2025年のジャパンカップは、M.バルザローナ騎手騎乗のカランダガンが優勝。
欧州年度代表馬でロンジン・ワールドベストホースランキング1位の実力をまざまざと見せつけました。
勝ちタイムの2:20.3は芝2400mの世界レコード。18年アーモンドアイの2:20.6を0.3秒縮めての勝利で、ジャパンカップに新たな金字塔を打ち立てました。
ここでは25年ジャパンカップのレース回顧をしていきます。今後の大レースにも影響していきそうな中身の濃いレース。次走の参考になれば幸いです。
レース予想結果

| 着順 | 枠番 | 印 | 馬名 | 重量 | 騎手 | タイム | 通過順位 | 上がり | 人気 |
| 1 | 8 | ▲ | カランダガン | 58.0 | M.バルザローナ | 2:20.3 (レコード) | 11-10-11-11 | 33.2 | 4 |
| 2 | 15 | ◎ | マスカレードボール | 56.0 | C.ルメール | アタマ | 10-8-9-9 | 33.4 | 1 |
| 3 | 14 | △ | ダノンデサイル | 58.0 | 戸崎圭太 | 2 1/2 | 8-8-10-9 | 33.8 | 3 |
レース予想は▲◎△での決着。
厚め評価の4頭が上位に。秋G1は固い決着が続いていますが、その分好調が続いているのは嬉しいですね。


レース展開


発走直後にアドマイヤテラが落馬する波乱のスタート。
ハナを奪ったのはセイウンハーデスで後続を10馬身程離す大逃げで、前半1000mは57.6秒とかなりのハイペース。
この離れた2番手グループ視点で見ても58秒半ば~59秒とある程度流れたペース。
そのため直線早めに前を捉えにかかったタスティエーラ、クロワデュノールにとっては厳しい展開。
反対に中団からやや後方に位置していた、マスカレードボール、カランダガンら後方待機組にとっては絶好の展開となった。
流れたペースにも関わらず、ラスト3Fは11.8 – 11.5 – 11.3という加速ラップで、最後に抜け出した2頭はかなりハイレベルだったことが推察できる。
この手のレコード決着はスピードの持続力が主に問われやすいが、ラストの上がりから瞬発力が要求されたレースという印象。
2:20.3という世界レコードの走破タイムについては、「セイウンハーデスの大逃げ+ハイレベルの争い」だったことが主な要因だが、今開催速いタイムが連発していた超高速馬場だったことも覚えておきたい。
同じくレコード決着だった18年(アーモンドアイ)との違い
参考までに、今回レコードが更新されるまで日本レコードだった18年アーモンドアイの時のレースラップとも比較してみましょう。
18年はキセキが前半59.9秒で逃げ、前半は比較的ゆったり入りながらも、残り5ハロンくらいからのスピードの持続力勝負となっています。
25年は先程と説明が重複しますが、セイウンハーデスを除いた2番手グループでも58秒半ば~59秒の締まった流れ。そこから更に残り3ハロンでの瞬発力が要求されたレースとなっています。
同じレコード決着でも全然違うレース展開なのは面白いですね。
上位入線馬の見解


