【ケンタッキーダービー2025】コースの特徴や傾向をわかりやすく解説【チャーチルダウンズ競馬場】

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チャーチルダウンズ競馬場の特徴や傾向を紹介

チャーチルダウンズ競馬場はアメリカ三冠の初戦ケンタッキーダービーが行われることで有名な競馬場です。

24年にはフォーエバーヤングが大接戦の末3着と優勝争いに加わるなど大きな話題になりました。

ダートの本場だけあって芝が主流の日本馬が挑戦する事は稀だったのですが、日本国内のレースだけで出走権を得ることが可能になったこともあり、日本の3歳ダート馬が目指すビッグレースになりつつあります。

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今回はケンタッキーダービーが行われる「チャーチルダウンズ競馬場のコースの特徴や傾向」を詳しく紹介していきます。

目次

「スポーツの中で最も偉大な2分間」

アメリカダート

ケンタッキーダービーはアメリカクラシック三冠の1冠目としてケンタッキー州のチャーチルダウンズ競馬場で行われるレースです。

ケンタッキーダービーはアメリカでは「スポーツの中で最も偉大な2分間」と呼ばれ、競馬の枠を超えて注目される1大スポーツイベントです。

出走馬の本場馬入場の際にはミント・ジュレップを飲み、マーチングバンドの演奏の元「ケンタッキーの我が家」を観客全員で歌うのが習わし。また優勝馬にはバラのレイをかけられることから別名「ランランフォザローゼス(Run for the Roses)」の通称で呼ばれています。

創設は1875年と150年近い歴史のあるレース。日本ダービーの創設が1932年ですからその歴史の長さがわかります。

アメリカクラシック三冠とは

アメリカクラシック三冠は以下の3つの3歳限定のG1レースを指します。

アメリカクラシック3冠
  • ケンタッキーダービー チャーチルダウンズ競馬場 2000m
  • プリークネスステークス ピムリコ競馬場 1900m
  • ベルモントステークス ベルモントパーク競馬場 2400m

5月1週目のケンタッキーダービーに始まり、2週間後にプリークネスS、3週間後にベルモントSと約1ヶ月で3戦が行われる非常に過酷なローテとなっている。

日本馬も参戦しやすくなった「ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー

ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー

ケンタッキーダービーに出走するにはロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービーと呼ばれるポイント制シリーズの対象レース(全47R)に参加し、ポイントを獲得しなければなりません。これは2013年から導入された制度です。

ケンタッキーダービーの出走枠は20頭で、対象レースの獲得したポイント上位順に出走権が与えられます。

この制度が導入されるまでは獲得賞金順だったため1995年のスキーキャプテンがフルゲート割れで参戦したのみでした。

日本馬にとって大きな契機となったのは2016年のラニの参戦です。

対象レースであるUAEダービーを勝利してアメリカ3冠レース全てに出走。これを受けて2017年日本馬に向けたケンタッキーダービー出走馬選定ポイントシリーズとして「ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービーとして新たに設けられました。

対象レース開催国/競馬場距離ポイント
(1着-2着-3着-4着-5着)
カトレアS
(OP)
日本/東京ダ1600m10-5-3-2-1
全日本2歳優駿
(JpnI)
日本/川崎ダ1600m20-10-6-4-2
ヒヤシンスS
(L)
日本/東京ダ1600m30-15-9-6-3
伏竜S
(OP)
日本/中山ダ1800m40-20-12-8-4
「ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー」の対象レース

さらに翌年2018年には「欧州のロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー」も設立。また2025年にはこれまでアメリカの対象レースだったUAEダービーが欧州枠に移動。「欧州/中東・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー」として改められました。

対象レース開催国/競馬場距離ポイント
(1着-2着-3着-4着-5着)
ベレスフォードS
(G2)
アイルランド/カラ芝1600m10-5-3-2-1
ロイヤルロッジS
(G2)
イギリス/ニューマーケット芝1600m10-5-3-2-1
ジャンリュックラガルデール賞
(G1)
フランス/パリロンシャン芝1400m10-5-3-2-1
フューチュリティトロフィー
(G1)
イギリス/ドンカスター芝1600m10-5-3-2-1
ロードトゥザダービーコンディションスS
(L)
イギリス/ケンプトンパークAW1600m20-10-6-4-2
パットンS(L)アイルランド/ダンダークAW1600m20-10-6-4-2
UAEダービー(G2)UAE/メイダンダ1900m100-50-25-15-10
「欧州/中東・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー」の対象レース

