今週は、牝馬クラシック三冠の最終戦「秋華賞」。
京都2000mは、4つのコーナーを使用する内回りコース。単純な能力だけでなく、器用さや立ち回りの巧さも問われる、難解な舞台です。
今年はオークスを制し、前哨戦ローズSも完勝したカムニャック。そして、桜花賞馬エンブロイダリーの2頭が、人気の中心となりそうです。
ここでは「2025年秋華賞」のレース予想をしていきます。

2024年はチェルヴィニアが勝利し、オークス、秋華賞の牝馬2冠を達成。
Hペースもあって勝ちタイムは1:57.1と高速決着となりました。


【2025秋華賞】レースのポイント




まずは「2025年秋華賞」のレースポイントから軽く見てみましょう。
- コーナー4つで内回りのタイトなコース
- 高低差3.1mの坂と直線328.4mの平坦な直線
- 過去10回(阪神開催を除く)で「3枠」が【4-0-1-15】と好調。1、2枠はやや不安が残る
- 過去10回(阪神開催を除く)で7回が前傾ラップ。そのため差しが【9-5-8-62】と決まりやすい。
- 先行馬は多めも、武豊騎手エリカエクスプレスのマイペース逃げも想定



更に詳しいコース傾向を知りたい場合は以下の記事を参考にしてみて下さい。


【2025秋華賞】有力馬ピックアップ


「★4.5」
カムニャック・エンブロイダリー
「★4.0」
パラディレーヌ・セナスタイル
「★3.5」
エリカエクスプレス・テレサ
「★3.0」
ジョスラン・マピュース・ブラウンラチェット
「★2.0」
ケリフレッドアスク
カムニャック
ここまで6戦4勝。敗れたアルテミスS(6着)とエルフィンS(4着)は、調教でのモタれやカイ食いの悪さが響いた絶不調時のもの。1600mという距離も影響した可能性がある。
その後は状態の立て直しを最優先に調整が進められ、迎えたオークスで見事な勝利。ハイレベルと評されていた桜花賞組を下しての戴冠だけに、その価値は一層際立つ。
春に見られた状態面での不安が徐々に解消され、迎えた始動戦・ローズSでは、4コーナーでの不利をものともせず、格の違いを示す横綱相撲の内容だった。
今回の会見からは、ローズS以上とまではいかなくても、状態面では大きな不安はなさそう。
ただ、トビが大きく、広いコースを中心に使われてきただけに、内回りの京都2000mは歓迎とまでは言い難い。
とはいえ、デビュー前には操作性の高さもひと際評価されていた馬。こなせるだけの下地は十分にある。
枠順
枠順はかなり極端な【8枠17番】は流石に多少の割引は必要。コーナ―を4つ回り1コーナーまでの距離が300m程しかないため、序盤に外々を回されるのはできるだけ避けたい。
8枠はここ10年で15年ミッキークイーン(8枠18番)と13年メイショウマンボ(8枠16番)の2頭の勝ち馬がいる。いずれもオークス勝ち馬で能力でカバーできる可能性は十分。
エンブロイダリー
クイーンCでは【12.3 – 10.8 – 11.1 – 11.5 – 11.5 – 11.5 – 11.6 – 11.9】と速いラップを2番手で追走し、ほぼ最後までスピードを維持。1:32.2のレースレコードで、前週の東京新聞杯より0.4秒も速く、非常に優秀なパフォーマンスだった。
桜花賞のラスト3F【11.5 – 11.0 – 11.4】では目を見張る末脚で、2着アルマヴェローチェの追撃をクビ差で振り切った。
一度加速してからのスピード持続力がこの馬最大の強み。
オークスでは力みが酷く9着と2400mの距離は克服できなかった。桜花賞後にモレイラ騎手が「2000mまでなら全く問題ない」と語ったように、今回は適性範囲内の条件で巻き返しが期待される。
ただ、非常にトビが大きいタイプだけに、器用さが求められる京都内回りコースは1つ課題となる。
