阪神芝1600mは桜花賞をはじめ、阪神ジュベナイルフィリーズや朝日杯フューチュリティステークスなど3つのG1も開催される中央競馬の主要コースの1つになります。
ここでは、阪神競馬場の芝1600mの特徴や傾向をコース図を交えて解説していきます。注目すべき枠順や脚質についても紹介しています。
阪神芝1600mのコースの特徴
外回りの広いコースと急坂で実力が問われるコース
阪神芝1600mは外回りコースを使用します。
スタートは2コーナ寄りの向こう正面半ばから。そのため3コーナーまでは440m程とかなり長めの直線を走ることになります。ポジション争いにはある程度余裕があるので、序盤は比較的落ち着いたペースになりやすい。
また最後の直線も外回りは473.6mとかなりの長さ。この直線は右回りでは最長になり、左回りのコースを入れても新潟や東京に次いで3位という長さです。
そして阪神競馬場の最大の特徴はゴール直前にある急坂です。高低差は1.8mとそれほどではありませんが、勾配は1.5%とかなりきつめです。
また外回りは3~4コーナがかなりゆったりと作られており、コーナーワークの優劣はつきにくくなっています。
こういった要素からも紛れは生じにくく、阪神芝1600mは比較的実力勝負になりやすいコースと言えるでしょう。
序盤はゆったり進み、直線が長く最後に急坂がある特徴からラスト3ハロンの瞬発力勝負になりやすくなっています。
阪神芝1600mデータ詳細
コース | 右・外回り |
一周距離 | Aコース:2089m Bコース:2113.2m |
直線距離(外回り) | Aコース:473.6m Bコース:476.3m |
高低差(外回り) | Aコース:2.4m Bコース:2.4m |
コースレコード | 1:31.1(ソダシ 2021 桜花賞) |
阪神芝1600mで注目の枠順・脚質
阪神芝1600mの枠順では「2枠」の勝率・連対率・3着以内率全てが優秀で、最も注目すべき枠になります。
次いで「3枠」が有力候補になりますが、広いワンターンのコースなので枠順の優劣は比較的少なめです。
脚質は「先行」が成績が最も安定していますが、直線が長く最後に急坂があるため差しも届きます。
枠順 | 2枠・3枠 |
脚質 | 先行 |
枠順も脚質も融通が利くコースなので傾向は掴みにくいですが、実力を発揮しやすい良コースであると言えますね。
その他の阪神競馬場のコースの特徴と傾向
阪神芝1600mで開催される代表的なレース
- 桜花賞(G1)
- 阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)
- 朝日杯フューチュリティステークス(G1)
- 阪神牝馬S(G2)
- チューリップ賞(G2)
- アーリントンカップ(G3)
- 洛陽ステークス(L)
- 六甲S(L)
- 米子S(L)
- ポートアイランドS(L)
- リゲルS(L)
阪神芝1600mは3つのG1が開催されるチャンピオンを決めるにふさわしいコースです。中でも代表的なレースは牝馬クラシックの第1弾となる「桜花賞」です。
阪神開催となった第10回からでも1950年と日本競馬でも非常に歴史の長いレース。牡馬と牝馬の実力格差がなくなりつつある昨今においては、特に歴史に名を残すようなスーパーホースも数多く優勝しています。
2023年にはリバティアイランドが桜花賞を勝利。後に史上7頭目となる牝馬クラシック3冠を制覇しました。
G1以外の重賞競走やリステッド競走も数多く開催されます。
桜花賞過去10年のデータと傾向
以下は阪神芝1600mで行われる桜花賞の過去10年の1~3着馬の枠順と前走の着順です。ここから傾向を探っていきます。
年 | 着順 | 枠 | 馬名 | 前走 | 前走着順 |
---|---|---|---|---|---|
23年 | 1着 | 3 | リバティアイランド | 阪神JF | 1着 |
2着 | 9 | コナコースト | チューリップ賞 | 2着 | |
3着 | 14 | ペリファーニア | チューリップ賞 | 3着 | |
22年 | 1着 | 8 | スターズオンアース | クイーンC | 2着 |
2着 | 6 | ウォーターナビレラ | チューリップ賞 | 5着 | |
3着 | 1 | ナムラクレア | Fレビュー | 2着 | |
21年 | 1着 | 4 | ソダシ | 阪神JF | 1着 |
2着 | 18 | サトノレイナス | 阪神JF | 2着 | |
3着 | 2 | ファインルージュ | フェアリーS | 1着 | |
20年 | 1着 | 9 | デアリングタクト | エルフィンS | 1着 |
2着 | 17 | レシステンシア | チューリップ賞 | 3着 | |