現在は日本枠・欧州枠のポイント最上位馬は、それぞれ優先的に出走権を獲得する事ができるようになっています。

UAEダービーは1着で100ポイントも付与されます。つまりUAEダービーを勝てば事実上「欧州/中東枠」最上位枠としてケンタッキーダービーに出走する事ができます。

過去の傾向から最低でも40~50ポイントが出走ラインの目安となります。年によってはボーダーラインが上昇することもあるので、アメリカの対象レースでポイントを稼ぐより、日本の対象レースやUAEダービーを狙う形が日本馬の主流となっています。

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25年で言えば伏竜Sを勝ったルクソールカフェは「日本枠1位」、UAEダービーを勝ったアドマイヤデイトナは「欧州/中東枠1位」で出走権を得た形になりますね。

ケンタッキーダービー歴代日本馬成績まとめ

以下はケンタッキーダービーに挑戦した歴代日本馬の成績になります。

まだまだ日本馬の挑戦は少ないですが、ここ最近は22年23年24年と3年連続の出走でアメリカ遠征が過熱しつつあります。

馬名着順騎手勝ち馬
95年スキーキャプテン14着武豊サンダーガルチ
16年ラニ9着武豊ナイキスト
19年マスターフェンサー6着j.ルパルーカントリーハウス
22年クラウンプライド13着C.ルメールリッチストライク
23年デルマソトガケ6着C.ルメールメイジ
マンダリンヒーロー12着木村和士
コンティノアール出走取消坂井瑠星
24年フォーエバーヤング3着坂井瑠星ミスティックダン
テーオーパスワード4着木村和士
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日本調教馬として初めて挑戦したのは95年のスキーキャプテン。
管理していた森秀行調教師と騎乗した武豊騎手は、後の98年にシーキングザパールで日本調教馬初の海外G1制覇(モーリス・ド・ゲスト賞)を達成する事になります。

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ラニのアメリカ三冠の成績はケンタッキーダービー(9着)→プリークネスS(5着)→ベルモントS(3着)。
激しすぎる気性からアメリカでは「Godzilla(ゴジラ)」の異名でも呼ばれていました。

チャーチルダウンズ競馬場の特徴

チャーチルダウンズ ダート2000m
コース形態

直線の長さは376mでアメリカの競馬場の中では比較的長め

チャーチルダウンズ競馬場は楕円形左回りの平坦コースです。2コーナーの奥に長いポケットがあるのが特徴的な競馬場です。

また日本と違いダートが主流のアメリカでは、「ダートコースが外側に、芝コースが内側」に配置されており、チャーチルダウンズ競馬場でもこの配置になっています。

メイントラックであるダートの1周距離は約1600mで、これは東京のダートコースよりやや小さく、京都のダートコースとほぼ同じ大きさになります。ちなみに内側の芝コースは1周1400mです。

直線の長さは376mで東京ダートの直線501.6mと比較すると流石に短めだが、小回りコースの多いアメリカの競馬場の中では比較的長めの直線になります。

シルト(泥)や粘土を含んだ馬場でスピード能力が問われる舞台

アメリカのダートは砂の他に比率は大きくないがシルト(泥)や粘土を含んでいます。

このため砂100%の日本のダートとは違い、スピード能力が問われる舞台です。また小回り平坦コースでのレースが多いアメリカ競馬では、ハイペースで前に行って押し切るといった戦法が主流なのもスピードが要求される要因となっています。

2000mのケンタッキーダービーでは2分1秒~2秒台での決着が多くなっています。

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ちなみにケンタッキーダービーのレースレコードはアメリカの伝説的3冠馬セクレタリアトが1973年に記録した1:59.4で未だに破られていません。

ケンタッキーダービーの特徴と傾向

ここではケンタッキーダービーが行われる「ダート2000m」のコースの特徴を紹介します。

チャーチルダウンズ ダート2000m

G1 ダート2000m 3歳限定 総賞金額300万ドル

ケンタッキーダービーはダートの2000mで行われます。

スタンド前の直線入り口あたりからのスタートになります。アメリカの一大スポーツイベントだけあってスタンドには大勢の人が詰めかけます。繊細な気性の馬にとってはスタートに影響する可能性もあるので注意が必要。

