今週は牝馬クラシック2戦目の「オークス」。
オークスを予想する上で特に気になるのは桜花賞から一気の距離延長による各馬の距離適性。
今年は桜花賞馬エンブロイダリーを始めリンクスティップやエリカエクスプレスなど、各馬の距離適性にメリットデメリットがあるので慎重な考察の必要がありそう。
また土曜、日曜と雨予報も出ており道悪適正も問われ難解な1戦になりそうです。
ここでは「2025年オークス」のレース予想をしていきます。

去年の勝ち馬チェルヴィニアは桜花賞13着からの見事な巻き返し。
秋には秋華賞も制覇し2冠牝馬となりました。


【2025オークス】レースのポイント




まずは2025年オークスのレースポイントから見てみましょう。
- スタンド前からゴール板を一度通過後、コースを一周する。総合力の問われる日本随一の王道コース。
- 最初のコーナーまでは約350m。外枠の馬達はなるべく内目でコーナーを迎えたい。
- 直線の長さは525.9m。直線半ばの高低差2mの上り坂などアップダウンの多いコース。
- Bコース最終週。脚質は過去10年間で差しが【7-4-7-64】で7勝。逃げは【0-0-0-10】とかなり苦しい。
- 「桜花賞組」が【7-5-7-63】の7勝と圧倒的主流ローテ。更に桜花賞で3着以内だった場合は【6-2-4-12】と更に好走確率がアップ。
- 桜花賞馬が短距離寄りの馬だった年は他路線組が台頭。「忘れな草賞組」は【2-0-1-9】と侮れない。
- 土曜、日曜は雨予報で道悪適正も問われそう。



更に詳しいコース傾向を知りたい場合は以下の記事を参考にしてみて下さい。


【2025オークス】有力馬ピックアップ


「総評S」
エンブロイダリー・アルマヴェローチェ
「総評A」
リンクスティップ・パラディレーヌ
「総評B」
エリカエクスプレス・レーゼドラマ・ゴーソーファー・ブラウンラチェット
【総評S】エンブロイダリー…一度加速した後のスピードの持続力は一級品
前走桜花賞は雨馬場が心配されたが、道中のフットワークも問題なくラスト3Fは11.5-11.0-11.4と目を見張る末脚で2着アルマヴェローチェの追撃をクビ差振り切った。
アルマヴェローチェの岩田望来騎手はレース後「自分の馬も伸びていたけど、向こうも伸び返してきました」というように相手に迫られた瞬間に伸びた1馬身差が最後の明暗を分けた。
内でしっかり脚を溜めながらも直線は上手く外に持ち出すなどモレイラ騎手の好騎乗も光ったが、直線は進路を探りながらの競馬で全くのスムーズだったわけではない。着差以上に強さを感じたレース。
前々走のクイーンCもそうだったが、一度加速したあとのスピードの持続力は一級品で簡単に後れを取ることはない。
トビが大きいタイプで東京コースは【2-1-0-0】、小回りの中山では【0-0-0-1】(中山は出遅れが主な敗因だが…)と広いコースは歓迎のタイプ。
この馬の不安点を挙げるならやはり想定以上に雨が降った場合や超スローの展開。桜花賞は稍重とはいえ1:33.1という早いタイムでの決着で排水性の高い阪神の馬場に助けられた可能性はある。クイーンCでは高速決着で強いレースを見せているだけに重/不良やスローペースの経験不足に不安は残る。
またスタートの不安は払拭されつつあるものの、スタンド前発走となると若干心配。気性面の成長も伺わせており、テンションも安定しつつあるが当日落ち着きがあるかは確認しておきたい。
距離適性
エンブロイダリーの距離適性についても少し考えていきたい。やはり1番参考にしたいのは関係者のコメント。以下は関係者が距離について言及したコメント。
レース | 関係者 | コメント |
2歳1勝クラス(1400m) | C.ルメール騎手 | 少し落ち着いてきました。1400mがちょうど良いですね。 |
クイーン (1600m) | 森一誠調教師 | 新潟の1800mで強い勝ち方をしていましたから、距離に不安は全くありませんでした。 |
桜花賞 (1600m) | J.モレイラ騎手 | 2000mまでなら全く問題ない。(2400mに関して)絶対にとは言い切れないがこなせないという心配はない。 |
JRA共同会見 | 森一誠調教師 | (2400mに関して)やってみないとわからないところはあるがそれは他の陣営についても同じ。現時点での能力と完成度でカバーしてくれると思っています。 |
2歳1勝クラス時の「1400mがちょうどいい」に関しては、前走ゲートでうるさい面を見せたことや道中少し引っかかったこともあってのコメントだと考えられる。
その後気性面で進展があった後の他コメントから考えると1600~2000mまでに適性距離がありそう。まあこの時期に2400mが絶好という牝馬は早々いないと思う。
血統面ではアドマイヤマーズ産駒が初年度産駒で長い距離の実績はまだ不明。アドマイヤマーズ自体がマイルを中心に活躍した馬でプラスとは言えない。
対して3代母にビワハイジがいてこれがクラシック血統となっており2400mという距離を後押ししている。プラス要素マイナス要素が混在して血統面での判断は中々に難しい。






