジーに3馬身半ほど離されての3着に敗れたが、慣れない逃げでのレースで目標にされる形。あくまで本番に向けた前哨戦だった事を考えると、この1戦で評価を逆転させるは早計かもしれない。

ブルーストッキング

イギリス国旗

牝4 12戦4勝
R.ベケット厩舎 R.ライアン騎手
主な戦績:
24年ヴェルメイユ賞(G1)1着
24年プリティポリーS(G1)1着
24年キングジョージQE(G1)2着
23年愛オークス(G1)2着

ブルーストッキングは善戦も多い反面勝ち切れないのがネックだったが、4歳になった今年は5戦3勝と一味違う。

5月にはヨーク競馬場芝2050mのミドルトンフィリーズステークス(G2)で6馬身差の圧勝を収めると、続く6月プリティポリーSで初のG1制覇を成し遂げる。

更に7月キングジョージQE(G1)2着、8月英インターナショナルステークス(G1)4着とハイレベルの古馬混合戦でも崩れない。

凱旋門賞と同舞台で行われる牝馬限定のヴェルメイユ賞(G1)は2番手から早めに先頭に立って完勝。同コースかつ重馬場の舞台で結果を出したことが大きい。

後述する「凱旋門賞の過去10年のデータと傾向」でも古馬牝馬は好走確率が高く条件はピタリ。

中2週となるのが陣営曰く元気そのもの。2000万近い追加登録料を払っての参戦で自信と期待を伺わせる。

ロスアンゼルス

アイルランド国旗

牡3 7戦5勝【5-0-1-1】
A.オブライエン厩舎 R.ムーア騎手
主な戦績:
24年愛ダービー(G1)1着
23年クリテリウムドサンクルー(G1)1着
24年グレートヴォルティジュールステークス(G2)1着
24年英ダービー(G1)3着

オーギュストロダンは回避となったが、名門A.オブライエン厩舎からは3歳ロスアンゼルスがスタンバイ。

英ダービー(G1)では同厩舎のシティオブトロイに離されての3着だったが、その後シティオブトロイは英インターナショナル(G1)を圧倒的なレコードで勝利したように少々相手が悪かった。

愛ダービー(G1)ではアンビエントフレンドリーにはリベンジを果たしG1競走2勝目。

前走愛チャンピオンS(G1)は後方から鋭く脚を伸ばすもシンエンペラーとの3着争いに敗れての4着。内の後方2番手という苦しいポジションだった事もあり、今回は巻き返しに期待される。

接戦での勝利が多いため派手さはないが、7戦5勝の戦績が示すとおり安定感は抜群。まだまだ成長途上の3歳馬ということもあり人気の1角となっている。

デリウス

フランス国旗

牡3 5戦3勝【3-1-1-0】
JC.ルジェ厩舎 I.メンディザバル騎手
主な戦績:
24年リス賞(G3)1着
24年パリ大賞(G1)3着
24年ニエル賞(G2)2着

重賞勝ちこそリス賞(G3)しかないが、地元フランスのデリウスが不気味。

7月のパリ大賞(G1)はスタートで後手を踏み後方からの競馬。スローの流れの中で勝ち馬のソジーに約2馬身差の3着なら頑張っている。

前哨戦となったニエル賞(G2)ではスタートは決めるものの、またしても早めに抜け出したソジーを捉えきれずに1馬身半差の2着。

ここ2戦はソジーに完敗ではあるがどちらも小頭数のスローでのもので、本番で逆転の可能性は残している。

注目は近年の凱旋門賞で猛威を振るっている父フランケルという血統。

23年勝ち馬エースインパクトの父クラックスマンはフランケルの初年度産駒。2着ウエストオーバー3着オネストはいずれもフランケル産駒。22年勝ち馬アルピニスタ、21年3着ハリケーンレーンもフランケル産駒と良馬場重馬場問わず相性の良さが目立つ。

