阪神競馬場は、桜花賞や宝塚記念、阪神ジュベナイルフィリーズなどのGⅠレースが開催される、日本を代表する競馬場のひとつです。
芝コースは内回り・外回りそれぞれに異なる特徴を持つ2コース構成で、ゴール前には急坂が設けられているなど、タフさが求められるコース形態となっています。
本記事では、阪神芝1600mについて、
コース形態の特徴を図を交えて解説したうえで、レース傾向を紹介します。
阪神競馬場・芝コース全体の特徴
距離別の特徴を見る前に、阪神競馬場・芝コースに共通する特徴を押さえておきましょう。
以下は、阪神競馬場・芝コースの基本データです。

| 回り | 右回り |
| 一周距離 | Aコース(外回り):2089m Aコース(内回り):1689m Bコース(外回り):2113.2m Bコース(内回り):1713.2m |
| 幅員 (内ラチ位置による最小~最大) | Aコース(外回り):24~29m Aコース(内回り):24~28m Bコース(外回り):20~25m Bコース(内回り):20~25m |
| 直線距離 | Aコース(外回り):473.6m Aコース(内回り):356.5m Bコース(外回り):476.3m Bコース(内回り):359.1m |
| 高低差 | 外回り:2.4m 内回り:1.9m |
内回りと外回りの二面性のあるコース形態と最後の急坂が特徴
阪神競馬場は2006年に外回りコースが新設され、外回りの一周距離は2089mに達します。
これは東京競馬場(2083.1m)を上回り、JRAでも最大級の規模を誇る競馬場です。
この改修により、阪神競馬場は従来のおむすび型の内回りコースに加え、バックストレッチが非常に長い外回りコースを併せ持つ、二面性のあるコース形態となりました。
内回り・外回りの両コースに共通する最大の特徴が、ゴール前に設けられた急坂です。
高低差は1.8m、最大勾配は1.5%と、JRAの中でも厳しい部類に入ります。
中山競馬場の急坂(高低差2.2m、勾配2.24%)ほどではないものの、最後の最も苦しい局面で坂を上る構造である点は共通しており、阪神芝では距離を問わずスタミナとパワーが要求されやすいのが特徴です。
また、阪神競馬場は一周距離こそ大きいものの、芝コースの幅員(横幅)はそれほど広くありません。
使用されるのはA・Bコースの2種類に限られており、コース替わりのバリエーションは多くないのが実情です。
このため、C・Dコースまで使い分ける東京競馬場や京都競馬場と比べると、開催が進むにつれて馬場はやや傷みやすい傾向にあります。
阪神芝1600mのコースの特徴


外回りの広いコースと急坂で実力が問われるコース
阪神芝1600mは外回りコースを使用します。
スタートは2コーナ寄りの向こう正面半ばから。そのため3コーナーまでは440m程とかなり長めの直線を走ることになります。
ポジション争いにはある程度余裕があるので、序盤は比較的落ち着いたペースになりやすい。
また最後の直線も外回りなので473.6m。
この直線は右回りでは最長になり、左回りのコースを入れても新潟や東京に次いで3位という長さです。
また外回りは3~4コーナーがかなりゆったりと作られており、コーナーワークの優劣はつきにくくなっています。
こういった要素からも紛れは生じにくく、阪神芝1600mは比較的実力勝負になりやすいコースと言えるでしょう。
ただ頭数が多かったり、3~4コーナーで横に広がりすぎた時は当然ロスもあるので展開には注意。
序盤はゆったり進み、直線が長く最後に急坂がある特徴からラスト3ハロンの瞬発力勝負になりやすくなっています。
阪神芝1600mで注目の枠順・脚質
| 枠 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
| 1枠 | 53-55-69-556 | 7.2% | 14.7% | 24.1% |
| 2枠 | 56-55-65-584 | 7.4% | 14.6% | 23.2% |
| 3枠 | 66-58-58-623 | 8.2% | 15.4% | 22.6% |
| 4枠 | 75-60-52-660 | 8.9% | 15.9% | 22.1% |
| 5枠 | 72-73-61-681 | 8.1% | 16.3% | 23.2% |
