今週は3歳牡馬クラシック第1弾「皐月賞」です。
力関係が定まらない中で一気に有力馬がぶつかることになるため、馬券的に非常に面白くなるのが皐月賞の特徴です。今年も牝馬のレガレイラを筆頭に朝日杯馬ジャンタルマンタルや底が見えないジャスティンミラノなどあげればキリがない好メンバーが揃いました。
ここでは2024年の皐月賞のレース予想をしていきます。
去年は重馬場の中、ソールオリエンスがメンバー唯一35秒台の末脚を発揮して勝利。大きなインパクトを与えたレースになりました。
皐月賞のコース形態
皐月賞は内回りコースを使用します。小回りで4つのコーナーを回る事から、器用さの求められるコースとなっています。
スタートは直線入り口からで最初のコーナーまで約400mと長め。そのため延々外を回される場合を除けば、外枠の不利はそこまでありません。
しかし、中山の直線には急坂(高低差2.2m、最大勾配2.24%)があり、これを上りながらのポジション争いとなるので消耗が激しくなります。
最後の直線は310mという短いですが、このコース二度目となる急坂が最後の最後に待っています。
スピード能力が求められやすい日本の競馬場ですが、中山では比較的パワーやスタミナが求められやすいコースとなります。
向こう正面から直線までは平坦なため、4コーナーまでに先に位置を押し上げて行く馬もいたりとスパートのタイミングなどの駆け引きも見所。
さらに詳しいコース解説については以下の記事も参考にしてみてください。
皐月賞過去10年のデータと傾向
以下は中山芝2000mで行われる皐月賞の過去10年の1~3着馬の人気と前走の着順です。ここから傾向を探っていきます。
年 | 着順 | 枠 | 馬名 | 前走 | 前走着順 |
---|---|---|---|---|---|
23年 | 1着 | 1 | ソールオリエンス | 京成杯 | 1着 |
2着 | 14 | タスティエーラ | 弥生賞 | 1着 | |
3着 | 7 | ファントムシーフ | 共同通信杯 | 1着 | |
22年 | 1着 | 14 | ジオグリフ | 共同通信杯 | 2着 |
2着 | 18 | イクイノックス | 東スポ2歳 | 1着 | |
3着 | 12 | ドゥデュース | 弥生賞 | 2着 | |
21年 | 1着 | 7 | エフフォーリア | 共同通信杯 | 1着 |
2着 | 13 | タイトルホルダー | 弥生賞 | 1着 | |
3着 | 3 | ステラヴェローチェ | 共同通信杯 | 5着 | |
20年 | 1着 | 1 | コントレイル | ホープフルS | 1着 |
2着 | 7 | サリオス | 朝日杯FS | 1着 | |
3着 | 16 | ガロアクリーク | スプリングS | 1着 | |
19年 | 1着 | 12 | サートゥルナーリア | ホープフルS | 1着 |
2着 | 7 | ヴェロックス | 若葉S | 1着 | |
3着 | 4 | ダノンキングリー | 共同通信杯 | 1着 | |
18年 | 1着 | 7 | エポカドーロ | スプリングS | 2着 |
2着 | 14 | サンリヴァル | 弥生賞 | 4着 | |
3着 | 10 | ジェネラーレウーノ | 京成杯 | 1着 | |
17年 | 1着 | 11 | アルアイン | 毎日杯 | 1着 |
2着 | 7 | ペルシアンナイト | アーリントンC | 1着 | |
3着 | 10 | ダンビュライト | 弥生賞 | 3着 | |
16年 | 1着 | 18 | ディーマジェスティ | 共同通信杯 | 1着 |
2着 | 3 | マカヒキ | 弥生賞 | 1着 | |
3着 | 11 | サトノダイヤモンド | きさらぎ賞 | 1着 | |
15年 | 1着 | 2 | ドゥラメンテ | 共同通信杯 | 2着 |
2着 | 5 | リアルスティール | スプリングS | 2着 | |
3着 | 7 | キタサンブラック | スプリングS | 1着 | |
14年 | 1着 | 2 | イスラボニータ | 共同通信杯 | 1着 |
2着 | 17 | トゥザワールド | 弥生賞 | 1着 | |
3着 | 18 | ウインフルブルーム | 若葉S | 2着 |
共同通信杯組が過去10年で5勝と圧倒的!