その辺りのフォローが期待できるのがルメール騎手。並みの騎手なら単純に一段階評価を落とすが、「スタートを決め手いいポジションを取りたい」とも。G1レースでの勝てるポジション取りには信頼が大きいジョッキー。
また、土曜夜の雨量にも注目したい。
桜花賞では雨馬場をこなしたものの1:33.1のスピード決着。思いの他馬場への影響が少なかった。この馬としては雨の影響が残らない良馬場が理想。
アルマヴェローチェを物差しにすれば、能力はトップレベルであることは揺るがないが、コース適性面では若干不安を残す。
枠順
枠順は中程の【6枠11番】。この馬は内外よりも先入れとなる奇数番が若干不安要素。
サフラン賞は出遅れで断然人気を裏切っており、スタンド前発走でもあるので、あまり待たされてイライラしたくはないかも。
パラディレーヌ
個人的にも期待していたローズSだったが、不安視されていた出遅れに加え、直線で壁になる苦しい競馬で8着。
「(壁が)空いてからも脚を使えなかったです」とのコメントがレース後出ていたが、56.8のハイペースの中、出遅れからのリカバリーで脚を使っているので致し方なし。
未勝利戦を4馬身差、つばき賞を3馬身差で快勝。特につばき賞で下したローランドバローズは、次走の若葉Sでジョバンニとタイム差なしの2着。その後もローランドバローズは自己条件を順調に連勝しており、戦績の裏付けも十分。
オークスも0.3秒差の4着。正攻法の競馬でG1で上位争いに食い込めることは証明済み。
京都芝2000mで成績抜群のキズナ産駒で、京都内回りコースでの浮上が期待できる1頭。
ただ、スタートの不安は依然解消されないまま。京都内回りでの出遅れは、さすがにG1では致命的になる。
素質は高く、楽しみな存在ではあるが、クリアすべき課題も多い。
枠順
枠順は大外枠の【8枠18番】。流石にポジティブには捉えにくいが、隣のカムニャックの動きを見ながら競馬ができる点は悪くないし、鞍上が開き直ってじっくり乗ってくれれば。
セナスタイル
母はオークス馬ヌーヴォレコルト、父は凱旋門賞馬ソットッサスという良血馬。
キャリアはわずか2戦2勝ながら、前走のローズSでは重賞初挑戦とは思えぬ好内容を見せた。
前半56.8秒という速い流れの中、後方3番手でじっくり脚を溜めると、直線ではインコースから鋭く伸びてきた。進路を探しながらの追い出しとなったが、最後までしっかり脚を使っての3着。上がり34.0秒はメンバー中最速だった。
これまでのレースぶりからも、脚質は後方一辺倒ではなく、展開に応じて中団からの競馬も可能。鞍上の岩田康誠騎手も、京都芝2000mに合ったポジション取りを意識してくるだろう。
キャリア3戦目でのG1初挑戦、展開が前走ほど向くかどうかなど不安要素もあるが、それを補って余りある血統背景とポテンシャルに期待が高まる。
母ヌーヴォレコルトは秋華賞はクビ差の2着(勝ち馬はショウナンパンドラ)。娘が母の雪辱を晴らせるかにも注目。
枠順
枠順は外目の【7枠13番】。脚をしっかり溜めたいタイプだけに、この馬的にはさほど影響はなさそう。
内枠なら前走のように前が壁になる可能性が高まるのでかえって良かったかも。
エリカエクスプレス
桜花賞時点では1番人気に推され、同世代の中でも特に注目されていた1頭。
評価されるきっかけとなったのはフェアリーS。前半45.5後半47.3というハイペースのレースを先行しながら、最後は3馬身突き抜けての勝利。例年1分34秒~35秒台の決着が多い中、レースレコードの1:32.8は能力を感じさせた。
桜花賞では好スタートから逃げるも、4コーナーで外に膨らむ若さも見せて5着。オークスでは距離も考慮したマイペース逃げを遂行するも10着と距離の壁に跳ね返された。
適性を考えて秋華賞トライアルではなく京成杯AHに出走も11着とまだ期待に応えれていない現状。