| 6枠 | 63-85-73-709 | 6.8% | 15.9% | 23.8% |
| 7枠 | 74-68-81-867 | 6.8% | 13.0% | 20.5% |
| 8枠 | 71-73-68-953 | 6.1% | 12.4% | 18.2% |
阪神芝1600mの枠順別成績を見ると、3枠・4枠・5枠が比較的優秀な数値を示しています。
内すぎず外すぎない中程の枠に好成績が集まる傾向と言えるでしょう。
一方、外枠は実力勝負になりやすいコース形態ではあるものの、データ上は苦戦傾向が見られ、評価にあたってはいくらか割り引いて考えたいところです。
脚質は全レースを通して先行が有利ですが、重賞クラスになると差しも遜色ないレベルまで好走率を上げてきます。
ポジションに関わらず実力を発揮しやすいコースです。
| 枠順 | 3枠・4枠・5枠 |
| 脚質 | 先行 |
阪神芝1600mで開催される代表的なレースと傾向
阪神芝1600mは3つのG1が開催されるチャンピオンを決めるにふさわしいコースです。中でも代表的なレースは牝馬クラシックの第1弾となる「桜花賞」です。
阪神開催となった第10回からでも1950年と日本競馬でも非常に歴史の長いレース。牡馬と牝馬の実力格差がなくなりつつある昨今においては、特に歴史に名を残すようなスーパーホースも数多く優勝しています。
2023年にはリバティアイランドが桜花賞を勝利。後に史上7頭目となる牝馬クラシック3冠を制覇しました。
G1以外の重賞競走やリステッド競走も数多く開催されます。
桜花賞過去10年のデータと傾向
以下は阪神芝1600mで行われる桜花賞の過去10年の1~3着馬の枠順と前走の着順です。ここから傾向を探っていきます。
| 年 | 着順 | 枠 | 馬名 | 前走 | 前走着順 |
|---|---|---|---|---|---|
| 24年 | 1着 | 12 | ステレンボッシュ | 阪神JF | 2着 |
| 2着 | 9 | アスコリピチェーノ | 阪神JF | 1着 | |
| 3着 | 11 | ライトバック | エルフィンS | 1着 | |
| 23年 | 1着 | 3 | リバティアイランド | 阪神JF | 1着 |
| 2着 | 9 | コナコースト | チューリップ賞 | 2着 | |
| 3着 | 14 | ペリファーニア | チューリップ賞 | 3着 | |
| 22年 | 1着 | 8 | スターズオンアース | クイーンC | 2着 |
| 2着 | 6 | ウォーターナビレラ | チューリップ賞 | 5着 | |
| 3着 | 1 | ナムラクレア | Fレビュー | 2着 | |
| 21年 | 1着 | 4 | ソダシ | 阪神JF | 1着 |
| 2着 | 18 | サトノレイナス | 阪神JF | 2着 | |
| 3着 | 2 | ファインルージュ | フェアリーS | 1着 | |
| 20年 | 1着 | 9 | デアリングタクト | エルフィンS | 1着 |
| 2着 | 17 | レシステンシア | チューリップ賞 | 3着 | |
| 3着 | 3 | スマイルカナ | チューリップ賞 | 1着 | |
| 19年 | 1着 | 8 | グランアレグリア | 朝日杯FS | 3着 |
| 2着 | 16 | シゲルピンクダイヤ | チューリップ賞 | 2着 | |
| 3着 | 4 | クロノジェネシス | クイーンC | 1着 | |
| 18年 | 1着 | 13 | アーモンドアイ | シンザン記念 | 1着 |
| 2着 | 1 | ラッキーライラック | チューリップ賞 | 1着 | |
| 3着 | 9 | リリーノーブル | チューリップ賞 | 3着 | |
| 17年 | 1着 | 10 | レーヌミノル | Fレビュー | 2着 |
| 2着 | 6 | リスグラシュー | チューリップ賞 | 3着 | |
| 3着 | 14 | ソウルスターリング | チューリップ賞 | 1着 | |
| 16年 | 1着 | 13 | ジュエラー | チューリップ賞 | 2着 |
| 2着 | 12 | シンハライト | チューリップ賞 | 1着 | |
| 3着 | 10 | アットザシーサイド | Fレビュー | 2着 | |
| 15年 | 1着 | 6 | レッツゴードンキ | チューリップ賞 | 3着 |