1コーナーまでは約450mとかなり長めで余裕があるとはいえ、出走可能頭数は20頭立てとかなりごちゃつきやすい。

粘土質で重みのある砂はキックバック(砂の跳ね返り)がきつく、できれば前目につけたいがペースとの兼ね合いもあるので各ジョッキーは難しい判断を迫られます。

最後の直線は約376mとアメリカにしては長めだが、4角で先頭集団にいる馬がそのまま押し切るケースが多くなっています。

ケンタッキーダービーのジンクス「死の17番枠」

ケンタッキーダービーのデータの中で特に有名なのが「死の17番枠」です。

17番枠は150年近い歴史の中で唯一勝ち馬が出ていない枠(ゲートが採用された1930年以降)です。

これは単なるジンクスなのかそれともたまたまなのか少し過去のデータを見てみましょう。以下はゲートが採用された1930年以降の枠順別の成績です。

枠順勝利数
18勝
27勝
36勝
45勝
510勝
62勝
78勝
89勝
94勝
109勝
112勝
123勝
135勝
142勝
156勝
164勝
170勝
182勝
191勝
202勝
1930年以降の枠順別成績

枠順を内と外で大きく分けると…

  • 1番枠~10番枠「68勝」
  • 10番枠~20番枠「27勝」

となり内枠が優勢の傾向にあります。

外すぎる枠は全体的に不利な傾向にあり「17番枠」も外すぎる枠だからこその結果であると考えられますちなみに現在はフルゲートが20頭のため除外されていますが、21番~23番枠も勝ち馬は出ていませんでした。

一方で多頭数のため包まれやすい1枠や2枠といった極端な内枠を嫌う陣営も少なくありません。ゲートで待たされることも理由の一つで、陣営がその枠についてどう捉えているかにも注目です。

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25年日本から参戦するアドマイヤデイトナは6番枠、ルクソールカフェは7番枠となりました。
真ん中よりやや内あたりの申し分ない枠になったのではないでしょうか。


2025年ケンタッキーダービーの主な出走予定馬

ここでは2025年にケンタッキーダービーに出走する主な有力馬を紹介します。予想はもちろんレースを見る上でも知っておくとより楽しめること間違いなしです。

2025ケンタッキーダービーの日本出走予定馬

アドマイヤデイトナ 牡3 C.ルメール騎手 加藤征弘厩舎
ルクソールカフェ 牡3 J.モレイラ騎手 堀宣行厩舎 

アメリカの有力馬は随時更新予定です。

ルクソールカフェ

日本国旗

牡3 6戦4勝
レーティング:112
J.モレイラ騎手 堀宣行厩舎 
主な戦績:
25年伏竜S(OP) 1着
25年ヒヤシンスS(L) 1着

ルクソールカフェはデビュー戦と連闘で挑んだ未勝利戦こそ敗れたものの、その後は4連勝。

「ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー」のヒヤシンスS、伏竜Sを連勝して胸を張ってケンタッキーダービーに挑戦する。

2度下したアドマイヤデイトナはその後UAEダービーを制覇したことを考えると、この馬も世界と渡り合えるだけのポテンシャルは十分持っている。

ルクソールカフェの父はアメリカ3冠馬アメリカンファラオ、母メアリズフォリーズは米国の芝の重賞を2勝しているババリバリの米国血統。全兄カフェファラオもフェブラリーSを連覇するなど記憶に新しい。

日本馬初のケンタッキーダービー制覇がかかるのはもちろん、アメリカンファラオとの父子制覇の記録もかかる。

今シーズン勢い止まらないモレイラ騎手というのも心強い。

アドマイヤデイトナ

日本国旗

牡3 6戦2勝
レーティング:111
C.ルメール騎手 加藤征弘厩舎
主な戦績:
25年UAEダービー(G2) 1着

ヒヤシンスSは出遅れが響いて最後追い上げるも4着。このレース1着だったルクソールカフェは次走伏竜ステークスを5馬身差の圧勝とレベルも高かった。

UAEダービーではしっかりスタートを決めてそのままハナに。1人気だったイギリスのハートオブオナーとヒヤシンスS3着のドンインザムードの追撃を振り切っての勝利。

2歳未勝利ではルクソールカフェと激しい叩き合いでハナ差2着に敗れたものの、2頭がマークした1:35.8は東京ダート1600mの2歳レコード。

ここはケンタッキーダービー制覇はもちろん、ライバルにリベンジする機会も同時に巡ってきた。スタートさえしっかり決めれば逆転してもおかしくないポテンシャルは持っている。

C.ルメール騎手も引く手数多の天皇賞春ではなく、今年はこちらで快挙に挑む。

ジャーナリズム

アメリカ国旗

牡3 5戦4勝
レーティング:117
U.リスポリ騎手 M.マッカーシー厩舎
主な戦績:
25年サンタアニタダービー(G1) 1着
25年サンフェリペS(G2) 1着
24年ロスアラミトスフューチュリティ(G2) 1着