3着 | 3 | スマイルカナ | チューリップ賞 | 1着 | |
19年 | 1着 | 8 | グランアレグリア | 朝日杯FS | 3着 |
2着 | 16 | シゲルピンクダイヤ | チューリップ賞 | 2着 | |
3着 | 4 | クロノジェネシス | クイーンC | 1着 | |
18年 | 1着 | 13 | アーモンドアイ | シンザン記念 | 1着 |
2着 | 1 | ラッキーライラック | チューリップ賞 | 1着 | |
3着 | 9 | リリーノーブル | チューリップ賞 | 3着 | |
17年 | 1着 | 10 | レーヌミノル | Fレビュー | 2着 |
2着 | 6 | リスグラシュー | チューリップ賞 | 3着 | |
3着 | 14 | ソウルスターリング | チューリップ賞 | 1着 | |
16年 | 1着 | 13 | ジュエラー | チューリップ賞 | 2着 |
2着 | 12 | シンハライト | チューリップ賞 | 1着 | |
3着 | 10 | アットザシーサイド | Fレビュー | 2着 | |
15年 | 1着 | 6 | レッツゴードンキ | チューリップ賞 | 3着 |
2着 | 7 | クルミナル | チューリップ賞 | 11着 | |
3着 | 1 | コンテッサトゥーレ | チューリップ賞 | 6着 | |
14年 | 1着 | 18 | ハープスター | チューリップ賞 | 1着 |
2着 | 12 | レッドリヴェール | 阪神JF | 1着 | |
3着 | 10 | ヌーヴォレコルト | チューリップ賞 | 2着 |
G1からの直行組の好走率が目立つ
成績 | 勝率 | 連対率 | 3着以内 | |
チューリップ賞 | 3-8-6-30 | 6.38% | 23.40% | 36.17% |
阪神JF | 2-2-0-5 | 22.22% | 44.44% | 44.44% |
フィリーズレビュー | 1-0-2-43 | 2.17% | 2.17% | 6.52% |
クイーンC | 1-0-1-18 | 5.00% | 5.00% | 10.00% |
朝日杯FS | 1-0-0-1 | 50.00% | 50.00% | 50.00% |
シンザン記念 | 1-0-0-2 | 33.33% | 33.33% | 33.33% |
エルフィンS | 1-0-0-3 | 25.00% | 25.00% | 25.00% |
まずは出走頭数が断然の3月桜花賞トライアル組を比較してみます。
チューリップ賞組が【3-8-6-30】と安定して馬券圏内に来ているのに対し、フィリーズレビュー組は【1-0-2-43】と苦戦傾向。
近年このチューリップ賞を上回る好走率なのが2歳G1からの直行組。阪神JF組【2-2-0-5】、朝日杯FS組【1-0-0-1】と数は少ないが堅実に結果を残している。これらがいずれも桜花賞と同条件の阪神芝1600mだということは無関係ではないだろう。
ただし阪神JF組からの1着は「23年リバティアイランド」「21年ソダシ」、朝日杯FS組では「19年グランアレグリア」とかなりの実力馬であった事は注意したい。
3歳牝馬クラシックに限らず、調整技術の向上によって間隔を取って本番というローテは王道になりつつあります。
その年によって枠順の有利不利が変わるため注意が必要
成績 | 勝率 | 連対率 | 3着以率 | |
1枠 | 0-1-3-15 | 0.00% | 5.26% | 21.05% |
2枠 | 2-0-2-15 | 10.53% | 10.53% | 21.05% |
3枠 | 1-2-0-17 | 5.00% | 15.00% | 15.00% |
4枠 | 2-1-0-17 | 10.00% | 15.00% | 15.00% |
5枠 | 2-1-3-14 | 10.00% | 15.00% | 30.00% |
6枠 | 0-2-0-18 | 0.00% | 10.00% | 10.00% |
7枠 | 2-0-2-26 | 6.67% | 6.67% | 13.33% |
8枠 | 1-3-0-26 | 3.33% | 13.33% | 13.33% |
過去10年枠順成績を見ると外回りで直線の長い阪神芝1600mらしく、一見満遍なく成績を残しているように見えます。
1枠~4枠【5-4-5-64】、5枠~8枠【5-6-5-84】でやや内枠が優勢という程度。
しかし実情としては、ひと昔前は外からの差し切りが目立って外枠が優勢。21年~23年は京都競馬場改修工事による変則開催でBコース替わり初週でのレースとなり、それまで不振だった2枠が2勝。1枠も3着に2回入線して内前の傾向が強まった。