| 2着 | 7 | クルミナル | チューリップ賞 | 11着 | |
| 3着 | 1 | コンテッサトゥーレ | チューリップ賞 | 6着 | |
G1からの直行組の好走率が目立つ
| 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着以内 | |
| 阪神JF | 3-2-0-4 | 33.33% | 55.56% | 55.56% |
| チューリップ賞 | 2-8-5-33 | 4.17% | 20.83% | 31.25% |
| フィリーズレビュー | 1-0-2-42 | 2.22% | 2.22% | 6.67% |
| クイーンC | 1-0-1-18 | 5.00% | 5.00% | 10.00% |
| エルフィンS | 1-0-1-3 | 25.00% | 25.00% | 50.00% |
| シンザン記念 | 1-0-0-2 | 33.33% | 33.33% | 33.33% |
| 朝日杯FS | 1-0-0-1 | 50.00% | 50.00% | 50.00% |
| フェアリーS | 0-0-1-6 | 0% | 0% | 14.29% |
| アネモネS | 0-0-0-20 | 0% | 0% | 0% |
過去10年桜花賞出走馬の前走別成績から傾向を探っていきます。
真っ先に注目したいのは2歳G1からの直行組。阪神JF組【3-2-0-4】、朝日杯FS組【1-0-0-1】と数は少ないが堅実に結果を残している。これらはいずれも桜花賞と同条件の阪神芝1600mだというのも大きい。
ただし阪神JF組からの1着は「24年ステレンボッシュ」「23年リバティアイランド」「21年ソダシ」、朝日杯FS組では「19年グランアレグリア」とかなりの実力馬であった事は注意したい。直行は強者だけが取れるローテだというのも無関係ではなさそう。
次は優先出走権が与えられる桜花賞トライアル組に注目してみましょう。
圧倒的な出走頭数を誇るトライアル組の中では、チューリップ賞組が【2-8-5-33】と安定して馬券圏内に来ています。対してフィリーズレビュー組は【1-0-2-42】と苦戦傾向。アネモネS組に至っては【0-0-0-20】と馬券圏内に入っていない。
エルフィンSからの直行は【1-0-1-3】。「24年ライトバック(3着)」「20年デアリングタクト(1着)」と小頭数ながらも好走馬が出ているので注目のレースとなっています。
3歳牝馬クラシックに限らず、調整技術の向上によって間隔を取って本番というローテは王道になりつつありますね。
その年によって枠順の有利不利が変わるため注意が必要
| 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着以率 | |
| 1枠 | 0-1-3-15 | 0% | 5.26% | 21.05% |
| 2枠 | 2-0-2-15 | 10.53% | 10.53% | 21.05% |
| 3枠 | 1-2-0-17 | 5.00% | 15.00% | 15.00% |
| 4枠 | 2-1-0-17 | 10.00% | 15.00% | 15.00% |
| 5枠 | 2-2-2-14 | 10.00% | 20.00% | 30.00% |
| 6枠 | 1-1-1-17 | 5.00% | 10.00% | 15.00% |
| 7枠 | 2-0-2-26 | 6.67% | 6.67% | 13.33% |
| 8枠 | 0-3-0-27 | 0% | 10.00% | 10.00% |
過去10年枠順成績を見ると外回りで直線の長い阪神芝1600mらしく、一見すると満遍なく成績を残しているように見えます。
1枠~4枠【5-4-5-64】、5枠~8枠【5-6-5-84】でやや内枠が優勢という程度。
しかし実情としては、ひと昔前は外からの差し切りが目立って外枠が優勢。21年~23年は京都競馬場改修工事による変則開催でBコース替わり初週でのレースとなり、それまで不振だった2枠が2勝。1枠も3着に2回入線して内前の傾向が強まった。
つまり満遍なく来ているというよりは、その年の馬場状態により内外の差がかなり変わってくるのが桜花賞の特徴となっている。