【総評S】アルマヴェローチェ・・・余裕を持ったローテと週末雨予報も後押し
前走桜花賞は4カ月ぶりのレースでプラス12キロ。重め感も感じさせず理想的な成長曲線を描いている。
実際レースも上がり最速の33.9秒をマークし、エンブロイダリーにこそクビ差敗れたものの後続は2馬身以上突き放す文句のない内容だった。
高速馬場の東京は正直未知数な部分もあったが、幸い週末は雨予報。雨を苦にしないのは桜花賞だけでなく、札幌2歳Sでも証明済み。
このレースは1番枠だったこともあって直線は思い切って内を選択。結果外差しのマジックサンズ相手にハナ差の2着。マジックサンズ(NHKマイル2着)、ファイアクランツ(青葉賞2着)、モンドデラモーレ(NHKマイル4着)とその後活躍する牡馬相手に互角以上の内容で評価の高い1戦。
2歳時にG1を勝っているため、今回の出走馬の中でも最も余裕を持ったローテでレースに臨めるのも大きい。
また極端なスローのように流れが落ち着いた場合、相手筆頭のエンブロイダリーがあまり強みが発揮できないだけに逆転の可能性が高まる。
不安点を挙げるなら1枠1番とかなり極端な枠を引いた事。Bコース最終週かつ雨馬場で外差しが有利になった時は上手く内から外に持ち出す必要が出てくる。難しい立ち回りになる可能性も出てきた。
距離適性
デビューから1800m→札幌2歳Sと長い距離を見据えての使い出し。早いうちからオークス向きと陣営が言っていたように折り合い面で心配がなく、むしろ阪神JFではマイルに対応できるかが心配されていたほど。
個人的なイメージとしては2000mあたりがやはりベストに見えるが、気性面や今までの走りから見ると2400mをこなす可能性は非常に高い。
血統面ではハービンジャー産駒が24年チェルヴィニア(1着)、22年ナミュール(3着)、17年モズカッチャン(2着)と相性はよく追い風。
一方で母ラクアミは1400~1600mで3勝した馬で父ダイワメジャーでスピード血統のイメージ。それもあってマイル路線で結果を残せたかもしれないので、今回2400mでどう影響してくるかというところ。




【総評A】リンクスティップ・・・距離不安感じさせず巻き返し狙う
リンクスティップは桜花賞でスタートで外にヨレて隣の馬と接触、最後方からの競馬を余儀なくされた。
残り600mあたりから一気に進出を開始し0.4秒差の3着まで食い込んできた。先行勢が苦しくなる展開かつ雨で外差しの馬場だったとはいえ、持続力のある脚は魅力で「中団でレースができていたなら…」と思わせる内容で当然ここも有力候補。
前々走きさらぎ賞では勝ったサトノシャイニングは別格としても、ランスオブカオスに先着しているのは大きい。また相手関係だけでなく、前半58.7のハイペースを早めに仕掛けてのもので内容も強かった。
不安点は新馬戦、桜花賞とスタートが良くなかった点。出遅れ率が平均より高めのM.デムーロ騎手という事もあって、ある程度は覚悟しておく必要があるかも。長丁場なので多少の遅れなら許容できる。
またストライドが大きく広いコース向きではあるものの、初めての長距離輸送をクリアできるかが課題。体重や当日のテンションなどは確認しておきたい。
距離適性
牝馬にしては珍しくデビューから2戦続けて2000mに出走。レース内容からも2400mでいきなりパフォーマンスを落とすというのは想像しにくい。
父キタサンブラックはイクイノックス、ソールオリエンス、クロワデュノールなどクラシックで活躍した(活躍中)の馬を輩出しており重馬場適性も併せ持つ。今回の舞台は歓迎とみる。




【総評A】パラディレーヌ・・・ローランドバローズに圧勝で別路線組筆頭
別論戦組からは追加登録料200万円を払っての参戦となるパラディレーヌを評価したい。
未勝利戦を4馬身差、つばき賞を3馬身差の圧勝。特につばき賞の2着のローランドバローズは次走若葉Sでジョバンニ相手にタイム差なしの2着と好走しているだけに価値が高い。
前走フラワーCは痛恨の出遅れで2着。前半60.1と落ち着いてしまったし、小回りの中山で後手に回ると流石にきつかった。
不安点としては継続騎乗の騎手を確保できなかった点。デビューからの3戦騎乗した岩田望来騎手は当然アルマヴェローチェを優先、前走起用の川田騎手は丹内騎手に乗り替わり。どういう経緯かは憶測の域を出ないので、この采配がいいように出る事を祈るしかない。
当然ながらトップクラスとの相手になるのでスタートも決める必要がある。
距離適性
ここまで一貫して1800mと中長距離を意識したローテ。未勝利戦語には岩田望来騎手がオークスを口にしていたとのことでこれは心強い。
キズナ産駒はオークスでの24年ライトバック(3着)、21年ハギノピリナ(3着)がなどが好走。トップクラスの種牡馬だけあって、短距離から長距離まで産駒は幅広いので距離適性は慎重に判断する必要がある。
気になるのは母パラダイスガーデンが1200mを4勝するスプリンターだった点。血統面だけで見ると2400mで強くは推しづらい。




