今週は牡馬クラシック3冠目の「菊花賞」。
ダービー馬ダノンデサイルを中心に、セントライト記念組からはアーバンシック、コスモキュランダ、エコロヴァルツ神戸新聞杯組からはメイショウタバル、ショウナンラプンタなどトライアル組が虎視眈々と優勝を狙う構図となりました。
全馬初距離となる3000mが難解ながらも楽しみな1戦です。
ここでは2024年の菊花賞のレース予想をしていきます。
2023年は皐月賞馬、ダービー馬を抑えてドゥレッツァが3馬身半の圧勝劇となりました。
2024年菊花賞のコース形態
京都芝3000mのポイント
- 2回「淀の坂」を上り下りする難コースで当然スタミナが必要
- スタートから3コーナーまで約200m程しかないため、外枠の馬は工夫が必要
- 最後まで力を温存したいため中盤はペースが極端に緩む傾向
- 最後の直線は平坦でスピードも出やすく瞬発力も問われる
より詳しい京都芝3000mの特徴は以下の記事で解説しているのでよければ参考にしてみて下さい。
菊花賞の過去10年のデータと傾向
以下は菊花賞の過去10年の1~3着馬の騎手と前走の着順です。なお21年、22年は阪神での開催となっています。
年 | 着順 | 馬名 | 騎手 | 前走 | 前着順 |
---|---|---|---|---|---|
23年 | 1着 | ドゥレッツァ | Cルメール | 日本海S | 1着 |
2着 | タスティエーラ | Jモレイラ | 日本ダービー | 1着 | |
3着 | ソールオリエンス | 横山武史 | セントライト記念 | 2着 | |
阪神 | 22年1着 | アスクビクターモア | 田辺裕信 | セントライト記念 | 2着 |
2着 | ボルドグフーシュ | 吉田隼人 | 神戸新聞杯 | 3着 | |
3着 | ジャスティンパレス | 鮫島克駿 | 神戸新聞杯 | 1着 | |
阪神 | 21年1着 | タイトルホルダー | 横山武史 | セントライト記念 | 13着 |
2着 | オーソクレース | Cルメール | セントライト記念 | 3着 | |
3着 | ディヴァインラヴ | 福永祐一 | 木曽川特別 | 1着 | |
20年 | 1着 | コントレイル | 福永祐一 | 神戸新聞杯 | 1着 |
2着 | アリストテレス | Cルメール | 小牧特別 | 1着 | |
3着 | サトノフラッグ | 戸崎圭太 | セントライト記念 | 2着 | |
19年 | 1着 | ワールドプレミアム | 武豊 | 神戸新聞杯 | 3着 |
2着 | サトノルークス | 福永祐一 | セントライト記念 | 2着 | |
3着 | ヴェロックス | 川田将雅 | 神戸新聞杯 | 2着 | |
18年 | 1着 | フィエールマン | Cルメール | ラジオNIKKEI賞 | 2着 |
2着 | エタリオウ | Mデムーロ | 神戸新聞杯 | 2着 | |
3着 | ユーキャンスマイル | 武豊 | 阿賀野川特別 | 1着 | |
17年 | 1着 | キセキ | Mデムーロ | 神戸新聞杯 | 2着 |
2着 | クリンチャー | 藤岡佑介 | セントライト記念 | 9着 | |
3着 | ポポカテペトル | 和田竜二 | 阿賀野川特別 | 1着 | |
16年 | 1着 | サトノダイヤモンド | Cルメール | 神戸新聞杯 | 1着 |
2着 | レインボーライン | 福永祐一 | 札幌記念 | 3着 | |
3着 | エアスピネル | 武豊 | 神戸新聞杯 | 5着 | |
15年 | 1着 | キタンサンブラック | 北村宏司 | セントライト記念 | 1着 |
2着 | リアルスティール | 福永祐一 | 神戸新聞杯 | 2着 | |
3着 | リアファル | Cルメール | 神戸新聞杯 | 1着 | |
14年 | 1着 | トーホウジャッカル | 酒井学 | 神戸新聞杯 | 3着 |
2着 | サウンズオブアース | 蛯名正義 | 神戸新聞杯 | 2着 | |
3着 | ゴールドアクター | 吉田隼人 | 支笏湖特別 | 1着 | |
13年 | 1着 | エピファネイア | 福永祐一 | 神戸新聞杯 | 1着 |
2着 | サトノノブレス | 岩田康誠 | 神戸新聞杯 | 3着 | |
3着 | バンデ | 松田大作 | 兵庫特別 | 1着 | |
12年 | 1着 | ゴールドシップ | 内田博幸 | 神戸新聞杯 | 1着 |
2着 | スカイディグニティ | Iメンディ | セントライト記念 | 2着 | |