1着 ▲カランダガン…アウェーも関係なしの完璧なパフォーマンス
今回評価していた人も軽視していた人も、この馬のパフォーマンスには驚かされたはず。
後方待機が予測された中で、道中はマスカレードボールを前に見る11番手での追走。
いくら差し馬向きの展開とはいえ後方すぎると望み薄なだけに、この位置取りは完璧ともいえるポジショニング。
このペースでも自然に追走している姿を見て、好走を確信した人も多いのではないでしょうか。
特筆すべきは4コーナーから直線に入った時のマスカレードボールとの手応えの差で、ここで相手の追い出しを待つ余裕があったことが最後のアタマ差につながった。
ドバイシーマクラシック(2着)などでも見せた驚異の瞬発力は、日本の高速馬場でもしっかりと発揮され、上がり最速の33.2秒をマーク。
サンクルー大賞→キングジョージ→英チャンピオンS→ジャパンCのG1競走4連勝は、今後も達成不可能に見える大記録。
文句なしの現役世界最強馬と言えるでしょう。
来年もこの馬と日本馬が対戦する機会があれば、大きな壁となることは間違いなしですね。
2着 ◎マスカレードボール…気性面の成長大きく完成に近づく
史上初の3歳での天皇賞秋→ジャパンカップ連勝に挑んだマスカレードボール。
臨戦過程においてクロワデュノールやダノンデサイルに1歩リードしていたが、まさにそれを反映したようなレース結果となった。
ゴーサインを出してからの伸びるまでの反応は多少時間がかかったが、そこからしっかりと末脚を伸ばし続けたのはこれまでのレース同様。
直線入り口では、外のカランダガンが追い出すのを待つ余裕を見せる中、分が悪そうに見えたが、あそこからギリギリまで先頭を守ったのは驚き。
また、スタンド前発走ながらゲートでの落ち着きっぷりや道中のクレバーな立ち回りなど、気性面での成長が大きく、今秋、大躍進した要因の一つと言えそうです。
東京がマッチしている事には変わりないが、今の立ち回りが安定してできるなら、広いコース全般で同様に活躍できそう。
勝負所での反応がもう少し改善されれば、今後国内一強も考えられる圧巻パフォーマンスでした。
3着 △ダノンデサイル…乗り難しさ未だあり、折り合い面に課題残す
好スタートから上手く内に寄せ、道中はマスカレードボール近辺の好ポジション。
ただ近くをスムーズに走っているマスカレードボール、カランダガンと違って明らかに折り合いに苦労している場面も。
またレース後コメントで「4コーナー手前で押し込まれて、態勢が整わないうちに加速させられた。」というように、外に上手く持ち出せた上位2頭とは対照的に、内からなんとか進路を見つけて伸びてこなければいけなかったのも、最後の着差に影響していそう。
夏の海外遠征からという過程を考えれば十分頑張っているものの、横山典弘騎手が騎乗していた時から一貫して乗り難しさがあり、これは未だ解消されていない。
また、ドバイでは対応できたものの、ダービーのような徐々にペースが上がる展開ではなく、一気に加速を要求される展開も厳しかったかも。
以前気性面での難しさは残りますが、体調に問題なく有馬記念に出てくれば期待は大きそう。
その他注目馬の見解


4着 〇クロワデュノール…万全でない状態で見せたダービー馬の意地
毎回惚れ惚れするスタートの上手さ。
道中は前目4番手でしっかり折り合いもついていた。
3コーナーから直線まで空馬となったアドマイヤテラが近くにいて、多少やりにくさもあった。
ダービー同様に強気に先行抜け出しを図るものの、最後は後方からレースを進めた3頭に交わされる形に。
ただ、ダービーラスト3Fのラップは11.8 – 11.3 – 11.7で、今回が11.8 – 11.5 – 11.3。
雨の影響が残ったダービーと、高速馬場だった今回と色々差はあるものの、今回は単純にラスト1ハロンで要求されるレベルが高すぎたとも言える。
直前まで出否を迷っていたように状態面で万全でなかった点を考慮すれば、かなりのパフォーマンスを発揮できている。
結果4着だが全く悲観する内容ではないと見ています。
今回は厳しい展開になりましたが、改めて強さを再確認できたレース。
来年以降もG1で十分に勝ち負けを狙えるレベルで期待できそうです。
5着 △ジャスティンパレス…下げざるを得なかったポジション取り、最後に響き…
昨年がスローの展開で5着で、今回はレコード決着の中で5着。
相変わらずどんな展開でも自分の力は発揮してくるのは頭が下がります。
レース後のコメントで「1コーナーでポジションを下げなくてはいけない場面があり、ポジションが後ろからになってしまいました」というように1コーナーで、外からダノンデサイル、ディープモンスターに寄られ1列後方での競馬を強いられたのが痛かった。
直線に入った時にはカランダガンやマスカレードボールより後ろで、相手は33.2、33.4という脚を繰り出しているだけに、後ろからこの2頭を捉えるというのは流石に厳しかった。(この馬自身の上がりは33.5)
おそらく有馬記念が最後のレース。
ここまで大きなトラブルもなくG1を盛り上げ続けてくれた馬。
無事に競走生活を終えてくれることを祈ります!
レース総括
- 早い時計が連発していた今開催。ペースやレベルの高さもあって2:20.3の世界レコード決着。
- 大逃げのセイウンハーデス抜きにしても、2番手グループも58秒半ば~59秒とある程度流れたペース。
- ラスト3Fは11.8 – 11.5 – 11.3と加速ラップで、最後にかなり瞬発力が要求されたレース。
- 最後抜け出したカランダガン、マスカレードボール2頭はかなりのハイレベルだったことが推察される。
- 先行勢には厳しい展開で差し馬向きの展開。早め抜け出しから4着に踏ん張ったクロワデュノールは高評価。
最後まで読んでくださりありがとうございました!