【総評B】エリカエクスプレス・・・気性面だけ見ると2400mには流石に不安が残る
前走桜花賞はロケットスタートを切ったことでハナに。
前半46.7後半46.5とフラットなペースで行けたが、2番手以下がしっかりついてきたこともあって楽逃げとはいかず、4コーナーは逆手前で外に張るなどスムーズさも欠いて5着。難しい面が出た。
フェアリーSも前半45.5という早い流れでも行きたがっていたように気性面での不安は残す。
また週末の雨予報も持ち前のスピードが削がれタフな展開になる不安が増す。テンが速いのでそこまで大きな影響はないと思うが、内の誰かが行くのを伺いながらにしても8枠18番もやや極端。
一方でそのフェアリーSはハイペースを先行しながら3馬身突き抜けての勝利。例年1分34秒~35秒台の決着が多い中、レースレコードの1:32.8とスピード能力は相当なもの。
1番人気だった前走と比べて周りのプレッシャーが緩みそうなのはプラス材料。
距離適性
3戦全てマイル戦で前進気勢の強さから2400mには流石に不安は残る。
一方で血統面ではむしろ2400mを後押しする。エピファネイア産駒はクラシック活躍馬もズラリ。オークスでも24年ステレンボッシュ(2着)、20年デアリングタクト(1着)としっかり好走馬もいる。
母エンタイスド(父ガリレオ)自身は2戦0勝だが全兄弟にはカプリ(英セントレジャー、愛ダービー)、タワーオブロンドン(レッドシーターフH、ドバイゴールドC)など中長距離で活躍しているスタミナ血統。
個人的には人気馬の中では今回軽視する事になりそうだが、血統面での怖さは感じるのでオッズが許すなら抑えも視野。
追記:前日人気では思ったより妙味はありそうなので抑えの方向でいきたいと思います。




その他の有力馬
【総評B】レーゼドラマ
今回のメンバーで唯一の2400mの経験馬で、フラワーカップは後続に2馬身半差をつけて勝利している。
持久力を活かすために前目の競馬が予想されるがエリカエクスプレスとの兼ね合いが若干不安。
もしエリカエクスプレス2番手でこの馬が逃げとなるとプレッシャーがきつそうなので、ハナは譲って2~3番手が理想。そういう競馬なら坂井瑠星起用もいいように働きそう。
桜花賞組に一泡吹かすなら展開面とポジション面で有利を取る必要があると思うので、積極策をとるこの馬を抑えるのはアリだと思う。
【総評B】ゴーソーファー
3歳1勝クラス(2000m)では後方から捲り気味に進出してアロヒアリイに競り勝ち。フラワーカップではパラディレーヌにクビ差の3着と健闘。
賞金面での不安もあって開幕週のフローラSの渋々出走という形だったが、上がり勝負で大きく後れを取って16着。
結果的にオークスには出走できるようになったのは救いで、Bコース最終週に雨予報の馬場と運が向いてきた。
パラディレーヌ、レーゼドラマを評価している以上前日13番人気のこの馬も少額ではあるが抑えておきたい。
【総評B】ブラウンラチェット
前走桜花賞では阪神JFで大きく落とした馬体重は前走プラス12キロと無事回復。しかし内容はスタートは出遅れ17番手からの競馬。外から捲っていける位置でもないので最内を狙ってのワンチャンスに賭けるも9着まで。
行きたがった前走を踏まえてのメンコだったが逆に大人しくなり過ぎた感もあった。
今回はメンコを外して、かねてから期待していた距離延長の舞台。
7番人気と微妙に穴人気してしまっているが、ここで改めての変わり身を期待。
【2025オークス】最終レース予想





雨の影響がどれくらいかはまだ予想がつきませんが、排水性の高い東京の馬場を考慮して◎エンブロイダリーを上に。
○▲までの桜花賞上位組を素直に信頼したい。
△エリカエクスプレスは軽視して…と思っていたがオッズを見ると思ったより妙味がありそうで流石に抑える方向でいきたいと思います。
◎エンブロイダリー
〇アルマヴェローチェ
▲リンクスティップ
△パラディレーヌ
△エリカエクスプレス
△レーゼドラマ
△ゴーソーファー
△ブラウンラチェット
展開予想:ミドル



最後まで読んで下さりありがとうございました。