レース | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
共同通信杯 | 5-0-3-11 | 26.32% | 26.32% | 42.11% |
ホープフルS | 2-0-0-2 | 50.00% | 50.00% | 50.00% |
スプリングS | 1-1-2-33 | 2.70% | 5.41% | 10.81% |
京成杯 | 1-0-1-4 | 16.67% | 16.67% | 33.33% |
毎日杯 | 1-0-0-6 | 14.29% | 14.29% | 14.29% |
弥生賞 | 0-5-2-33 | 0.00% | 12.50% | 17.50% |
若葉S | 0-1-1-17 | 0.00% | 5.26% | 10.53% |
朝日杯FS | 0-1-0-2 | 0.00% | 33.33% | 33.33% |
東京スポーツ杯2歳S | 0-1-0-1 | 0.00% | 50.00% | 50.00% |
きさらぎ賞 | 0-0-1-7 | 0.00% | 0.00% | 14.29% |
皐月賞に向かうローテは数多くあるが、中でも圧倒的な成績なのが共同通信杯組。過去10年で【5-0-3-11】と勝ち馬の半数は共同通信杯組という事になる。
数は少ないがホープフルS組も【2-0-0-2】で単独2位の2勝を挙げている。
皐月賞と同条件の弥生賞組は意外と不振で【0-5-2-33】。2着こそ多く堅実だが勝ち馬が0頭というのは気になるところ。
前走1、2着馬がほとんどで巻き返しはかなり苦しい
- 前走1着馬【7-8-6】
- 前走2着馬【3-1-2】
- 前走3着以下【0-1-2】
そもそも好成績を残さないと出走できないレースではあるが、前走1着馬2着馬が順当に馬券内に来るレース。
前走3着以下が馬券になったのは過去10年の内以下のたったの3頭で3/30という結果。
- 21年ステラヴェローチェ3着【共同通信杯:5着】
- 18年サンリヴァル2着【弥生賞:4着】
- 17年ダンビュライト3着【弥生賞:3着】
巻き返しはかなり苦しいレースと見るのが良さそう。
24年皐月賞で前走3着以下だった馬
- エコロヴァルツ【共同通信杯:5着】
- シリウスコルト【弥生賞:3着】
- ルカランフィースト【スプリングS:3着】
- ウォーターリヒト【スプリングS:9着】
内外で大きな差はないが4枠7番に好成績が集中で要注目
成績 | 勝率 | 連対率 | 3着以率 | |
1枠 | 3-0-0-16 | 15.79% | 15.79% | 15.79% |
2枠 | 1-1-2-16 | 5.00% | 10.00% | 20.00% |
3枠 | 0-1-0-19 | 0.00% | 5.00% | 5.00% |
4枠 | 2-3-2-13 | 10.00% | 25.00% | 35.00% |
5枠 | 0-0-2-18 | 0.00% | 0.00% | 10.00% |
6枠 | 2-0-2-16 | 10.00% | 10.00% | 20.00% |
7枠 | 1-3-0-23 | 3.70% | 14.81% | 14.81% |
8枠 | 1-2-2-22 | 3.70% | 11.11% | 18.52% |
皐月賞の過去10年の枠順成績を見ると、基本的に内外関係なく勝ち馬が出ておりフラットな結果となっている。大きく分けると1枠~4枠【6-5-4-64】、5枠~8枠【4-5-6-79】で内枠がやや優勢。
ただし去年の重の皐月賞など外差しの馬場になることも多く、各馬の脚質にあった枠順が求められる。前日からの馬場状態と傾向には要注目。