25年はBコース開催2週目になるので21年~23年程極端に内前が優勢という事はなさそう。土曜日のレースなどから内外どちらが有利なのかしっかり見極める必要がありそうです。
チューリップ賞過去10年のデータと傾向
以下は阪神芝1600mで行われるチューリップ賞の過去10年の1~3着馬の人気と前走の着順です。ここから傾向を探っていきましょう。
| 年 | 着順 | 馬名 | 人気 | 前走 | 前着順 |
|---|---|---|---|---|---|
| 23年 良 | 1着 | モズメイメイ | 7人気 | こぶし賞 | 1着 |
| 2着 | コナコースト | 6人気 | エルフィンS | 2着 | |
| 3着 | ペニファーニア | 2人気 | 新馬 | 1着 | |
| 22年 良 | 1着 | ナミュール | 1人気 | 阪神JF | 4着 |
| 2着 | ピンハイ | 13人気 | 新馬 | 1着 | |
| 3着 | サークルオブライフ | 2人気 | 阪神JF | 1着 | |
| 21年 稍重 | 1着 | メイケイエール | 1人気 | 阪神JF | 4着 |
| 2着 | エリザベスタワー | 3人気 | エルフィンS | 9着 | |
| 3着 | スゥトーティー | 4人気 | 菜の花賞 | 3着 | |
| 20年 良 | 1着 | マルターズディオサ | 4人気 | 阪神JF | 2着 |
| 2着 | クラヴァシュドール | 2人気 | 阪神JF | 3着 | |
| 3着 | レシステンシア | 1人気 | 阪神JF | 1着 | |
| 19年 良 | 1着 | ダノンファンタジー | 1人気 | 阪神JF | 1着 |
| 2着 | シゲルピンクダイヤ | 4人気 | 未勝利 | 1着 | |
| 3着 | ノーブルスコア | 7人気 | エルフィンS | 3着 | |
| 18年 良 | 1着 | ラッキーライラック | 1人気 | 阪神JF | 1着 |
| 2着 | マウレア | 3人気 | クイーンS | 5着 | |
| 3着 | リリーノーブル | 2人気 | 阪神JF | 2着 | |
| 17年 良 | 1着 | ソウルスターリング | 1人気 | 阪神JF | 1着 |
| 2着 | ミスパンテール | 7人気 | 新馬 | 1着 | |
| 3着 | ヒストリカル | 2人気 | 阪神JF | 2着 | |
| 16年 良 | 1着 | シンハライト | 2人気 | 紅梅S | 1着 |
| 2着 | ジュエラー | 1人気 | シンザン記念 | 2着 | |
| 3着 | ラベンダーヴァレイ | 10人気 | 赤松賞 | 5着 | |
| 15年 重 | 1着 | ココロノアイ | 5人気 | 阪神JF | 3着 |
| 2着 | アンドリエッテ | 7人気 | クイーンC | 4着 | |
| 3着 | レッツゴードンキ | 2人気 | 阪神JF | 2着 | |
| 13年 良 | 1着 | ハープスター | 1人気 | 阪神JF | 2着 |
| 2着 | ヌーヴォレコルト | 4人気 | こうやまき賞 | 1着 | |
| 3着 | リラヴァティ | 6人気 | フェアリーS | 3着 | |
過去10年では前走1番人気の成績が圧倒的
- 1番人気(6-1-1-2)
- 2番人気(1-1-5-3)
- 3番人気(1-1-0-8)
- 4番~6番人気(2-3-2-23)
- 7番~9番人気(1-2-1-25)
- 10番人気(0-1-1-47)
チューリップ賞は1番人気の成績が圧倒的です。勝率60%、連対率70%、3着内率80%は1番人気と言えど他の重賞でもあまり見ないパフォーマンス。
5着以内の阪神JF組が猛威を振るう
まず注目して欲しいのは前走の着順。
過去10年の1~3着馬は21年エリザベスタワーの9着(エルフィンS)を除いて全て5着以内。凡走から巻き返すのが非常に難しいレースとなっています。
更に前走を見れば阪神JF組の成績が【8-1-5-11】で過去10年でなんと8回勝利と猛威を振るっています。先程の5着以内のという条件と合わせれば【8-1-5-5】とより盤石となります。
やはり同じ阪神芝1600mでしかもG1という舞台で好走してきた馬には逆らわないほうが良さそうというデータになっています。