つまり満遍なく来ているというよりは、その年の馬場状態により内外の差がかなり変わってくるのが桜花賞の特徴となっている。
今年はBコース開催2週目になるので21年~23年程極端に内前が優勢という事はなさそう。土曜日のレースなどから内外どちらが有利なのかしっかり見極める必要がある。
チューリップ賞過去10年のデータと傾向
以下は阪神芝1600mで行われるチューリップ賞の過去10年の1~3着馬の人気と前走の着順です。ここから傾向を探っていきましょう。
年 | 着順 | 馬名 | 人気 | 前走 | 前着順 |
---|---|---|---|---|---|
良 | 23年1着 | モズメイメイ | 7人気 | こぶし賞 | 1着 |
2着 | コナコースト | 6人気 | エルフィンS | 2着 | |
3着 | ペニファーニア | 2人気 | 新馬 | 1着 | |
良 | 22年1着 | ナミュール | 1人気 | 阪神JF | 4着 |
2着 | ピンハイ | 13人気 | 新馬 | 1着 | |
3着 | サークルオブライフ | 2人気 | 阪神JF | 1着 | |
稍重 | 21年1着 | メイケイエール | 1人気 | 阪神JF | 4着 |
2着 | エリザベスタワー | 3人気 | エルフィンS | 9着 | |
3着 | スゥトーティー | 4人気 | 菜の花賞 | 3着 | |
良 | 20年1着 | マルターズディオサ | 4人気 | 阪神JF | 2着 |
2着 | クラヴァシュドール | 2人気 | 阪神JF | 3着 | |
3着 | レシステンシア | 1人気 | 阪神JF | 1着 | |
良 | 19年1着 | ダノンファンタジー | 1人気 | 阪神JF | 1着 |
2着 | シゲルピンクダイヤ | 4人気 | 未勝利 | 1着 | |
3着 | ノーブルスコア | 7人気 | エルフィンS | 3着 | |
良 | 18年1着 | ラッキーライラック | 1人気 | 阪神JF | 1着 |
2着 | マウレア | 3人気 | クイーンS | 5着 | |
3着 | リリーノーブル | 2人気 | 阪神JF | 2着 | |
良 | 17年1着 | ソウルスターリング | 1人気 | 阪神JF | 1着 |
2着 | ミスパンテール | 7人気 | 新馬 | 1着 | |
3着 | ヒストリカル | 2人気 | 阪神JF | 2着 | |
良 | 16年1着 | シンハライト | 2人気 | 紅梅S | 1着 |
2着 | ジュエラー | 1人気 | シンザン記念 | 2着 | |
3着 | ラベンダーヴァレイ | 10人気 | 赤松賞 | 5着 | |
重 | 15年1着 | ココロノアイ | 5人気 | 阪神JF | 3着 |
2着 | アンドリエッテ | 7人気 | クイーンC | 4着 | |
3着 | レッツゴードンキ | 2人気 | 阪神JF | 2着 | |
良 | 13年1着 | ハープスター | 1人気 | 阪神JF | 2着 |
2着 | ヌーヴォレコルト | 4人気 | こうやまき賞 | 1着 | |
3着 | リラヴァティ | 6人気 | フェアリーS | 3着 |
過去10年では前走1番人気の成績が圧倒的
- 1番人気(6-1-1-2)
- 2番人気(1-1-5-3)
- 3番人気(1-1-0-8)
- 4番~6番人気(2-3-2-23)
- 7番~9番人気(1-2-1-25)
- 10番人気(0-1-1-47)
チューリップ賞は1番人気の成績が圧倒的です。勝率60%、連対率70%、3着内率80%は1番人気と言えど他の重賞でもあまり見ないパフォーマンス。
5着以内の阪神JF組が猛威を振るう
まず注目して欲しいのは前走の着順。
過去10年の1~3着馬は21年エリザベスタワーの9着(エルフィンS)を除いて全て5着以内。凡走から巻き返すのが非常に難しいレースとなっています。
更に前走を見れば阪神JF組の成績が【8-1-5-11】で過去10年でなんと8回勝利と猛威を振るっています。先程の5着以内のという条件と合わせれば【8-1-5-5】とより盤石となります。
やはり同じ阪神芝1600mでしかもG1という舞台で好走してきた馬には逆らわないほうが良さそうというデータになっています。
ちなみに2024年のチューリップ賞出走予定馬では、この前走阪神JF組5着以内の馬がいないため、去年のように荒れる可能性もありますので注意しておきましょう。
また今回は同条件のG1朝日杯FS3着のタガノエルピーダが出走するので、これを前走阪神JF組レベルと見ると軽視できない要注目馬になります