3着 | ユウキソルジャー | 秋山真一 | 神戸新聞杯 | 4着 |
今回は阪神開催となった21年と22年を除いた過去10年間のデータで比較してみます。
近年ではルメール騎手の成績が頭1つ抜けている
よく長距離は騎手と言われますが、菊花賞はルメール騎手の成績が頭1つ抜けています。
- C.ルメール【3-1-1-2】
- 福永祐一(引退)【2-3-0-3】
- M.デムーロ【1-1-0-6】
- 武豊【1-0-2-5】
- 北村宏司【1-0-0-4】
- 酒井学【1-0-0-2】
- 内田博幸【1-0-0-2】
- 藤岡祐介【0-1-0-3】
- 岩田康誠【0-1-0-8】
- 戸崎圭太【0-0-1-4】
- 川田将雅【0-0-1-7】
- 横山典弘【0-0-0-6】
- 松山弘平【0-0-0-6】
- 浜中俊【0-0-0-6】
- 池添謙一【0-0-0-8】
- 柴田善臣【0-0-0-1】
- 北村友一【0-0-0-1】
- A.シュタルケ【0-0-0-0】
ルメール騎手は、2015年にJRAの騎手免許を取得してから【3-1-1-2】という成績。馬券圏内には71.4%という高い確率で来ています。勝つためのポジション取りやロスのない立ち回りなどが上手い騎手ですので、長距離の菊花賞でより成績に表れていると考えられます。
また、注目の武豊騎手ですが、2013~2020年・23年では【1-0-2-5】という成績。ルメール騎手程のインパクトはありませんが3番人気以上の馬には2回しか乗っておらず、見過ごせない1人です。
反対に川田将雅騎手は2010年にビッグウィークで優勝しているものの、最近に限れば【0-0-1-7】とやや不振傾向です。現在の活躍から見れば意外なデータと言えます。
ちなみに福永祐一元騎手も【2-3-0-3】とかなりの好成績で、菊花賞で信頼できる騎手の一人でした。
現在活躍中の若手に注目してみると…
現在活躍中の若手の菊花賞の成績も気になるところ。
- 横山武史【0-0-1-0】
- 西村淳也【0-0-0-1】
- 岩田望来【0-0-0-1】
- 鮫島克駿【0-0-0-0】
- 坂井瑠星【0-0-0-3】
20年、21年が阪神開催だったこともあり、京都コースでの菊花賞の経験はほとんどありません。
京都芝3000mは年に2回しかないので、若手の騎手のデータはまだまだ未知数なところがあります。
ただ、阪神芝3000mでの菊花賞では横山武史騎手のタイトルホルダー(1着)や鮫島克駿騎手のジャスティンパレス(3着)があるので、これから徐々に破られていくデータではありそうです。
前走神戸新聞杯組が7勝と最有力
阪神開催となった21年と22年を除いた過去10年間のデータの前走別成績(3着以内馬輩出レースのみ)を比較すると…
成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
神戸新聞杯 | 7-4-4-54 | 10.14% | 15.94% | 21.74% |
セントライト記念 | 1-3-2-43 | 2.04% | 8.16% | 12.24% |
3勝クラス | 1-0-0-5 | 16.67% | 16.67% | 16.67% |
ラジオNIKKEI賞 | 1-0-0-1 | 50.00% | 50.00% | 50.00% |
2勝クラス | 0-1-4-32 | 0% | 2.70% | 13.51% |
札幌記念 | 0-1-0-3 | 0% | 25.00% | 25.00% |
日本ダービー | 0-1-0-1 | 0% | 50.00% | 50.00% |
菊花賞が関西馬が8勝、関東馬が2勝という関西優勢の背景もあり、「神戸新聞杯組」からのローテが【7-4-7-54】で最有力となります。10年で7勝ですから神戸新聞杯組は真っ先に検討に入るべきレースになります。
セントライト記念組は出走頭数を考えれば1勝は物足りない。ただし阪神開催だった21年、22年を含めた場合は好走確率がぐっと上がるため、これをどう見るかといったところ。
その他では「3勝クラス」、「ラジオNIKKEI賞組」、「札幌記念組」も好走確率は高く注目ですが、出走数自体がかなり少な目で過度に信用はできません。
また「ダービー直行組」も2012年コスモオオゾラ17着と23年タスティエーラ2着の2頭のみで、こちらもまだまだ前例が少なくデータで判断しづらくなっています。(阪神開催の21年ならディープモンスター5着もある)
今年の神戸新聞杯は中京開催。