デビュー戦以外一貫して2400mを使い続けており、そのほとんどがソフトな馬場。いまだ馬券外は経験しておらず穴人気しそうな1頭。

マルキーズドセヴィニエ

アイルランド国旗

牝5 17戦8勝【8-6-1-2】
A.ファーブル厩舎 A.プーシャン騎手 
主な戦績:
23年、24ジャンロマネ賞(G1)1着
23年、24年ロートシルト賞(G1)1着
24年イスパーン賞(G1)1着

ソジーと共にA.ファーヴル調教師が自信をのぞかせているのがマルキーズドセヴィニエ。

「ソジーとマルキーズドセヴィニエ、2頭とも4着以内に入る可能性が高い」と言わせるだけあって今年に入って無敗の4連勝。23年、24年で見るなら【6-4-0-0】という成績でここ2年は完全連対している点は見逃せない。

主に2000mを中心に使っているので2400mは未知の距離。またこれまであまり戦ってこなかったメンバーと走ることから比較が難しいのが難点。

好走率の高い古馬牝馬というのがなんとも不気味。

凱旋門賞の過去10年のデータと傾向

以下は過去10年の凱旋門賞の1~3着馬です。(※ゲートは馬番ではなくゲート番号順です)

なお、過去10年間の内、2016~2017年は改修工事のためシャンティで行われているので、それを除いた8年間のデータで傾向を探っていきます。

着順ゲート馬名性齢通過順
2023
パリロンシャン
(稍重)
1着8エースインパクト牡312-13
2着1ウエストオーバー牡44-5
3着9オネスト牡415-14
2022
パリロンシャン
(重)
1着6アルピニスタ牝55-4
2着2ヴァデニ牡39-9
3着18トルカータータッソ牡515-10
2021
パリロンシャン
(重)
1着12トルカータータッソ牡45-6
2着3タルナワ牝58-10
3着2ハリケーンレーン牡37-8
2020
パリロンシャン
(不良)
1着4ソットサス牡43-3
2着1インスウープ牡34-6
3着7ペルシアンキング牡41-1
2019
パリロンシャン
(重)
1着3ヴァルトガイスト牡57-8
2着9エネイブル牝54-3
3着1ソットサス牡35-5
2018
パリロンシャン
(良)
1着6エネイブル牝45-4
2着15シーオブクラス牝319-19
3着9クロスオブスターズ牡510-11
2017
シャンティ
(重)
1着2エネイブル牝33-3
2着3クロスオブスターズ牡410-10
3着1ユリシーズ牡45-5
2016
シャンティ
(良)
1着12ファウンド牝46-6
2着11ハイランドリール牡44-4
3着16オーダーオブセントジョージ牡42-2
2015
パリロンシャン
(良)
1着14ゴールデンホーン牡32-2
2着11フリントシャー牡53-3
3着5ニューベイ牡34-4
2014
パリロンシャン
(良)
1着3トレヴ牝46-6
2着4フリントシャー牡47-7
3着15タグルーダ牝34-4
凱旋門賞過去10年1着~3着馬のゲート・性齢・コーナーの通過順

凱旋門賞で有利な年齢・性別

年齢成績勝率連対率3着内率
3歳2-3-4-423.92%9.80%17.65%
4歳4-2-2-3210.00%15.00%20.00%
5歳2-3-2-197.69%19.23%26.92%
6歳以上0-0-0-120%0%0%
過去8年の1~3着馬の年齢

凱旋門賞は3歳馬の斤量が軽いため有利のイメージがありますが、近年は4歳馬の活躍が目立ちます

5歳も連対率や3着内率では4歳を上回っており、軽視してはいけない存在になります。

また3歳馬は出走頭数自体が多いため、誰かは馬券になるパターンは多いのですが、好走率では4歳・5歳に遅れをとっています。

一方で6歳以上は全く馬券に絡んでいない点も見逃せません。中には凱旋門賞2勝2着2回の怪物エネイブルも6歳で果敢に挑戦しましたが6着となっています。

次に性別で比較してみましょう。

性別成績勝率連対率複勝率
牡馬5-5-7-805.15%10.31%17.53%
牝馬3-3-1-259.38%18.75%21.88%
過去8年の1~3着馬の性別