そんな中でも目立つのが4枠7番で【2-3-2-3】という抜群の成績を残している。ピンポイントすぎてそこまで信憑性のあるデータではないが、競馬はしやすい枠ではあるので、狙っている馬がこの枠に入ればラッキーくらいの気持ちでいたい。
24年皐月賞で4枠の馬
- 4枠7番 ルカランフィースト
- 4枠8番 ジャンタルマンタル
有力馬ピックアップ
◎レガレイラ
レガレイラは牝馬ながらに1800→1800→2000と牡馬クラシックを見据えたローテが好印象。
新馬戦は楽に逃げたセットアップを次元の違う脚で差し切った。この時の上がり34.3は強烈で2位との上がりの差は0.8秒差もあった。
2戦目アイビーSは東京1800mで前半63.1という超スローペースの3番手追走で3着。逃げたホウオウプロサンゲが33.2とポジションで結果が決まってしまうレースで、32.7と限界近い脚を使っても厳しかった。
牝馬初のホープフルS制覇となった前走も相当なインパクト。4コーナーでかなりの馬が外に振られ、後方からとなったこの馬には苦しい展開。直線までは無理に外から抜こうとしないでスペースを探す我慢の競馬。
それで前目で器用に立ち回ったシンエンペラーを一気に抜き去るのだから大したもの。3戦全てで上がり1位とこの世代トップレベルの決め手を持っている。
一方スタートは依然として課題で、騎手の乗り替わりもプラスには働かない。ホープフルSはあの時期としてはスピード馬場だったので、タフ寄りの馬場になった時はまだ未知数と不安点はいくつかある。
とはいえホープフルS組がその後他のレースに多く出てくれたのである程度実力も図りやすい。オッズとの兼ね合いにもなるが、ルメール騎手が早くからこの馬で皐月賞に出ると決めていた馬。現時点で実力上位は間違いない。
〇ジャンタルマンタル
この馬も2歳戦でしっかり賞金を加算できたため余裕のあるローテで挑むことができるのがまずプラス。
共同通信杯はデイリー杯→朝日杯FSと続けてマイル戦を使った直後という事もあるが、前半62.7というペースで流石にかかり気味だった。
このかかり気味もあって2000mの距離が不安視されているが、臨戦過程から見てもかからなければ逆に不安まであったし、結果的に先々を見据えたレースは出来たのではないかと思っている。
父Palace Maliceは天皇賞春を勝ったジャスティンパレスやステイヤーズSを勝ったアイアンバローズ、母インディアマントゥアナも芝2200mの重賞勝ちなどもあり2000mという距離に血統的な不安もない。
好位から抜け出す安定感のあるレースぶりは小回りの中山でも活かすことができるし、今回も4枠8番と立ち回りやすい枠に入った。
スケール感の大きさでは他の上位人気馬には劣るかもだが現時点の完成度の高さを評価する。
▲メイショウタバル
社台系列ではない事、勝ち上がりまで3戦を要した事、つばき賞が接戦だった事、など様々な理由であまり人気にはなってこなかった本馬。
しかしそんな評価を大きく覆したのが前走の毎日杯のパフォーマンス。重馬場の中かかり気味に逃げて前半59.6。これは厳しいかもと思わせたが、結果は2着ノーブルロジャーを6馬身引き離す圧勝劇だった。
勝ちタイム1:46.0は過去10年の毎日杯と比較しても、当時日本レコードタイだったシャフリヤール1:43.9に次ぐ2番目の好時計。このタイムを重馬場で出したことで競馬ファンを大きくざわつかせた。
馬場適性の差が出やすい重馬場のレースはしばしば着差がつきがち。内1頭分の馬場はむしろ良好だったというコメントを見ると、過信が禁物なのは事実。
ただしこの馬に関しては簡単に片づけられない怖さがある。
そもそも前々走のつばき賞は着差のせいであまり目立っていないが、普通にラップも優秀でラスト4Fが 11.4 – 11.1 – 11.1 – 11.8と息の長い脚を使っている。