今回は心機一転で武豊騎手を配しての勝負の1戦。ジャックドールやメイショウタバルなど、馬が最大限力を発揮できるペース配分に長けている騎手。秋のスプリンターズSのジューンブレア2着も記憶に新しい。
京成杯AHを見る限り、現状は古馬とマイルでガッツリスピード勝負をするより、同世代と1800m~2000mでスピードの持続力勝負はいい選択かもしれない。
差し馬が強い傾向にある秋華賞というのがどうかだが、自分のペースで運べればチャンスが出てくるかも。
枠順
枠順は中程の【5枠10番】。過去10年では不振の5枠だが、偶数枠で3枠ケリフレッドアスクの動向を見ながらのスタートが期待できる。この枠が悪い風に出るというのは考えにくい。
テレサ
新馬戦ではアドマイヤズームを、2勝クラスではミッキーゴールドを逃げて退けるなど、その実力は折り紙付き。
新馬戦まで遡ると流石にそこまで信用できないが、実際に初のG2挑戦のローズSでは、5番手からしぶとく脚を伸ばして2着。初めて控える競馬を成功させて自在性が増したのも大きい。
パラディレーヌやセナスタイルなど前が壁になって実力を出し切れなかった馬も多く、1着のカムニャックには完敗ではあるが、ここまで食い込んできた実力は素直に評価したい。
枠順
枠順は中程の【4枠8番】。周りの出方を伺いながら先行できそうなので文句なし。
その他の有力馬
ジョスラン:3.0【★★★☆☆】
紫苑Sでは前残りの展開の中、5番手の外から進出してクビ差の2着。
逃げたケリフレッドアスクに上手くペースコントロールされてのもので、逆転は十分可能。
ただ、2枠3番は一見良さそうにも見えるが、包まれてしまった時に怖い枠順。
マピュース:3.0【★★★☆☆】
ハイレベルのクイーンCで2着で、Hペースを早めに仕掛けながらエンブロイダリーの2着。1:32.6という走破タイムも立派。
中京記念は前46.9後45.4のSペースを2番手から進めて見事勝利。52キロの斤量も活きた。
差しもいけるが瞬発力勝負よりはスピードの持続力を活かしたいタイプ。
エリカエクスプレスが淀みない流れを作ってくれれば良さが活きそう。
ブラウンラチェット:3.0【★★★☆☆】
阪神JFでは1番人気に推された程の本馬。このレースはマイナス12キロや今までに見せない力みなども見せて12着の大敗。
その後は体重を戻したものの桜花賞は大きく出遅れて9着、オークスは窮屈な立ち回りを強いられながら7着。
上位争いに加わってくるほどの勢いこそ感じないが、もう少し上の着順を狙えてもいい馬。
京都2000mで成績抜群のキズナ産駒というのも心強い。
3枠5番と良枠で操縦性もいいので、上手く立ち回って瞬発力を活かせれば。
ケリフレッドアスク:2.0【★★☆☆☆】
オークスは2番手からのそつのない競馬で1.0秒差の8着。この時点は444キロとまだまだ小柄だったが、ひと夏を超えて紫苑Sで456キロまで体を増やすことに成功。
その甲斐あってか立ち回りの上手さも見せて見事1着。スローで逃げれた事も大きいがここにきてのG2勝利は誇ってよい。後は上位陣とどれくらい差が詰まっているか。
折り合いの不安は全くないとの事なので、エリカエクスプレスを先導役として、武豊騎手のペースを上手く追走出来れば。
【2025秋華賞】レース予想





春の不安が解消した◎カムニャックが大外枠でも安定感で一歩リード。
能力面では〇エンブロイダリーも劣らないが、コース適正にはやや不安も…
▲パラディレーヌ、△セナスタイルの順番は難しいが、オッズ妙味で▲を上にとりました。
◎カムニャック
〇エンブロイダリー
▲パラディレーヌ
△セナスタイル
△エリカエクスプレス
△テレサ
×ジョスラン
×マピュース
×ブラウンラチェット
×ケリフレッドアスク
想定ペース:ミドル



最後まで読んで下さりありがとうございました。