20~22年が同じく中京開催でボルドグフーシュ、ジャスティンパレス、コントレイルなど好走馬もいますが、21年、22年は阪神での菊花賞でやや判断が難しくなっています。
菊花賞傾向まとめ(阪神開催を除く過去10年)
有力馬ピックアップ
◎ダノンデサイル
言わずもながの日本ダービー馬。レースは無敗の皐月賞馬ジャスティンミラノ相手に2馬身差の完勝という内容だった。
3枠5番からスローを見越して内前目のダービーポジションからの勝利だけに、どちらかというと鞍上の上手さが光ったレースだが、こういうレース運びができるのが菊花賞では心強い。
幸い今回も「2枠4番」という好枠を引けた。スタートしてすぐのコーナーや3000mの長丁場もあって外から豪快に差してくるといったレースになりにくい舞台。内枠からのロスのない立ち回りが最後活きると見る。
ゴール入線後も他馬より伸び続けている場面がたびたび見られ、3000mという距離でパフォーマンスを落とす場面が想像しにくい。
皐月賞は跛行での出走取りやめで、ダービーはどちらかというと何とか間に合ったというような調整。これまでの戦績からも完成にはもう少し時間がかかりそうという中での勝利。
「ぶっつけ」での3000mは不安がないと言えば嘘になるが、調教師、騎手共に春より良くなったと揃って成長を口にしている事に目を向けたい
〇アーバンシック
アーバンシックは京成杯で、後のダービー馬ダノンデサイルに届かず2着、皐月賞も後方からの競馬で猛然と追い上げるも4着と不器用な競馬。ダービーもスローの展開で後方の馬には出番がないレースで11着。
春は気性面の関係で後方待機が多くなり期待されていた活躍は見せれなかったが、前走ルメール騎手に乗り替わったセントライト記念でそのイメージを払拭。
スタートを決めある程度気合をつけて中団待機。道中は最内枠からロスなく進み、最後だけ外に出してゴーサインを送ると素晴らしい瞬発力を見せて快勝。
ルメール騎手のエスコートによるところが大きいとは思うが、陣営は夏を越して気性に成長を感じたと言っていたように春より操縦性は上がっていると見る。
7枠13番と外枠である程度工夫が入りそうだが、先述したように阪神を除いて過去10年の菊花賞では【3-1-1-2】と1人抜けた戦績を持つルメール騎手。正直これだけでも買っておきたい。
▲コスモキュランダ
弥生賞ではシンエンペラーを寄せ付けず、皐月賞はジャスティンミラノにクビ差の2着。いずれも早い時計で走破しておりレベルが高い。
ダービーでは展開を考えれば致命的な出遅れだったが、得意のロングスパートで早めに位置を押し上げて6着。上位馬が内前目で上手く立ち回っていた事からもむしろ強さが際立つレースだった。単純なスタミナではメンバー屈指と思われる。
ただ似たような捲っていくレースでセントライト記念は2着に敗れており、京都3000mという舞台で立ち回りの面で苦労しそうでこの印に。
能力面ではトップクラスに評価するものの、菊花賞で捲って勝つとなるとかなり大変なイメージなので、デムーロ騎手がこの舞台をどうクリアするのかは今年の見所の一つ。もしロスなく内から抜けてくるような競馬ができればあっさりの可能性もありそう。
その他の注目馬
△ヘデントールはゲート不安こそあるものの、ここ2戦は前目でレースができているように、序盤のペースが緩ければある程度の位置につけれる可能性はある。唯一沈んだ青葉賞は実質レースに参加していないようなもので、1勝クラスで戦ったヤマニンアドホックを物差しにしても即上位に通用してもおかしくはない。長距離で活躍できるとルメール騎手にお墨付きをもらっているので、スタミナが問われる展開を期待したい。外枠、初関西遠征、主戦ではない事を加味して押さえまでで。
×ショウナンラプンタは新馬戦の勝ちっぷりの良さから注目してきたがゲートと折り合い面で苦労してきた。前走神戸新聞杯が前の2頭がワンツーの中での差してきての3着。秋初戦となった前走で折り合い面での進捗を見せたし、長めの距離を使い続けてきたのもプラス。正直まだG1クラスは厳しいかな…と思いつつも7番人気なら応援の意味合いも込めて少額押さえたい。
菊花賞レース予想(結論)
◎ダノンデサイルがダービー9番人気だったことを考えると後乗り感のあるここはそこまで勝負はしづらいですね…
それでも大好きなレースなので、純粋に馬券を買って楽しみたいです。
◎ダノンデサイル
〇アーバンシック
▲コスモキュランダ
△ヘデントール
×ショウナンラプンタ
馬連:◎-〇▲△×
馬連:〇-▲
想定ペース:ややハイ
最後まで読んでくださりありがとうございました!