8年間の勝利数自体は牡馬が4勝とわずかに多いですが、牝馬は出走数自体が少ないのでそれを考えると、牝馬はかなり好走率が高くなっています。

ただ、エネイブルトレヴといった歴史的牝馬が複数年に渡って大活躍しているので、近年だけで見るとやや例外的な数値とも言えます。

凱旋門賞で有利な脚質・ポジション

過去8年の1~3着馬の脚質比較すると

  • 逃げ(0-0-1)
  • 先行(5-4-3)
  • 差し(2-3-3)
  • 追い込み(1-1-1)

となり、「先行」「差し」が中心になります。

勝ちパターンとしては結構確立されていて、3番手~7番手あたりの内のポジションとって、直線まで我慢して内から抜けてくるのが王道となります。

特に改修工事が行われた2018以降は、オープンストレッチ(直線入口の内ラチ側にコース幅が6m分の進路)が追加されたため、内から抜けてくる馬が強いレースになります。

追い込みは当然外を回す確率が高くなるため、余程の実力や展開の助けがないと届かないケースがほとんどです。

逃げについては、コース自体がタフなのもありますが、欧州ではペースメーカー(同厩舎の有力馬を有利にするため前に行きペースをコントロールする馬)も出走してくるケースがあるため、好走率は低くなっています。

Keibit

2013年のトレヴは後方から外を捲っていっての圧勝というものすごい勝ち方!

凱旋門賞の枠順の有利不利

まずヨーロッパでは枠番ではなくゲート番号で、馬番とも別な事に注意しておきましょう。

さらに凱旋門賞はフルゲートになると20頭にもなり、馬群が密集するレース展開になりやすいのが特徴です。

過去8年で1~3着馬でゲート番号が半分より内か外かで比較してみると…

  • 内寄りの枠【6-6-3】
  • 外寄りの枠【2-2-5】

となり内寄りの枠がかなり優勢となっています。馬群に閉じ込められやすいデメリットを差し引いても、できるだけロスのない内でレースを進めたいです。

Keibit

勝利目前で2着に敗れた2012年オルフェーヴル大外18番の不利を覆してのもので、その強さがわかりますね。

凱旋門賞の好走傾向まとめ

以上のデータから凱旋門賞の好走傾向をまとめると以下のようになります。

  • 4歳馬と5歳馬が中心
  • 牝馬の好走率が高い
  • 内枠から上手く立ち回れる先行・差しが強い

2023年に挑戦した日本馬スルーセブンシーズは好走条件にピッタリだった!?

2023年の凱旋門賞は日本からスルーセブンシーズが挑戦しました。

宝塚記念でイクイノックスに僅差の競馬だったこともあり、好走の可能性は十分にありそうという声もあった一方で、前年でタイトルホルダーやドウデュースといった日本トップクラスの馬が惨敗したことで、悲観的な意見も多くありました

結果は4着と大健闘!

こちら先程の凱旋門賞好走条件に当てはめてみると…

  • 4歳馬と5歳馬が中心 → 5歳 クリア
  • 牝馬の好走率が高い → 牝馬 クリア
  • 内枠から上手く立ち回れる先行・差しが強い → 5番ゲート・差し クリア