前に行きたい馬は何頭かいるが、早いペースで逃げたい馬というのは見当たらず、1枠2番を引いて前目でレースをするのは難しくなさそう。途中からペースを上げて持続力を活かす得意の形に持ち込める可能性は高い。
今年は前哨戦がスローの瞬発力戦が多かっただけに、自分の競馬であっと言わせる可能性は十分ある。
一方でレース直前に除外になった若駒Sを入れるとほぼ毎月レースを走っており、毎日杯から中2週となるタフなローテは決してプラスとは言えずここは明確なマイナス点。
△シンエンペラー
2戦2勝2着2回と抜群の安定感でこの世代の実力を測る物差しにもなっている存在。
シンエンペラーの全兄ソットサスは凱旋門賞など仏G1を3勝しているようにバリバリの欧州血統。血統で見るとどうしてもタフ馬場でこそのイメージだが日本の馬場にも適性を見せている。
同条件のホープフルでは上手く内の3番手をスッと取れていて他馬より立ち回りの面で優れていた。若干前が苦しい流れでもあったし早々に抜け出して、ソラを使ったこともあって、よりキレ味のある馬に差し切られてしまった。
弥生賞はスローとみるや素早く押し上げていったコスモキュランダに上手く乗られての2着。賞金的な余裕もあるし、休み明け仕様であった事は想像に難くない。
メイショウタバルの動きにもよるがスタミナとパワーに優れた血統で、タフな展開になるようならプラスに働きそう。まだまだワンパンチ足りない感じもあるが、堅実な点を評価して買っておきたい1頭。
△サンライズジパング
JBC2歳優駿フォーエバーヤングの2着もある馬でパワーを感じさせる1頭。去年のホープフルSは暮れの中山としては馬場状態が良くスピード馬場寄りではあったものの見せ場たっぷりの3着。
最後にシンエンペラー、レガレイラ両頭に挟まれるような形になったのもかわいそうだった。最後の苦しくなる坂でグイっと伸びたように、今回もタフな展開で浮上しそうな1頭。
一方若駒Sのレース後コメントで武豊騎手が「道中ついていけず進んでいかなかった」、「多頭数では心配な所がある」といったように馬がまだ全力で走ってくれないようなところもあり全幅の信頼は置けないが、前日オッズで13番人気。抑えて置く余裕は十分にある。
△ミスタージーティー
個人的な話になるがホープフルSでは◎レガレイラ▲ミスタージーティーだった。大外枠からの出遅れ、イン突きも大きく詰まって5着とちぐはぐな競馬になってしまった。上位争いは可能な脚を見せていただけにかなり悔しい思いをした。
共同通信杯はレース前からイレ込みがきつく大敗。人気を裏切る形に。
前走若葉Sは前残りの馬場を察知して上手く先行したこともあり無事に勝利。少し物足りない内容に見えるかもだが、このレースはノーステッキでの勝利。新馬戦では鞭を入れてから別馬のような伸びを見せていたし先を見据えての競馬だった。
内目の3枠5番も前走のように前目の位置を取ることができれば非常に好枠。父ドゥラメンテのG1の大舞台での強さも言わずもがなで血統的な後押しもある。
1戦余計に使う羽目になったこと、気性的な問題、馬体重など不安点も多いが前日8番人気なら妙味はたっぷり。
鞍上の藤岡祐介騎手も辛い中で気持ちを奮い立たせて乗るレース。そういう意味でも応援したい。
皐月賞レース予想
タフな展開で浮上しそうなサンライズアース、モレイラ騎手を確保できたコスモキュランダあたりまではオッズもつくし手を広げても良さそう。
ジャスティンミラノについてはポテンシャルが高そうで、かなり悩んだが、大トビ+スローペースのみの経験で少々割引。2番人気で人気から買う以上少し手が出しづらい位置。
個人的にはダービーまで待ってくれると嬉しい。
◎レガレイラ
〇ジャンタルマンタル
▲メイショウタバル
△シンエンペラー
△サンライズジパング
△ミスタージーティー
☆サンライズアース
☆コスモキュランダ
馬連:◎ー〇▲△△△☆☆
馬連:〇▲
想定ペース:ミドル寄りのハイ
最後まで読んでくださりありがとうございました!