1番人気が予想されるのはジャーナリズムは2歳のデビュー戦(ダ1200m)こそ3着に敗れたものの、その後4連勝。

この馬の評価を決定づけたのは前走サンタアニタダービー(G1)。

前走サンフェリペSで圧倒的1番人気に支持されたバーンズ(2着)との再戦に加え、G1競走2勝の最優秀2歳牡馬シチズンブルも参戦し5頭立てながらもケンタッキーダービーを占う重要な1戦となった。

レースはシチズンブルがハナに立ち、それを人気薄の1勝馬バエザがマークする形での進み、直線では先にシチズンブルが脱落。この動きを見ていたジャーナリズムがバエザを差し切って3/4馬身差での勝利となった。

陣営も自在性とスピード能力を高く評価しており信頼は厚く、枠順も8番枠と絶好枠を引いて抜かりない。

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騎乗するU.リスポリ騎手はキンシャサノキセキで高松宮記念やルーラーシップでクイーンエリザベスCを勝利するなど日本でも馴染みのある騎手。
現在はアメリカに拠点を移し活躍しています。

ソヴリンティ

アメリカ国旗

牡3 5戦2勝
レーティング:112
J.アルバラード騎手 W.モット厩舎
主な戦績:
25年ファウンテンオブユースS(G2) 1着
25年フロリダダービー(G1) 2着
24年ストリートセンスS(G3) 1着

アメリカの競馬専門誌『ブラッドホース』が発表したケンタッキーダービーの最有力候補が、ゴドルフィンUSAが所有するソヴリンティ。

2走前のファウンテンオブユースS(G2)では2番手から抜け出しを図ったリバーテムズを最後方からクビ差差し切って勝利。

続く前走フロリダダービー(G1)は先に抜け出した2番人気タッパンストリートを捉えきれず2着となった。

リバーテムズはその後ブルーグラスS(G1)を僅差の3着とし、プリークネスSに照準を合わせて今回は出走回避。前走破れたタッパンストリートも故障のため回避と、接戦を演じてきたライバルが不在。

チャーチルダウンズ競馬場もストリートセンスS(G3)で経験済みなのも頼もしい。

サンドマン

アメリカ国旗

牡3 8戦3勝
レーティング:111
J.オルティス騎手 M.キャシー 厩舎
主な戦績:
25年アーカンソーダービー(G1) 1着
25年サウスウェストステークス(G2) 2着
25年レベルステークス(G3) 3着

サンドマンはここまで8戦と経験豊富な芦毛馬。

2歳のストリートセンスステークス(G3)では後方から脚を伸ばすも、今回有力馬の1頭であるソヴリンティに大きく離されての3着。

その後はサウスウェストステークス(G2)2着→レベルステークス(G3)3着といずれも直線でしぶとく前を追い詰める渋いレース。

さらに前走はケンタッキーダービーの重要な前哨戦となるアーカンソーダービー(G1)でハイペースを早めに抜け出し、直線ヨレながらも2馬身1/2差勝利。G1での初重賞制覇となった。

派手さはないがここまで順調な成長曲線を描いているは好感が持てる。

父タピットは米国最強馬フライトラインの父としても有名。日本でもテスタマッタやラニなどコンスタントに活躍馬を出している。

今回長い歴史の中で勝ち馬がいない「死の17番枠」に入ってしまったのは不安要素ではあるが、このジンクスを打ち破ることができるかにも注目が集まる。

まとめ

今回はケンタッキーダービーが開催されるチャーチルダウンズ競馬場のコースの特徴や傾向について紹介しました。

芝がメインの日本競馬においてアメリカのダートレースは以前までは高すぎる目標でした。それがマルシュロレーヌのBCディスタフ制覇、ウシュバテソーロのドバイWC制覇など日本馬の世界的なダートの活躍により風向きが変わりつつあります。

そして24年ケンタッキーダービーに挑戦したフォーエバーヤングはハナ差ハナ差の3着。歴史的快挙にあと一歩というところまで迫りました。

150年近い歴史のあるケンタッキーダービーの勝ち馬に日本馬の名前が刻まれる日もそう遠くないかもしれませんね。

Keibit

25年ケンタッキーダービーは日本時間の5月4日(日曜)7時57分発走予定となっています。
アドマイヤデイトナ、ルクソールカフェの勇姿を目に焼き付けましょう!


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