なんと3つ全ての条件をクリアしていました。

Keibit

凱旋門賞にしては比較的綺麗な馬場状態で臨めたことも大きかったように感じます。

凱旋門賞歴代日本馬成績まとめ

凱旋門賞歴代日本馬成績まとめ

以下は凱旋門賞に挑戦した歴代日本馬の成績になります。

ここ何年かは特に馬場に苦戦する傾向が強くなっています。

スクロールできます
ゲート馬名着順性齢前走
2023
パリロンシャン
(稍重)
5スルーセブンシーズ4着牝5宝塚記念2着
2022
パリロンシャン
(重)
10タイトルホルダー11着牡4宝塚記念1着
20ステイフーリッシュ14着牡7ドーヴィル大賞2着
5ディープボンド18着牡5宝塚記念4着
3ドウデュース19着牡3日本ダービー1着
2021
パリロンシャン
(重)
14クロノジェネシス7着牝5宝塚記念1着
5ディープボンド14着牡4フォワ賞1着
2020
パリロンシャン
(不良)
12ディアドラ8着牝6ナッソーS7着
2019年
パリロンシャン
(重)
7キセキ7着牡5フォワ賞3着
4ブラストワンピース11着牡4札幌記念1着
2フィエールマン12着牡4札幌記念3着
2018年
パリロンシャン
(良)
1クリンチャー17着牡4フォワ賞6着
2017年
シャンティ
(重)
13サトノダイヤモンド16着牡4フォワ賞4着
5サトノノブレス17着牡7フォワ賞6着
2016年
シャンティ
(良)
14マカヒキ14着牡3ニエル賞1着
2014年
パリロンシャン
(良)
12ハープスター6着牝3札幌記念1着
14ジャスタウェイ8着牡5安田記念1着
2ゴールドシップ14着牡5札幌記念2着
2013年
パリロンシャン
(重)
8オルフェーブル2着牡5フォワ賞1着
11キズナ4着牡3ニエル賞1着
2012年
パリロンシャン
(重)
18オルフェーブル2着牡4フォワ賞1着
8アヴェンティーノ17着牡8フォワ賞5着
2011年
パリロンシャン
(重)
1ヒルノダムール10着牡4フォワ賞2着
16ナカヤマフェスタ11着牡5フォワ賞4着
2010年
パリロンシャン
(重)
10ナカヤマフェスタ2着牡4フォワ賞2着
5ヴィクトワールピサ7着牡3ニエル賞4着
2008年
パリロンシャン
(稍重)
4メイショウサムソン10着牡5宝塚記念2着
2006年
パリロンシャン
(良)
2ディープインパクト失格
(3着入線)
牡4宝塚記念1着
2004年
パリロンシャン
(良)
18タップダンスシチー17着牡7宝塚記念1着
2002年
パリロンシャン
(良)
12マンハッタンカフェ13着牡4天皇賞春1着
1999年
パリロンシャン
(不良)
1エルコンドルパサー2着牡4フォワ賞1着
1986年
パリロンシャン
(良)
8シリウスシンボリ14着牡4フォワ賞2着
1972年
パリロンシャン
(良)
メジロムサシ18着牡5オープン1着
1969年
パリロンシャン
(良)
スピードシンボリ着外牡6ドーヴィル大賞典10着
歴代日本馬の凱旋門賞の成績

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は「パリロンシャン競馬場」のコースの特徴やそこで開催される「凱旋門賞」の傾向などについて紹介しました。

日本馬の出場機会も多く、今や毎年のように馬券発売されるレースなので特徴を覚えておいて損のない競馬場です。

凱旋門賞は「欧州のタフな馬場やコース設定」、「雨の多い時期に開催されることでより極端な適正が問われる舞台」、「欧州のトップクラスが集う層の厚いレース」などいくつもの要素が重なり、日本馬にとって最難関とも言えるレースの1つです。

ただ過去の日本馬の活躍を見ても、ほんの少し何かの要素が噛み合えばとっくに日本馬が優勝してもおかしくなかったと思っています。

凱旋門賞という伝統あるレースに敬意を表しながらも、必要以上に神聖化することなく、どんどんチャレンジしていって欲しいと一競馬ファンとしては思っています。

エスキース

日本馬云々を抜きにしても海外競馬の最高峰として十分魅力的なレース。
今年も凱旋門賞を思う存分楽しみましょう。


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